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生成AIを「イナズマイレブン」「メガトン級ムサシ」等で活用、レベルファイブのAl利用事例が公開

ゲーム開発業務に「Stable Diffusion」や「ChatGPT」などのツールを利用

レベルファイブの生成AI活用事例が公開。業務効率化に利用しているという

 (株)レベルファイブは、12月11日に実施された政府主催の「AI時代の知的財産権検討会(第4回)」にて、同社のゲーム開発およびプロモーション業務において生成AIを活用していることを明らかにした。発表資料はPDF形式で一般公開されている

 レベルファイブは、「イナズマイレブン」「レイトン教授」「妖怪ウォッチ」「メガトン級ムサシ」といった人気作品シリーズを手がけるゲーム開発会社。今回の第4回「AI時代の知的財産権検討会」では、同社の代表取締役社長・CEOである日野晃博氏による資料にもとづいて、実際のゲーム開発やプロモーション業務の場において、どのように生成AIを活用しているかの具体例が紹介された。

 生成AIの有効活用について、同社は「基礎データの作成」「案出し(アイディア)」「クオリティアップ」に利用しているという。

 ゲーム開発において具体的には、まず画像生成AI「Stable Diffusion」を利用した例を挙げる。「メガトン級ムサシ」では、AI(Stable Diffusion)でゲームタイトル画面のレイアウト案を生成する。そのレイアウトを参考に世界観に合ったイラストを作成、最終的にはイラストをもとに映像を作成し、ゲームタイトル画面が完成するとのこと。

ゲームタイトル画面のレイアウト案出し(「メガトン級ムサシ」)

 ほかにも、画像生成AIでさまざまなパターンの材質やプロンプトを指定して雰囲気や質感などのイメージ案画像を生成したり(「3Dテイストの案出し」)、画像をベースにさまざまな室内レイアウト案を生成して参考資料としたり(「マップ(空間)のレイアウトの案出し」)、AIが生成した背景美術を調整・ブラッシュアップして世界観の参考資料としたり(「背景美術の案出し」)といった活用事例を挙げている。

3Dテイストの案出し
マップ(空間)のレイアウトの案出し
背景美術の案出し

 また、背景美術素材にもAIによる自動生成を活用している。資料によると、大観衆や建物群の背景素材をAI(Stable Diffusion)で生成・合成し、キャラクターイラストと合成することでイメージイラストを作成しているという。

背景美術素材の自動生成

 大量のキャラクター設定案やクエストの案出しについては、対話型AI「ChatGPT」で自動生成し、ゲーム内で使用する各データの参考資料としている。サウンドについても、AI音声合成ツール「VOICEVOX」を利用して、テキストから仮ボイスを生成している例を公開している。

ChatGPTによるキャラクター/クエスト設定の案出し
VOICEVOXによる仮ボイス生成

 そのほか、プロモーション業務においては、Webサイト制作のコーディングサポートや、イラスト画像の高解像度化、イベントステージの演出イメージ案出しなどに、生成AIを利用しているという。

ChatGPT、GitHub Copilotを利用したWebサイト制作におけるコーディング補助
イベントのブース壁面での使用にたえられるよう、SwinIRでイラストを高解像度化
Stable Diffusionでイベントステージの演出イメージの案出し