レビュー

PDF文書を軽快に閲覧できるビューワー「MuPDF」

インターフェイスは独特だが極めて高速に動作するのが魅力

「MuPDF」v1.3

 「MuPDF」は、PDFおよびXPS・オープンXPS形式のファイルを閲覧できるビューワーソフト。WindowsなどのOSに対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 8.1での動作を確認した。作者のWebサイトからダウンロードできる。

 現在、ネットで配布される文書の多くにPDF形式が採用されている。メーカー製PCにも、PDF形式の文書を見るためにデフォルトで「Adobe Reader」などがインストールされており、読者のPCの中にも既に何らかの閲覧ソフトがインストールされているだろう。しかしPDF閲覧ソフトの中には、高機能を追求した結果動作が重くなったり、ユーザーインターフェイスが煩雑で、ちょっとしたPDF文書を閲覧したいときに少々もたつきを感じさせるソフトもある。

 そうした場合「MuPDF」を用いることで、快適にPDFを閲覧することができる。「MuPDF」は動作が極めて軽く、画面がシンプルなのが特徴だ。「MuPDF」でPDFを開くためには「MuPDF」へのショートカットをデスクトップなどに作成し、そこへ開きたいPDFファイルをドラッグ&ドロップするか、「MuPDF」を実行すると現れるダイアログから開きたいファイルを指定する。ファイルを開いた後に表示される画面は極めて簡素で、PDFを表示してもメニューバーすら現れない。

 ではどうやってPDF文書を読むのかというと、「MuPDF」では基本的にキーボードで文書内を移動する。次のページに進むにはスペースキーまたは[PageDown]キー、画面を拡大するには[+]キーなどを用いる。操作に必要なショートカットはソフトに添付されているドキュメントや、「MuPDF」のタイトルバーを右クリックすると表示される[About MuPDF]項目から確認できる。

タイトルバーを右クリックするとメニューが表示される。[About MuPDF]項目からはショートカットキーの一覧を確認できる
“About MuPDF”の画面。更に詳しい操作説明が同梱のファイルの中に収められている
XPS形式のファイルを開くことも可能

 「MuPDF」は、起動からページ間の移動など、すべてが軽快に動作するが、同時にキーボードショートカットのみで基本的な操作はすべて行えるため、マウスへ手を伸ばすことなくPDFを閲覧できるのも便利な点だ。また、PDFだけでなく、XPS・オープンXPS形式の文書を閲覧することもできる。

 動作の軽快さが魅力の「MuPDF」だが、シンプルゆえに省かれた機能もある。たとえば「Adobe Reader」では、サイドバーのサムネイルやしおりを利用すれば目的のページを簡単に探すことができるが、文書本文を表示するためのウィンドウしかもたない「MuPDF」では、そうしたナビゲーションは行えない。また、編集部で確認した限りでは、検索機能で日本語が利用できないといった点も、文書内を検索する必要が多いユーザーにとってはデメリットだろう。

 「MuPDF」はそれ一本ですべてのPDFに対応させるといった使い方よりも、豊富な機能を備えたビューワーと併せて用いるのに適したソフトだと言える。何百ページもあるPDFを文書内を検索しながら資料として閲覧するためではなく、ちょっとしたPDFを気軽に、軽快に閲覧したい時のためにデスクトップへショートカットを置いておくと便利に使えるのではないだろうか。

ソフトウェア情報

「MuPDF」
【著作権者】
Artifex Software, Inc.
【対応OS】
Windowsなど(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.3(13/08/15)

(市川 祐吉)