レビュー

アナログ・デジタル両対応のゲームブックを作れるゲーム制作ツール「TEXT GAME PLAYER」

印刷して自然に読めるゲームブックを執筆すると、PC上ではADVとしてプレイ可能に

「TEXT GAME PLAYER」
同梱されているサンプルゲームのテキストファイル

 「TEXT GAME PLAYER」は、日本語による簡易な記述でアドベンチャーゲームを制作できるゲーム開発環境。Windows 7に対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 8.1でも動作を確認した。

 同梱のプレイヤーソフトを起動するとテキストファイルに記述した文章を読み込み、アドベンチャーゲームとしてプレイ可能。特徴は、一般的なノベルゲームエンジンのようなアルファベットによる命令文などは一切なく、変数や条件分岐などを自然言語で記述できること。また、ダイスロールなど“ゲームブック”をPC上で再現するための仕組みを標準で備えていることだ。

 テキストの記述仕様自体も、ゲームブックを意識したものとなっている。テキストファイルは“パラグラフ番号”、“本文”、“次のパラグラフへ移動するための選択肢や条件分岐”がセットになって1つのパラグラフとして構成されており、行頭に全角数字を書くとパラグラフ番号、『・扉を開ける→14へ行け。』などと記述すると選択肢になる仕組みだ。

 さらに、『#攻撃力を1増やす。』『#体力を敵攻撃力だけ減らす。』といった記述で変数を扱えるほか、『#剣を手に入れた。』といった記述で持ち物の設定ができる。さらに、『#ダイスを2回振れ。』といった記述で6面ダイスを振ることが可能。これら利用した条件分岐も『・剣があり攻撃力+賽が敵戦力以上→6へ』といった形で柔軟に設定することが可能だ。

 この書式のメリットは記述の簡易さに加えて、テキストがそのまま“読んでプレイできるゲームブック”になること。画像や音楽の再生に関する指定は別ファイルに分離されており、テキストを印刷すればPCでプレイできる形式のまま、紙で遊べるゲームブックが完成する。アナログ・デジタル両対応のゲームブックを制作できるというわけだ。

 同梱の制作支援ツール「TEXT GAME UTILITY」を使うと、パラグラフ番号などを記入したテキストのひな形を生成したり番号をずらすといったテキスト処理が可能なほか、テキストを配布用に暗号化することも可能(素材の暗号化は非対応)。制作したゲームはプレイヤーを同梱し、有償・無償に限らず配布することができる。本作の著作権を守ることが同梱の条件だが、著作権表記は必須ではない。

ダイスロールや変数による条件分岐が可能
ひな形テキストの生成などができる制作支援ツール「TEXT GAME UTILITY」

 画像の表示は表紙・壁紙(背景画像)・挿絵(全画面表示)のみで立ち絵の表示機能などはなし、音楽は1つのパラグラフで1曲のみ再生可能など、汎用的なアドベンチャーゲーム開発環境としての表現力は最低限だが、“挿絵とBGMつきのゲームブック”を作るためのツールとしては必要十分な機能を備えている。『どんなに簡単と言われてもアルファベットの命令文を覚えるのはどうしてもダメ』という人でも、本ソフトならきっとゲームを完成させられるはず。ゲームにしたいアイデアがあるならぜひチャレンジしてみてほしい。

ソフトウェア情報

「TEXT GAME PLAYER」
【著作権者】
よなぷー 氏
【対応OS】
Windows 7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
4.3

(中村 友次郎)