杜のAndroid研究室

オンライン同期型メモ「3banana Notes」「Evernote」「FoxNote」

スマートフォンを手帳替わりに!オンライン同期でPCとの連携もラクラク

(10/04/28)

“HTC Desire”“HTC Desire”

 4月1日に発売されたNTTドコモのAndroid(アンドロイド)搭載端末“Xperia”に引き続き、27日にはソフトバンクモバイルの“HTC Desire”も登場した。さらに6月には、KDDIから“IS01”の発売が予定されるなど、国内Android市場がにわかに活気付いている。これらAndroid搭載端末の魅力を語るときに欠かせないのが、端末上で直接アプリを導入できる“Androidマーケット(以下、マーケット)”の存在だ。

 マーケットにはすでに数万本ものアプリが並び、日々すばらしいアプリが次々と登場している。しかし現在のマーケットは人気アプリや定番アプリにたどり着くための仕組みが弱く、大量のアプリを前に途方にくれてしまう場面も多い。そこで今回から始まる『杜のAndroid研究室』では、さまざまなテーマに沿って窓の杜スタッフが厳選したアプリを紹介していく。第1回は、オンラインサービスとの同期機能を備えたメモアプリをテーマに、お勧めアプリとその機能について紹介する。

オンライン同期型のメモアプリを活用しよう

 スマートフォンは日常的に持ち歩いているため、メモ帳代わりに威力を発揮する場面も多い。外出先で不意にメモを取る必要が発生した場合はもちろん、ふと思いついたアイデアを書き留めたり、外出前に買い物リストをまとめたり、出先で参照したい情報をクリップしておいたりと、さまざまな活用が考えられる。紙のメモと違ってPCで参照したり、加工したりといった二次利用が簡単なのもポイントだ。

 さらに、今回紹介するオンラインサービスとの同期に対応したメモアプリなら、スマートフォンのもつ通信機能を利用してデータをやり取りできるので、外出前の慌ただしい時間にPCと端末をUSB接続するような煩わしさから開放され、より積極的にメモを活用できるようになる。

ウィジェットからすばやくメモを作成できる「3banana Notes」

「3banana Notes」「3banana Notes」

「3banana Notes」と連携するWebサービス“Snaptic”「3banana Notes」と連携するWebサービス“Snaptic”

 最初に紹介する「3banana Notes」は、Webサービス“Snaptic”のクライアントとしての機能も備えたメモアプリだ。端末上で作成したメモは、同期操作を行うことでWebサービスにアップロードされ、Webブラウザー経由でPCなどからの参照が可能となる。もちろん、Webサービス上でのメモ作成・編集も可能。Snapticは専用のアカウントを作成せずGoogleアカウントで利用することも可能で、これはAndroidユーザー的にうれしい点だ。

 通常のテキストメモに加え、端末内蔵のカメラで撮影した写真や、端末内に保存された画像ファイルを扱うことが可能となっており、文字入力をしている余裕がない場面でのメモ取りなどにも活躍する。さらに専用ウィジェットも用意されており、ホーム画面からワンタップでメモを取ったり、写真を撮影して即座にメモへ取り込むといったことが可能になっているので、普段使いのメモアプリとしての機動性は抜群と言える。

 取り溜めたメモを活用するための機能も充実しており、メモにラベル(タグ)をつけて分類できるほか、ラベルや本文の内容をもとに絞り込み検索を行うことも可能だ。また、GPSや3G回線の基地局から取得した位置情報をメモに添付する機能も用意されている。位置情報を利用して、メモを取った場所をAndroid標準の「モバイルGoogleマップ」上で確認できるほか、メモの閲覧時に位置情報を自動で住所へ変換表示する機能も備える。なお、内部的に住所の文字情報が保存されているわけではないため、残念ながら住所を利用してメモを検索することはできないようだ。

 ユニークな機能としては、バーコード読み取りアプリ「QRコードスキャナー」と連携することで、QRコードやバーコードの情報を読み取ってメモに挿入できる。QRコードから各種URLや連絡先情報を読み取ったり、書籍のISBNコードを取り込むといった用途はもちろんのこと、キングジムの携帯型デジタルメモ端末“ポメラ”のQRコード対応モデルで入力したテキストを、QRコード経由で取り込むといった使い方も可能。ポメラユーザーならぜひ試してもらいたい機能だ。

 そのほか、別のアプリと連携してメモの内容をメールで送ったりTwitterに投稿したりといった活用も可能だ。さらに、メモ中の電話番号やメールアドレス、URLをクリッカブルリンクとして認識し、電話機能やメールの新規作成画面、Webブラウザーなどで開けるなど、使いこなせば手放せなくなる便利なアプリに仕上がっている。

編集画面。写真や画像の挿入なども可能。Twitterのハッシュタグ風に“#”つきで単語を入力するとラベルとして利用でき、日本語のラベルも作成できる。なお、文中にラベルを含める場合は前後にスペースが必要編集画面。写真や画像の挿入なども可能。Twitterのハッシュタグ風に“#”つきで単語を入力するとラベルとして利用でき、日本語のラベルも作成できる。なお、文中にラベルを含める場合は前後にスペースが必要

ウィジェットを利用するとホーム画面からすばやくメモ作成画面や写真撮影画面を開ける。各メモへのショートカットをホーム画面に配置することも可能だウィジェットを利用するとホーム画面からすばやくメモ作成画面や写真撮影画面を開ける。各メモへのショートカットをホーム画面に配置することも可能だ

検索画面。ラベルやタイトル・本文を利用した検索に対応する検索画面。ラベルやタイトル・本文を利用した検索に対応する

「QRコードスキャナー」が未インストールの状態でバーコードの読み取りを実行するとダイアログが表示され、マーケットから「QRコードスキャナー」をインストール可能だ「QRコードスキャナー」が未インストールの状態でバーコードの読み取りを実行するとダイアログが表示され、マーケットから「QRコードスキャナー」をインストール可能だ

【著作権者】
Snaptic Inc.
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.17

「3banana Notes」インストール用のQRコード「3banana Notes」インストール用のQRコード

MEMOQRコードの利用方法

 本連載では、PCでご覧いただいている場合にAndroid端末からアプリをインストールしやすいよう、Androidマーケットで当該アプリのページを開けるQRコードを掲載していく。QRコードの読み取りは、「QRコードスキャナー」などのアプリが利用できる。

Windows版など各種クライアントとの連携が便利な「Evernote」

「Evernote」「Evernote」

“Evernote”のWindows版クライアント“Evernote”のWindows版クライアント

 “Evernote”は、WindowsやMac、iPhoneなど複数のプラットフォーム向けのクライアントアプリが用意されているオンラインメモサービス。今年3月には日本語版が公開された話題のサービスで、すでにWindows版を利用しているという読者も多いことだろう。次に紹介するのは、このEvernoteのAndroid用クライアントアプリ「Evernote」だ。なお、Evernoteの利用には専用のアカウントが必要となる。

 テキストメモに加えて、端末内蔵カメラの撮影写真や、端末内の画像をメモとして保存できる点は「3banana Notes」に似ており、タグを利用した分類機能や検索機能、位置情報の保存機能など、共通する特徴も多い。

 「3banana Notes」にない特徴としては、ボイスメモを保存できる点や、Windows用などほかのクライアント上で保存したPDFファイルを表示できる点などが挙げられる。ただしAndroid用クライアントでは、保存したボイスメモやPDFファイルの再生・表示には外部アプリを利用する仕組みになっているため、対応するアプリを導入していない環境ではエラーになる点は注意しよう。

 Evernoteならではの強みとしては、WindowsやMac用のクライアントとの強力な連携機能を紹介しないわけにはいかないだろう。PCのWebブラウザー上で表示中のページや、PCのスクリーンショットを簡単な操作でどんどんEvernoteに取り込むことができるので、たとえば読みかけのWebページの続きを端末上で読んだり、地図などさまざまなPC用ソフトの表示画面を端末上で表示したりといったことが手軽に行えるのは非常に便利だ。

 なお、EvernoteのAndroid用クライアントは基本的にデータをネットワーク上にのみ保存している。一覧や指定したメモをオフラインで閲覧できるiPhone用クライアントとは違いオフラインで利用できない点には十分な注意が必要だ。買い物メモ代わりにWebの商品情報ページを取り込んで出かけたら、目的地の地下店舗が3G通信圏外だったなんて悲劇を避けるためにも、今後の対応に期待したい。

編集画面。タイトルや本文、タグを編集できる編集画面。タイトルや本文、タグを編集できる

メモ一覧画面。オフラインの状態では個々のメモはもちろん、この一覧画面も表示されない。地下店舗などに入る場合には事前に必要なメモを呼び出しておこうメモ一覧画面。オフラインの状態では個々のメモはもちろん、この一覧画面も表示されない。地下店舗などに入る場合には事前に必要なメモを呼び出しておこう

【著作権者】
Evernote Corp.
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.3.1

「Evernote」インストール用のQRコード「Evernote」インストール用のQRコード

Googleドキュメントとの同期に対応した「FoxNote with GDoc日本語版」

「FoxNote with GDoc日本語版」「FoxNote with GDoc日本語版」

“Googleドキュメント”“Googleドキュメント”

 最後に紹介する「FoxNote with GDoc日本語版(以下、「FoxNote」)」は、“Google ドキュメント”との同期機能を備えたメモアプリだ。テキストメモ専用のアプリで、Googleドキュメントとの同期対象は“文書”(ワープロ)形式のみとなる。

 今回紹介したほかのメモアプリと異なり、編集モードで画面全体を利用することで長い文章を編集しやすい点など、テキストエディターに近い特徴をもっているが、メモを閉じる際に自動保存するオプションを備えていたり、本文の1行目が自動的にメモのタイトルになるなど、メモアプリの基本的な機能もしっかりと備えている。

 「FoxNote」でメモをGoogleドキュメントと同期するには、設定画面から“GDoc連携有効”にチェックを入れる必要がある。この状態で同期したいメモを一覧上で長押ししてメニューからアップロードするか、逆にGoogleドキュメントからファイルをインポートすることで、任意のメモのみを同期の対象として指定する形だ。以後はメニューからの手動同期やメモ保存時などの自動同期が可能となる。なお、同期中のメモを削除するには「FoxNote」とGoogleドキュメントの両方でそれぞれのメモを削除する必要がある。

 メモを整理するための機能も用意されており、フォルダを作成してメモを分類できるほか、5段階のスターを利用してメモの重要度をランク付けすることが可能。メモタイトルを対象とした検索機能も用意され、検索条件を保存して再利用することもできる。

 ほかにも、メモをメールで送信する機能や、メモをまとめて、あるいは個別にSDメモリカード上へテキストファイルとしてエクスポートする機能なども備えている。

編集画面。ほかの2本のアプリのように余分な枠がない分テキスト表示面積が広く、文章の編集に専念できる編集画面。ほかの2本のアプリのように余分な枠がない分テキスト表示面積が広く、文章の編集に専念できる

Googleドキュメントからのインポート画面。スプレッドシートなど文書以外のファイルも表示されるが、選択すると読み込みエラーになるGoogleドキュメントからのインポート画面。スプレッドシートなど文書以外のファイルも表示されるが、選択すると読み込みエラーになる

【著作権者】
Gaku 氏
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.286

「FoxNote with GDoc日本語版」インストール用のQRコード「FoxNote with GDoc日本語版」インストール用のQRコード

それぞれに特徴があり、用途に合わせた使い分けが効果的

 ここまでオンライン同期機能を備えたメモアプリを3本紹介してきたが、それぞれに特徴があり、向き不向きが比較的はっきりしていることがわかる。

 「3banana Notes」はオンライン同期機能を備えているが、オンライン機能を一切利用せずにスタンドアローンなメモアプリとしても利用できるなど、ローカルデータ重視の作りだ。スマートフォン上で作成したメモをPCからも参照したいといった使い方に向いている。

 一方、「Evernote」は作成したメモはすべてオンライン上にアップロードしてしまうため、通信できない場所ではメモの閲覧ができないなど、完全にオンライン重視の作りとなっている。そしてPC用のクライアントが充実していることから、PCでどんどん取り込んだ情報をスマートフォン上からも閲覧するといった、オンラインストレージ的な使い方が便利だ。

 「FoxNote」は、Googleドキュメントを同期の対象とし、テキストエディター的な使い勝手を実現していることから、論文や報告書の一部またはプロットなどを入力していき、溜まったデータをPC上で改めて編集し直して、まとまった文書に仕上げるような使い方に向いていると言えそうだ。

 自分の利用スタイルや目的にあったアプリはどれなのかをよく考えて、使用するアプリを決めるとよいだろう。

(霧島 煌一)