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Google、政治家など狙われやすいユーザーに追加のダウンロードプロテクションを提供

怪しいファイルを“高度な保護プログラム”のクラウドスキャナーで調査

“高度な保護プログラム”のクラウドスキャナーへのファイルのアップロードを促す通知

 米Googleは9月16日(現地時間)、「Google Chrome」のダウンロードスキャンのオプションを“高度な保護プログラム”ユーザー向けに拡張したと発表した。

 “高度な保護プログラム”(Advanced Protection)は、高度な公共性をもつ情報と日常的に接していたり、標的型攻撃で得られる金銭的・政治的な利得が大きいといった理由で、2段階認証をはじめとする基本的なセキュリティシステムだけでは不安なユーザー(政治家やジャーナリストなど)を対象としたセキュリティ機構。フィッシングや情報漏洩、アカウントの乗っ取りといった脅威に対し、追加の保護を提供する。

 もともとは“Google アカウント”を乗っ取りから守る仕組みだったが、昨年8月からは「Google Chrome」のダウンロード保護も実施。「Google Chrome」には“セーフ ブラウジング”と呼ばれるダウンロード保護機能が初めから備わっており、詐欺サイトや悪意あるソフトからユーザーを保護しているが、それだけではカバーできない脅威にも対応できるようになっている。

 今回の拡張では従来の警告に加え、ファイルを開く前に“Google セーフ ブラウジング(Safe Browsing)”のマルウェア検出技術でフルスキャンするオプションが追加された。ユーザーがファイルをダウンロードすると、“セーフ ブラウジング”はファイルのハッシュなどのメタデータを用いてクイックチェックを実行し、そのファイルが身元確かなものかどうかを評価する。そして、リスクはあるが危険であるかどうかはっきりしない場合、「Chrome」はユーザーに警告してファイルをクラウドスキャンのために送信するよう促す。

 ユーザーがファイルの送信を選択すると、「Chrome」は“セーフ ブラウジング”にファイルをアップロードし、静的・動的解析技術を駆使してリアルタイムでファイルをスキャンする。ファイルが安全でないと判断されれば、「Chrome」は改めてユーザーに警告を発する仕組みだ。ファイルが安全であると確信している場合は、警告を回避し、スキャンを行わずにファイルを開くこともできる。なお、アップロードしたファイルはスキャン後に削除されるとのこと。

 同社は、アメリカの大統領選挙が迫っており、政治キャンペーンのメンバーのアカウントはとくに標的にされやすくなっているとして、“高度な保護プログラム”への加入を呼び掛けている。もちろん、これは日本のユーザーにとっても有用なものだ。