レビュー

写真を無料でフィルム風に加工してみよう! ~レトロ、モノクロ、ベルビアなど選び放題

フリーの写真加工ツール「GIMP」に500種類以上のフィルターを追加する「G'MIC」

「G'MIC」

 スマートフォンで誰でもきれいな写真を撮れるようになった今、インスタ(Instagram)をはじめとするSNSでより注目を集めるのはどんな写真だろうか? その答えの一つが“フィルム風”の写真。クリアなデジタル写真にあえてフィルムっぽい色味や粒状感などを足すことで、一枚の写真が特別な記憶になる。この記事では、デジカメやスマホで撮影した写真を手軽かつ無料でフィルム風に加工する方法をお伝えしよう。

 今回紹介する「G'MIC」は、フリーの定番画像処理ツール「GIMP」のプラグインだ。500種類以上のフィルターを搭載し、簡単に写真などを加工できる特徴を持つ。今回はその中から、多数のフィルム風加工機能がまとめられている“Film emulation”に的を絞ってご紹介したい。

初期設定は簡単!

 「G'MIC」は、「GIMP」のプラグインなので、「GIMP」がインストール済の環境であればセットアップは簡単だ。ダウンロードした“gmic_gimp2.10_qt_win64.exe”をクリック、指示に従いインストールすれば準備完了。「GIMP」を起動すると、メニューの[Filters]の下の方に[G'MIC-QT]項目が追加されているので、これを選択すれば、[G'MIC]パネルが表示される。

「GIMP」のFilterメニューへ[G'MIC]が追加された

 パネル左下にある[設定]ボタンで表示できるダイアログからは、プレビュー画像の表示位置、ダークテーマへの切り替えなどの設定が可能だ。標準のテーマは直下の画面キャプチャの色であるが、以降はダークテーマへ変更して掲載する。

「G'MIC」のパネル。まだフィルターを設定していない状態
設定ではプレビュー画像の位置やテーマなどを変更できる

フィルム写真を再現する[Film emulation]を使ってみる

 「G'MIC」パネルの中にはさまざまなカテゴリーに分けられた、執筆時で564のフィルターが用意されている。

 [Film emulation]カテゴリーだけみても[Add grain]、[B&W films]、[Fuji xtrans]、[Instant[consumer]]、[Instant[Pro]]、[Negative[color]]、[Negative[new]]、[Negative[old]]、[PictureFX]、[Print filme]、[Slide[color]]、[User-defined]、[Various]と豊富だ。この中から使いやすそうなものをいくつかピックアップしてみたい。

〇“いかにもフィルム”の粒状感を出す銀塩写真フィルター[Add grain]

[Add grain]フィルター

 [Add grain]はフィルム固有の粒状性を画像に追加するフィルターだ。高感度時のノイズは別として、デジカメで撮影した画像は非常にクリアでバラつきなどは全く無い。これはこれでいいのだが、フィルムっぽさに欠けるため、あえてざらつきを加えるのがこのAdd grain。またプレビューは、他の多くのフィルターでは写真全てが見える倍率に自動的に調整されるが、このフィルターはその性質上(粒が見えないため)100%以上の表示となる。

元画像
[Add grain]を適用

〇味のあるモノクロ写真がこれ一発で作れるフィルター[B&W films]

[B&W films]フィルター

 名前の通りモノクロ化するフィルターだ。エミュレーションするフィルムの種類を見ると、“Kodak T-Max”など懐かしい名前が並んでいるので好みに応じて選べばいい。単にカラー画像をモノクロ化するのとはまた違った味が出て楽しめる。これと先の[Add grain]フィルターを併用すれば、更にフィルムっぽくなるのでお勧めだ。

元画像
[B&W films]-[Agfa APX 25]を適用

〇プロビア、ベルビア……ツウ好みの富士フイルム風に加工する[Fuji xtrans]

[Fuji xtrans]フィルター

 富士フイルムのフィルム“Astia”、“Classic Chrome”、“Pro Neg Hi”、“Pro Neg Std”、“Provia”、“Velvia”の雰囲気が出せるエミュレーターだ。作例が海辺なので派手な色でファンも多かった“Velvia”を指定してみた。結構それっぽい色になる。

元画像
[Fuji xtrans]-[Velvia]を適用

〇ポップな発色がおもしろいポラロイド風フィルター[Instant[consumer]]

[Instant[consumer]]フィルター

 ポラロイドカメラのフィルムエミュレーターだ。対応する種類が物凄く多く、これをひとつひとつ試すだけでもなかなか楽しい。ここでは“Polaroid PX-680”にして、デジタルカメラそのままでは味気ない夏祭の写真をちょっと懐かしい雰囲気にしてみた。

元画像
[Instant[consumer]]-[Polaroid PX-680]を適用

〇60年代風、ノスタルジーなど、雰囲気で指定できる[Various]

[Various]フィルター

 多くはフィルムエミュレーターなのだが、この[Various]は、60's、Nostalgic…など雰囲気的なフィルターだ。作例は[Hong Kong]を使用した。硬調で派手は写真になったが、香港はそんなイメージなのだろうか。

元画像
[Various]-[Hong Kong]を適用

 いかがだろうか。今回はFilm emulationに的を絞りご紹介した。掲載したそれぞれのフィルターはデフォルト状態なので、パラメータを触り、更に好みに加工できる。いろいろ触って楽しんでいただきたい。

ソフトウェア情報

「G'MIC」
【著作権者】
David Tschumperlé 氏
【対応OS】
Windows/Linux(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
2.3.6(18/08/29)