石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

ゲーマー視点で選ぶ衆議院選挙の投票先 ~各党の公約にゲームの話はあるのか?

総務省のWebサイト

選挙にゲームは関係あるのか?

 第51回衆議院議員総選挙が2月8日に投票日を迎える。戦後最短とされる解散から投開票までの日程で、有権者が投票先を考える時間はとても少ない。

 今回の選挙の争点は、高市内閣の信任を問うという方向性のもと、物価高対策や安全保障対応などが挙げられている。いずれもここ最近のニュースをにぎわす話題が多く、今後の日本の方向性を国民が示すうえで重要な選挙になる。

 ただ、これらの争点がピンと来ない、各党の違いが見えにくいという方もいらっしゃるだろう。ならば、ゲームに対する政策で比較してみてはどうか。

 『ゲームと政治に何の関係があるのか?』と思われるかもしれないが、日本が世界に誇るコンテンツであるゲーム産業の活性化や、eスポーツの推進、教育への活用、表現の自由など、ゲーム業界に直結する政治的事柄は多い。

 ゲームに関連する話題としては、円安や物価高、半導体政策などもあるが、そこまで行くと話が広がり過ぎるので、今回はゲームそのものに絞って各党の公約を眺めてみたいと思う。

各党の公約からゲーム関連の内容を探る

 まずは各党の公約を確認する。そもそも公約とは、選挙の立候補者が『当選したらこういうことをやります』と約束するもの。また政党が『我々はこういう政治をします、目標を掲げています』とする約束だ。

 似たものとしてマニフェストがあり、こちらは政策実現のための手段や期限などを具体的に示すもの。ざっくり言うと、『物価高対策を最優先に行います』と言えば公約、『物価高対策のためにこういう方法をいつまでにやります』と言えばマニフェスト、というイメージだ。

 以下は各党の公約から、ゲームやコンテンツ産業に関わる文言を抜粋したもの。また政党名には、公約が書かれたWebサイトへのリンクを用意している。政党名の並びは、解散前の議席数の順。

  • 自由民主党
    ゲームを含むコンテンツ産業における、基金による支援を含むクリエイター等の育成を進める。新たなクールジャパン戦略に基づき、国際競争力の強化や海外展開等の取り組みを推進する。
  • 中道改革連合
    ゲーム等の海外展開を加速させるとともに、クリエイターへの投資を強化する。日本のコンテンツ力を世界一の稼ぐ力へと育て、貿易・サービス収支改善にもつなげる。
  • 日本維新の会
    表現の自由を最大限尊重し、ゲーム等の内容に行政が過度に干渉しないコンテンツ産業支援を目指す。クリエイターの育成支援などを行う。NFTに対してイノベーションを阻害しないルール作りを行い、コンテンツ産業の発展を後押しする。
  • 国民民主党
    クールジャパンコンテンツを海外に積極的に展開し、雇用を増やす産業構造をつくる。
  • れいわ新選組
    関連する記述は見当たらない。
  • 日本共産党
    AIの利用についてリスクを4段階に分類。最もリスクが低いゲームなどでは強制的な義務を課さない。「児童ポルノ規制」を名目にしたゲームなどへの法的規制の動きに反対する。青少年のゲーム・ネットの利用について、一律の使用時間制限などの法規制に反対する。
  • 減税日本・ゆうこく連合
    関連する記述は見当たらない。
  • 参政党
    コンテンツ産業の国際競争力強化を支援する。
  • 日本保守党
    関連する記述は見当たらない。
  • 社会民主党
    関連する記述は見当たらない。
  • チームみらい
    関連する記述は見当たらない。

 以上の内容は、今回の選挙に対する公約から抜粋している。これ以外に、各政党が常時示している基本政策に記述があると思われる。ただ今回の選挙公約として掲げているということは、今現在、ゲームに対する政策を重視すべきと考えているかどうかの表れと見られるので、1つ有意義な見方であると思っている。

 公約やマニフェストは各党ともかなりの量になるので、見方によってはゲーム業界に関連する内容はもっと多く含まれている可能性がある。今回紹介した内容はあくまで筆者が見た上で判断したものに限られるので、興味がある政党はぜひ詳細をご覧いただきたい。

 その点もふまえた上での話だが、やはり想像していたとおり、ゲームに関連する公約は非常に少ない。ゲームという文言が少ないのはともかく、アニメや映画などと合わせたコンテンツ産業の推進に関しても、『今まで以上に頑張ります』という程度の話しか出てこなかった。

 見方を変えれば、コンテンツ産業は諦めて別の分野に投資しろ、クールジャパンは不要だ、といった文言はなかった。大きな政党としてはコンテンツ産業に対しても一応触れておく形ではあるが、他党との違いを出そうという感じはそれほどない。今回の選挙の争点ではなく、政策としても特段面白いアイデアはない、ということだろう。

ゲームを楽しみたいならどこに投票すべきか、と考えてもいい

 正直に言うと、これでも筆者が思っていたよりは、ゲームやコンテンツ産業に対する言及は多かった。また立候補者の中には、ゲーム業界関係者もおり、個人の公約でゲームに触れている方もいらっしゃるだろう。自分の選挙区の立候補者のプロフィールくらいは確認しておいても損はない。

 『そもそも選挙に興味はない。投票に行く時間があったらゲームをやりたい』というのもまた、ゲーマーにはありがちな感覚だと思う。あるいは、日本は何十年もゲームの発信国であり続けているのに、我々が誇るべきゲーム産業という空気感が生まれないのはなぜだと憤る方もいらっしゃるだろう。

 『この先も悠々自適にゲームをさせてくれる政党はどこだろう?』でも、『ゲーム産業を少しでも真面目に考えてくれる人は誰だ?』でもいい。投票のきっかけは些細なことでも構わないので、ぜひ自らに与えられた1票の権利を行使して欲しい。

 日本は国の行く末を決める国政選挙に、半分ほどの人しか参加していない。前回の衆議院議員総選挙の投票率は53.85%で、これは海外の主要国と比べても低い。政治に不満を言う前に、まずは投票に行ってみよう。投票済みのゲーマーなら、出口調査や開票速報をゲーム感覚で楽しめると思う。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。