杜のVR部

第32回

Gear VR向けに配信されている話題の映画のVRコンテンツを一挙紹介

VRコンテンツの制作に乗り出したハリウッド。あのSF超大作のコンテンツも制作中?

 Oculus Riftに先駆けてすでに販売が開始されているサムスンのVRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)Gear VR。同社のスマートフォンGalaxy S6/S6 Edge専用だが、解像度は2K、フレームレートは60fpsながら遅延やカクつきがほとんどない出来栄えで、美麗で快適なVRを体験できる。詳しくは第24回の記事を参考にしていただきたい。

 今回はGear VR向けに配信されているアプリの中でも現在増えつつある、映画に関連する体験コンテンツを紹介していきたい。マーベルの『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』、ユニバーサル・スタジオの『ジュラシック・ワールド』といったハリウッド映画の大作の世界を360度で体験できるコンテンツが配信されている。

 またドリームワークスからは、VR内で目の前の大画面に映し出された予告映像を鑑賞する、いわゆるバーチャルシアタータイプのコンテンツも提供されている。

 いずれのコンテンツもGear VRがあれば無料でダウンロード可能。それでは、さっそく各コンテンツを紹介していこう。

あのヒーローたちと共に闘える?「Battle for the Avengers Tower」

 今夏公開予定のアクション映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』。アイアンマン、ハルク、キャプテン・アメリカなどマーベル・コミックスのヒーローたちが結集して強大な敵に立ち向かうオールスターな映画だ。本作に関連して、Gear VR向けに公開されているアプリが「Battle for the Avengers Tower」だ。

タイトル画面。仕様上、本編のスクリーンショットは撮影できなかった。Gear VRをお持ちの方はぜひ自身の目で体験していただきたい

 起動すると、プレイヤーはビルの窓際に立っているアイアンマンの視点からスタートする。本編に入る前のメニュー画面なのだが、かなり作り込まれており筆者は気に入っている。窓に写っているアイアンマンが自分の頭の動きに合わせて動くので、『自分はアイアンマンなんだ!』という感覚が強くなる。頭を動かすと、アイアンマンの関節が動くときのウィーンという音が聞こえたり、背後のラボにあるものに目線を移すと解析の表示がホログラムで現れたり、“START”に目線を合わせてタップすると視界の周囲にホログラムが現れたりと、アイアンマンになりきったように思わせる凝った工夫に満ちている。

 本編では3分ほどで、劇中に登場するアベンジャーズ・タワーでの戦いをスローモーションで体験できる。アイアンマンを始め、各ヒーローが激戦を繰り広げる中を非常にゆっくりと進んでいく。おそらく描画処理の関係でスピード感を殺した体験になっているのだと思われるが、これまでの予告編を眺める体験とは全く異なる、ワクワクする体験になっている。

ジュラシック・ワールドへようこそ「Jurassic World:Apatosaurus」

 アメリカを始め全世界で公開中の恐竜映画『ジュラシック・ワールド』(日本では8月公開予定)。ユニバーサル・ピクチャーズより、「Jurassic World:Apatosaurus」という体験コンテンツがGear VR向けに配信されている。内容は映画の舞台となる、恐竜を見ることができるテーマパーク“ジュラシック・ワールド”を訪れた客となり、草食竜アパトサウルスの生態を観察するというもの。アクション要素の強い映画本編とは異なり、草食竜を見るだけという非常に穏やかな内容だが、実際に恐竜を展示するテーマパークがあったらこうなのだろうかとも思わせる。プレイヤーにもかなり接近してくるため、迫力満点だ。

草食なので危害はないはずだが……

目の前の大画面で繰り広げられる予告編を眺める「DreamWorks VR」

 『トランスフォーマー』、『シュレック』などを手がけるドリームワークスは、360度の映像体験ではなく、VR内のバーチャルシアターでDVD・Blu-rayで発売されている作品の予告編を鑑賞できるアプリ「DreamWorks VR」を配信している。

 現在鑑賞できるのは、ドリームワークスの作品をつなげた紹介動画『20 Years of Dreams And Laughter』および映画『ホーム』と『ザ・ペンギンズ from マダガスカル』の予告編だが、順次配信する予告編を増やしていくとのこと。Gear VRさえあればどこでも、目の前に広がる大画面を見上げながら予告編を見るという、映画館と同じ体験ができる。また、周囲の様子もコンテンツによって異なる。たとえば『ザ・ペンギンズ from マダガスカル』では、劇中に登場する4匹のペンギンたちとオアシスでバーチャルシアターを楽しむといった具合に遊びが利いている。

メニュー画面。見たい動画を選ぼう
ドリームワークスの作品が詰まったショーケース動画『20 Years of Dreams And Laughter』
ペンギンたちと予告編を鑑賞する『ザ・ペンギンズ from マダガスカル』

プロモーションに使われるVRとハリウッド映画のこれから

 ここまで、Gear VRで体験できる映画に関連するコンテンツを紹介してきた。ちなみに現在日本で販売されているGear VRの前世代機となる、日本未発売のGalaxy Note 4向けGear VRでは、ワーナー・ブラザーズのSFアクション映画『パシフィック・リム』の360度コンテンツ「Pacific Rim: Jaeger Pilot」を体験できた。人類を襲う巨大生物に対抗するための人型ロボット“イェーガー”に乗って巨大生物の襲撃を受けるシーンを360度で体験できるもので、臨場感満点の体験だった。

Galaxy Note 4用Gear VR(日本未発売)で体験できた迫力満点の「Pacific Rim: Jaeger Pilot」の360度体験

 また、ルーカスフィルムが『スター・ウォーズ』をテーマにしたVRコンテンツを制作しているという噂もあり、ハリウッドの映画業界はこぞってVRのコンテンツ制作に取り組んでいる。

ルーカスフィルム等が新たに立ち上げたVR/ARなどの先進技術を用いたコンテンツを制作する“ILMxLAB”の設立時に公開された動画。VRデバイスと、『スター・ウォーズ』などの映画が見受けられる

 現時点では予告映像やプロモーションへの利用が多いが、今後取り組みが本格化する可能性もある。映画は、通常の2Dで見るものから、IMAX、立体視で見る3D、体感型の4DXなどと進化してきた。その先に、映画の世界に没入して体験できるVRという形もあるのかもしれない。

ソフトウェア情報

「Battle for the Avengers Tower」
【メーカー】
SAMSUNG Electronics
【開発者】
Framestore
【対応ハードウェア】
Gear VR Innovator Edition for S6
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.1
「Jurassic World:Apatosaurus」
【メーカー】
Universal Pictures
【開発者】
Felix and Paul Studios
【対応ハードウェア】
Gear VR Innovator Edition for S6
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.0
「DreamWorks VR」
【メーカー】
DreamWorks Animation LLC.
【開発者】
DreamWorks Animation LLC.
【対応ハードウェア】
Gear VR Innovator Edition for S6
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
0.7

(もぐらゲームス:すんくぼ)