レビュー

物理演算されたエーテルの流れる月面へ着陸を挑む「流体 de 月面着陸」

GPGPUを活用した美しい演出が楽しめるアクションゲーム

「流体 de 月面着陸」v2.03

 「流体 de 月面着陸」は、宇宙船で月面着陸に挑むアクションゲーム。Windows 7/8.1に対応するフリーソフトで、現在作者のWebサイトからダウンロードできる。

月を目指す理由がダイナミックだ

 20XX年、一般市民には質の悪いグラフィックボードしか提供されなくなった地球。IT・開発系コミュニティ“プログラミング生放送”でお馴染みの“プロ生ちゃん”こと暮井慧がGPUを活用したプログラミングに挑戦するため、GPUに使うレアアースを月面へ探しに行く。

 1画面構成のステージごとに設けられたゴールへプロ生ちゃんの駆る宇宙船を着地させるのが本ゲームの目標。本ゲームでの宇宙空間は“エーテル”と呼ばれる媒介に満たされており、“エーテル”を示す粒子はマップ上で色が変わり続ける粒として描かれている。“エーテル”は自ら潮流を成して流れるほか、宇宙船の噴射や移動などに応じて撹拌され、複雑な流れを形成していく。

 GPGPUを活かして物理演算された“エーテル”の粒子がなめらかに描かれる様は非常に美しい。作者は本ゲームに「GPGPUをもっとみなさんに広く知ってほしい」というメッセージを込めており、作中でもGPGPUに関する説明が行われている。

 宇宙船を押し流そうとする“エーテル”の潮流と月の重力をうまく活用しつつ、マップ上の障害物をくぐりぬけてステージをクリアしていく。先へ進むとアイテム集めの要素も加わり、ゲームは難易度を増していく。燃料や自機に特に制限はないが、より速くクリアすることでより高いスコアを得られる仕組み。

赤く描かれているのがゴール
“エーテル”のなめらかな動きを見ているだけでも楽しい
ステージの進行によって機体の変形も可能となる

 プレイ開始直後は、画面右上に宇宙船がどの方向へどのぐらいの速度で移動しているかが表示されるほか、ステージが進行するにつれ、プロ生ちゃんのプログラミングによって新たな情報が表示されるようになっていく。さらに中盤以降、エーテルの流れに対し、宇宙船を変形させることで異なった運動性を発揮できるようになる。

 本作は第5回ニコニコゲームフェスにてプロ生ちゃん特別賞を受賞している。なお、OpenCL/OpenGLに対応するハードウェアが要求され、ある程度の性能のGPUを積んだPCでなければならないという。

ソフトウェア情報

「流体 de 月面着陸」
【著作権者】
toropippi 氏、dedp 氏
【対応OS】
Windows 7/8.1
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
2.03

(市川 祐吉)