週末ゲーム
第458回
理不尽トラップ満載の横スクロールアクションゲーム「エリィのアクション」
悶絶必至の超クセモノアクション
2011年8月19日 13:38
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした良作を毎週紹介していく。今回は、オーソドックスなジャンプアクションながらトンデモな仕掛けが山のように待ちかまえている横スクロールアクションゲーム「エリィのアクション」を紹介しよう。
「エリィのアクション」は、緑色のかわいい女の子“エリィ”を操作して先へ進んでいく横スクロールアクションゲーム。本作は同人ソフトで、ダウンロード販売されているほかパッケージ版も同人ショップで委託販売されている。作者のWebサイトでは体験版が公開されており、2面までをプレイ可能だ。
操作は王道とも言えるシンプルなもので、キーボードのほかゲームパッドにも対応。キーボードの場合はカーソルキーの左右で移動、[Z]キーの押しっぱなしでダッシュ、[X]キーでジャンプ、[C]キーかカーソルキーの下で物体の持ち上げ・投げとなっている。これらのアクションを駆使して仕掛けをクリアしながら画面右方向へ進みゴールを目指す、と書くと普通のゲームのようだが、そう簡単にはいかない。本作には、それはそれは考え抜かれたトラップが大量に仕掛けられているからだ。
たとえば、1面をスタートして前に歩いていくと、いきなり地面からトゲが飛び出してミスに。ドキッとするというか、何が起こったのかわからないままやられる。今度はトゲが出る場所をジャンプで飛び越え、空中に浮いているブロックらしきものを下からジャンプで突き上げると、中から敵が落ちてきてミスに。と、いった具合に開始3秒からゴールまでずっとこの調子である。パッと画面を見て、敵や障害物と判断したものを避ける、あるいは倒して進もうとすると、隠れていたトラップに引っかかってミスになる、という何ともイジワルなステージ構成になっているわけだ。
ただし、ミスすると一応残機が減っていくものの、残機がゼロのときにミスしてもゲームオーバーにならず、残機がマイナスになって続行可能。また制限時間もなく、ゲームオーバーはプレイヤーが諦めてゲームをやめるときだけとなっている。また、ステージ途中にはいくつかセーブポイントがあり、ミスしてもステージ最初からではなくセーブポイントからリスタートとなる。一応親切設計だ。
しかしながら、とにかくミスをしまくる。とりあえずトラップには1回引っかかってからクリア方法を考えるという、トライ&エラーを繰り返して進んでいくのが基本だ。これにストレスを感じる人も少なくはないだろう。往年の海外製アクションゲームの理不尽さを彷彿させるものがあり、また極度のアクションゲームマニアは仕掛けを予測したり、看破したりすることを喜ぶものなので、ある意味マニア向けの仕様であるとも言える。アクションと言うよりは推理パズルに近いのかもしれない。
もっとも、操作テクニックもそれなりに必要。たとえば1面前半のスプリンクラーがある場面では、まずスプリンクラーを持って運べることを発見し、スプリンクラーの勢いを利用したハイジャンプを使って先に進むという解法を導き出す必要がある。その上で、ハイジャンプを決めるには操作テクニックも求められる、といった具合だ。
アクションゲームに詳しくない人は、最初は何がどうなっているのか気付くこともできないかもしれない。それでもひたすらにトライ&エラーを繰り返せば少しずつ把握できていくだろうが、この延々理不尽なトラップでミスを繰り返すなかで経験を積んでいくには、ちょっといい胃薬ぐらいは必要になるだろう。
本作はグラフィック、音楽ともに水準は高く、操作性も良好。ただしイジワルトラップ満載。そんなゲームである。無料の体験版で2面までプレイできるので、とりあえずどれぐらいイジワルな仕掛けが用意されているのか、試しに体験してみてはいかがだろうか? 正直な話、筆者が1面をクリアするまでのミスは68回。とくに最後の仕掛けは『ふざけんな!』『どうすんだこれ!』と叫んでコントローラーを投げそうになった。それでも何とか続けてクリアしたときは、ほんのちょっとだけ賢くなったような気がしないでもなかった。制作者との知恵比べという意味ではやはりパズルゲームの感覚なのかもしれない。興味をもった方はぜひこのイジワル感を体験してみよう。市販のゲームではなかなか味わえない感覚である。
ソフトウェア情報
- 「エリィのアクション」体験版
- 【著作権者】
- Xtal Sword
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- 体験版
- 【バージョン】
- 1.00