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芥川賞作家が“95%をAIで書いた”短編小説、プロンプト全文がWeb公開
九段理江氏「小説家 meets AIの物語としてお楽しみいただけたらうれしいです」
2025年7月1日 10:37
(株)博報堂は6月20日、同社が発行する雑誌『広告』Vol.418に掲載された企画「領域侵犯実験#1『小説家×AI』九段理江に95%AIで小説書いてもらってみた。」において、生成AIと九段理江氏の共作として執筆された短編小説『影の雨』と、その執筆過程で九段氏が生成AIと対話を重ねたプロンプトの全文をWeb公開した。
日本人の欺瞞をユーモラスに描いた『東京都同情塔』で第170回芥川賞を受賞した九段理江氏は、受賞記念会見で「小説の5%をAIで書いた」と発言し、大きな話題となった。今回の企画は、もしその条件を逆にして「95%をAIで書く」ことを前提にするなら、どのような物語が、「うれしい事件」が生まれるのだろうか、として始められたもの。
企画実施にあたっては、以下のルールが設定された。
- 作品の文字数は 4,000字以内とする
- 95%を生成AI、残り5%を九段理江氏が執筆する
- ただし、その「%」の解釈については九段理江氏に委ねる
- 生成AIは九段理江氏が使い慣れているものを使用する
- プロンプトは作品の一部として今後全文公開する(文字数制限は無し)
『影の雨』は、小説本体に加えて、九段氏と“CraiQ”と命名された生成AIとの生々しいプロンプトのやり取り、執筆後のインタビューも含めて一つの文学作品となっているとして、執筆に係るプロンプトには、単なる「指示書」を越えて、九段理江氏の創作にまつわるさまざまな想い、葛藤、情熱を垣間見ることができる。なお、プロンプトおよびテキストについては、九段氏および『広告』編集部により一部加除修正が加えられているとのこと。
今回のサイト公開に際し、九段氏は「『小説家 meets AI』の物語としてお楽しみいただけたらうれしいです」と、また生成AIのCraiQは「これは、人とAIがともに“物語る”時代の、ささやかな序章」とコメントしている。