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リートンがAIキャラを作って遊んで“稼げる”プラットフォーム「キャラぷ」を発表
AIキャラの作成サポートやゲーム的要素の追加にも対応。収益化も可能に
2025年6月6日 08:10
遊ぶ、作る、稼ぐAIサービス
株式会社リートンテクノロジーズジャパンは6月5日、AIキャラプラットフォーム「キャラぷ」の発表会を開催した。「キャラぷ」のサービスは6月10日から開始予定。
発表会では、株式会社リートンテクノロジーズジャパン日本法人代表の増田良平氏がサービスについて説明。また同社に出資しているZ Venture Capitalでマネージングディレクター兼CFOを務める松平浩一氏も登壇した。
最初に両者から挨拶があった。増田氏は「キャラぷ」について、『キーワードは、遊ぶ、作る、稼ぐ。AIは仕事を奪うものと言われているが、これからは誰もが遊びながらキャラを作って、その人気で収益を得る仕組みを作りたい』と述べた。
松平氏は、Z Venture Capitalがリートンに対して約13億円を投資していることを明かした上、『日本はサブカルの国で、キャラクター文化が根付いている。「キャラぷ」との親和性は非常に高いと期待している。生成AIが感情まで持とうとしている今、コミュニケーションが人と人から、人でないものになっていく変革期に来ている。その変革の象徴ともいえるサービスだ』と期待を寄せた。
AIチャットベースでゲームも遊べる
続いて増田氏が、「キャラぷ」のサービス内容を説明した。リートンではキャラクター性を持たせたAIと会話ができる「キャラチャット」というサービスが既に展開されている。
「キャラぷ」はそこからさらに一歩進んだサービスで、ユーザーがAIとチャットするだけでなく、遊びの形で提供されたり、キャラクターをユーザーが簡単に作成できるようになる。そのため、リートンが独自に作成した約250キャラクターを含め、約8,000キャラクターでサービスが開始される。
具体的な内容はデモで示された。最初に選ばれたのは、「心の相談屋ハチ」という、悩み事を聞いてくれるキャラクター。増田氏が『発表会で登壇しているけれど、あまり笑いがとれない』と聞くと、『笑いを取る必要あったの? 真剣に聞いてもらえていれば成功の証拠』といった感じで元気づけてくれていた。
このようにAIがテキストで返事をする合間には、キャラクターのイラストも表示される。あらかじめ登録された画像の中から、話の内容に沿ったものが選ばれるという。
さらに、ゲーム的要素を組み込んだ仕組みも用意されている。デモでは女の子のキャラクターとケーキ屋を始めるというもので、コインというステータスがある。物を買うことを告げると減り、商品が売れると増える。自由なAIチャットをベースに、明確なステータスが存在するゲームをプレイできる。
ベースはAIチャットなので、人によって展開は全く異なることになる。ただ、電車に乗りながら片手でチャットするのは大変だ。そこで「キャラぷ」では、直接のテキスト入力のほかに、推奨される行動がいくつか選択肢として表示される。これを選んでいくことでも話を進められる。
本サービスに限らず、AI(LLM)との会話は長くなると反応が悪くなったり、回答の精度が落ちたりする。そこで本サービスでは、会話を要約して覚えておく仕組みを搭載し、高品質かつ高速な会話を保つという。またAIとの会話は、プライバシーの観点から、運営側からも一切見られないとしている。
AIキャラクターを手軽に作成
ここまでは用意されたAIキャラクターと遊ぶだけの内容だが、AIキャラクターをユーザー自身が作成する機能もある。
キャラクターの作成では、設定を自分で用意するほかに、用意されたテンプレートから選ぶことも可能。多量で複雑なプロンプトを組み上げるのは、多くの人にとって難しいので、運営側がサポートする形だ。
画像は自分で用意したものをアップロードできるほか、本サービス内でAIによる画像生成も可能。こちらもプロンプトを入力して画像を生成し、良いと思ったものができたら採用するという流れ。
これらの設定はランダムでも作成でき、出てきたものを手直しして公開することも可能だ。新たなAIキャラクターの生成を、誰でも簡単にできるよう敷居を下げている。こうして作成したAIキャラクターを、他のユーザーが使用することで、AIキャラクターのクリエイターに収益が還元されるという仕組みだ。
フルタイムキャラクリエイターにも期待
リートンのサービスはこれまで無料で提供されてきたが、「キャラぷ」ではゴールドという有料のサービス用通貨を用意し、ユーザーがAIキャラクターを利用する際に支払う。ただし、ミッションとして提示される条件をクリアすることで無料のゴールドを入手できる仕組みも用意される。
先行して展開されている韓国でのサービスでは、AIキャラクターのクリエイターは平均10~20万円の収益を上げており、中には120万円を稼ぐクリエイターもいるという。増田氏は、『日本ではより親和性が高く、クリエイターも多い。日本のクリエイターなら、韓国の収益の2倍、3倍になっていくと思う。フルタイムキャラクリエイターも近い将来誕生するはず』と語った。
今後の展望としては、日本語での音声出力や、複数ユーザーによるマルチプレイを考えているという。またクリエイターの支援として、AIキャラクターをIPとしてコラボ展開を支援。Web漫画とのパートナーシップも進められており、人気キャラの漫画やグッズ展開などもサポートするとしている。
なお本サービスで使用されているAIモデルは、複数の大手LLMをバックエンドとして、適宜適切なものを使用しているという。将来、新たなAIモデルが実装された際には、クリエイターに新しいAIモデルへの変更オプションを提示するとしている。