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「Python 3.13」が正式版に ~「GIL」無効のスレッド並列実行ビルドを実験的に追加

改良されたインタープリター、実験的なJITコンパイラー、対応OSの変更にも注目

「Python 3.13.0」が正式リリース

 スクリプト言語「Python」の新しい年次リリース「Python 3.13」が、10月7日に正式リリースされた。多くの新機能と最適化が含まれている。

 「Python 3.13」では、「PyPy」ベースの新しい改良型インタラクティブインタプリターを搭載。複数行(ブロック)編集への対応やカラーリングによる視認性の改善、エラーメッセージのカラー化と拡充が実現された。REPL環境やトレースバックでの使い勝手が大きく向上している。

カラー化されたエラーメッセージ。内容もわかりやすく

 また、「Python」のC言語実装である「CPython」に、実験的なフリースレッドビルドが追加されたのも注目点。「CPython」には、スレッドの競合でデータの整合性が失われるのを防ぐため「Global Interpreter Lock」(GIL)と呼ばれる機能が設けられており、スレッドは同時に1つしか処理されない。この「GIL」を無効化したのがフリースレッドビルドだが、パフォーマンスの向上と引き換えに、既存ライブラリやアプリケーションへの影響が懸念されている。利用の際は注意すべきだろう。

 Windows/Mac環境の場合、インストーラーの上級者向けオプションを有効化することでフリースレッドビルドを導入できる。

インストーラーの上級者向けオプション

 そのほかにも、実験的なJIT(Just-In-Time)コンパイラーが予備的に導入。今後の大きなパフォーマンス改善が期待される。また、macOSの対応OSが10.9から10.13(High Sierra)へと変更された。一方でiOSとAndroidがTier 3サポート対象プラットフォームに加えられている。

 「Python」は1991年、オランダ出身のプログラマーGuido van Rossum氏によって考案されたクロスプラットフォーム対応のインタープリター型プログラミング言語。コードブロックを字下げ(インデント)で表現する文法が特徴で、可読性が高いコードをコンパクトに記述できる。さまざまな用途に利用できる汎用言語だが、近年は機械学習の分野で著しい普及を見せている。

 バイナリは現在、公式サイト「python.org」から無償でダウンロード可能。Windows 10/11向けは、「Microsoft Store」からも入手できる。