ニュース

「Python 3.14」が正式版に ~Androidバイナリも公式提供

フリースレッドモードが実験機能を卒業、テンプレート文字列「t-strings」を導入、新JITコンパイラーによる高速化も

「Python 3.14」が正式リリース

 スクリプト言語「Python」の新しい年次リリース「Python 3.14」が、10月7日に正式リリースされた。「Python 3.13」に続くメジャーアップデートで、以下の新機能と最適化が含まれている。

  • PEP 779:「Python 3.13」で実験提供されていたフリースレッドモード(Free-threaded Python)を正式にサポート。「Global Interpreter Lock」(GIL)の影響でスレッド処理がマルチコアCPUの恩恵を受けられなかった問題が解決され、パフォーマンスの向上が期待できる。ただし、競合やデッドロックの管理は開発者の責務となる
  • PEP 649:アノテーションの遅延評価を導入。即時評価のときの前方参照・循環参照エラーを削減し、パフォーマンスがおおむね向上。セマンティクスも改善された
  • PEP 750:テンプレート文字列「t-strings」を導入。セキュリティや柔軟性を重視する場面で「f-strings」の代替となる
  • PEP 734:Pythonコードから直接サブインタープリターを扱える公式API
  • PEP 784:「Zstandard」圧縮アルゴリズムをサポートする新しいモジュール
  • PEP 758:「except」と「except*」式で括弧を省略できるように
  • PEP 768:オーバーヘッドゼロのデバッグインターフェイスを「CPython」に追加
  • PEP 765:finallyブロックを抜けるreturn/break/continueを禁止
  • PEP 741:Pythonを設定するC API。将来的なABI互換の変更に備える

 そのほかにも、「UUID」のv6~v8が「uuid」モジュールでサポート。v3~v5の生成も最大で40%高速化された。対話モードの構文色分けやエラーメッセージなども改善されている。

 また、本リリースよりAndroidバイナリが「python.org」で提供される。Windows/Macでは新しいJITコンパイラーが含まれ、オプトイン提供される。幾何学的な標準ベンチマークスイートで3〜5%の速度向上が見込めるようだ。

 「Python」は1991年、オランダ出身のプログラマーGuido van Rossum氏によって考案されたクロスプラットフォーム対応のインタープリター型プログラミング言語。コードブロックを字下げ(インデント)で表現する文法が特徴で、可読性が高いコードをコンパクトに記述できる。さまざまな用途に利用できる汎用言語だが、近年は機械学習の分野で著しい普及を見せている。

 バイナリは現在、公式サイト「python.org」から無償でダウンロード可能。Windows版は公式サイトの他、間もなく「Microsoft Store」からも入手可能となる見込み。対応OSはWindows 10以降。