石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

PC用ゲームパッドが1万円を超える時代。なぜこんなに高いのか?

「DualSense」

PS5用のゲームパッドがPC用として展開

 PlayStation 5用のゲームパッドをPC向けにパッケージ化した「DualSense ワイヤレスコントローラー ミッドナイト ブラック + USBケーブル for PC」が3月5日に発売される。

 PS5のゲームパッドである「DualSense」は、基本的にはPS5向けの製品だが、PCにも接続できる。例えば「Steam」にはPS5やNintendo Switch向けのゲームパッドのプリセットも用意されており、多くのゲームで快適に使えるようになっている。

「Steam」ではPS5やSwitchのゲームパッドに最適化する設定が用意されている

 これは今の時代において当然の結果ではある。PS5、Xbox Series X/S、Switch、そしてPCというゲームプラットフォームで、マルチプラットフォーム展開されるゲームはとても多い。たとえPCで遊ぶにしても、PS5やSwitchで使い慣れたゲームパッドで遊びたいというニーズは当然あり、ゲーム側も対応が難しくないことは多いはずだ。

 ただ、この各ゲーム機の純正ゲームパッドが、とても高価になっている。いったいなぜこんなに高くなってしまったのか、それだけの価値があるのか、分析していく。

ゲームパッド1つで1万円以上の価格設定

 先日発表された「DualSense ワイヤレスコントローラー ミッドナイト ブラック + USBケーブル for PC」は、「DualSense」にUSBケーブルを付属したもの。商品としては真新しいものではないが、明確にPC向けをうたった売り方をしてきたことが変化を感じさせる。

 ソニーは少し前から、PC向けのゲーミングブランド「INZONE」を展開している。同社が元々強みを持つヘッドセットやモニターはもちろんのこと、キーボードやマウスも展開が始まっている。しかしゲームパッドの展開はなかった。「DualSense」をPC向けに投入するのは、その穴を埋めるという狙いもあるはずだ。

ソニーのゲーミングデバイスブランド「INZONE」

 この「DualSense」だが、PC向けの新パッケージの価格は11,480円。純正ゲームパッドで1万円以上するのかと驚かれる方もいらっしゃるだろう。実は先行するPS5向けのパッケージでも、価格は同じ11,480円となっている。PC向けではUSB Type-Cケーブルが付属するが、価格は据え置かれた形だ。

「DualSense ワイヤレスコントローラー ミッドナイト ブラック + USBケーブル for PC」

 PS5の発売当時は、「DualSense」は7,678円だった。それから2度の値上げを経て、現在の価格となっている。元々の価格も結構高いと感じられるかもしれないが、1万円の大台を超えると抵抗感が強まる。

 『たかがゲームパッドなのに、なぜこんなに高いのか?』という疑問を持たれるのも当然のことだ。一言でいえば、中身が多機能に進化し、『たかがゲームパッド』とは言えない贅沢なデバイスになったためだ。

多機能になった現代のゲームパッド

PC向けに用意されるミッドナイト ブラックカラーの「DualSense」

 「DualSense」を見て、どんな機能があるのかおわかりになるだろうか。方向ボタンに○×△□のボタン、L1/L2とR1/R2ボタン、そして2本の押し込み可能なアナログスティック(L3/R3ボタン)。初代PlayStationの頃に登場した「DUALSHOCK」のデザインを踏襲しただけで、何が違うのかと言われそうだ。

 ちなみにPlayStationで初めて2本のアナログスティックを搭載したゲームパッドは「DUALSHOCK」ではなく「PlayStationアナログジョイスティック」だ。デザインはとても似ているが、「DUALSHOCK」では振動機能が強化されている。……というのは余談で、話を戻そう。

 L2/R2ボタンはアダプティブトリガーと呼ばれ、ゲーム内の状況に合わせてトリガーの抵抗力を変えられる機能を持っている。ただのボタンではなく、ゲームパッド側で押す重さを変化させられるという面白い機能だ。

 本体中央にある平らなスペースは、タッチパッドになっている。PCのマウス操作をタッチパッドで行うことを想定すると、便利さがわかるはずだ。またタッチパッド自体もボタンになっている。

 ボタン類はほかに、メインメニューを呼び出すPSボタン、スクリーンショット撮影などに使えるクリエイトボタン、オプション機能を呼び出すオプションボタン、マイクの音をオフにするミュートボタンも搭載されている。よく見ると小さいボタンがいくつもあるのがわかるはずだ。

 振動機能も強化されている。デュアルアクチュエーターを搭載することで、より緻密で多彩な振動を生み出せるようになった。同社はこれをハプティックフィードバックと呼んでいる。

 さらにマイクとスピーカーも搭載されている。マイクはボイスチャットの際にそのまま使用できる。スピーカーは本格的なゲームサウンドを出すためのものではないが、効果音を出したりするなど使い道がある。

 ヘッドセット端子も搭載。手持ちのヘッドセットを接続すれば、ゲームのサウンドを聞いたり、外付けマイクでボイスチャットもできる。つまりゲームパッド内にUSBオーディオデバイスが内蔵されているのである。

 接続はUSBの有線接続だけでなく、Bluetooth接続にも対応している。バッテリーは内蔵されており、USB接続で充電して使える。

 このほか、加速度センサーとジャイロスコープも搭載。ゲームパッド自体の動きをゲームに反映させられる。

 できるだけ機能を挙げてみたが、このとおり、ゲームパッドという言葉では到底片付けられないほどの機能が詰め込まれている。これ自体が立派なハイテクデバイスなのである。『これだけ入って1万円なんてお安い!』と思えるかどうかはわからないが、PCに接続して便利に使える機能が多数あることはおわかりいただけるだろう。

高価だが、PC用ゲームパッドを好みで選べる良い時代でもある

 他社の純正ゲームパッドも似たようなもので、見た目以上に様々な機能が搭載されており、価格も1万円前後になってきている。最も高価なのが「DualSense」なのは確かだが……これに昨今の世界的物価高騰が加わり、今の価格になっている。

 なおPlayStation 5向けのゲームパッドには、「DualSense Edge」という上位機種も用意されている。背面ボタンの追加、L2/R2ボタンの深さ調整機能、交換可能なアナログスティックキャップ、各種ボタンの機能カスタマイズなど、大幅に機能が追加されている。価格は34,980円。

34,980円の「DualSense Edge」

 3万円となるとすさまじい値段だなと感じるかもしれないが、キーボードやマウスなどのゲーミングデバイスと比べれば、高級品ならそのくらいかと納得できる感覚もある。サードパーティ製の製品でも、ハイエンドになると3万円を超えるものを各社展開しており、耐久性の高いTMRセンサースティックなど最新技術を搭載したものが流行している。

 もっとも、安いものは変わらず1,000円台から手に入るので、どれを使うかはユーザーの自由だ。個人的にはPCならXbox純正ゲームパッドは持っておいて損はないと思う。あらゆるPCゲームのベースとなる仕様で、よほど古いゲームでない限りは困ることはないし、操作感も良好だ。

 PC向けにUSBケーブルがセットになった「Xbox ワイヤレス コントローラー + USB-C ケーブル」も用意されている。価格は9,130円で、「DualSense」より少し安い。PlayStationのアナログスティックが平行に並ぶ形が好きなのであれば、「DualSense」がよい選択肢になるのも確かだ。PCゲームにおける選択肢が増えたことは素直に喜びたい。

PCの標準ゲームパッドとして、Xbox向けの純正品が1つあると安心だ
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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