石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
PC用ゲームパッドは「Xbox公式ライセンス商品」を選ぶべき理由
マイクロソフトの認証制度に基づくA/B/X/Yボタンの配置がポイント
2026年2月26日 16:56
安くても安心できるPC用ゲームパッドが欲しい
PC用ゲームパッドの価格は年々上がっている。多彩な機能が搭載されたことに加え、アナログスティックのドリフト問題などに対応した高耐久性も求められたことが価格を押し上げている。さらに昨今の物価高騰で、各社のゲームパッドは値上げが続いている。
PC用ゲームパッドの標準となっているのは、マイクロソフト製の「Xbox ワイヤレス コントローラー + USB-C ケーブル」で、価格は9,130円。店頭ではいくぶん安く売られているとはいえ、ゲームパッド1つで1万円近くする時代になっている。
さすがにそこまで高価なものは気軽に買いづらいだろう。かといって、2,000円程度の激安の製品でいいのかどうかも悩ましい。1万円は出せないけれど、一定の安心が欲しいという方におすすめしたいのが、「Xbox公式ライセンス」の製品だ。
Xbox 360のゲームパッドから生まれたXInputがPCゲームの標準
Xbox公式ライセンスは、マイクロソフトが提供するXboxパートナーハードウェアプログラム「Designed for Xbox」に基づいて開発された製品に与えられる。一言でいえば、Xboxでの動作テストをクリアした製品だ。
PCゲームなのになぜXboxが出てくるのかと言うと、先述のとおり「Xbox ワイヤレス コントローラー」がPCゲームの標準製品となっているからだ。マイクロソフトはXboxブランドを家庭用ゲーム機だけでなく、PCゲームにおいても展開している。Windowsのゲーム管理アプリの名前がまさに「Xbox」であることからもわかる。
また、最近のPCゲームの入力は「XInput」が基本となっている。これはXbox 360用純正ゲームパッドをPCで使うために用意された規格で、A/B/X/Yといったボタンの配置をXboxのデザインに合わせてある。
それ以前にあった「DirectInput」ではボタン配置は考慮されておらず、製品によってまちまちだった。XInputによって規格として事実上統一されたことにより、ゲーム開発者はPCゲームにおいてもボタン配置を確定させた状態でゲームを作れるようになっている。
つまり、XInputに対応したゲームパッドなら、PCに接続し、最新のゲームからも認識できるはずだ。よってXInputに対応したゲームパッドを選ぼう……と言いたいところなのだが、最近はそうもいかない事情が出てきた。
SwitchとPCに両対応の製品に注意
XInputはXbox用ゲームパッドのボタン配置を前提にした規格だが、ゲームパッド側がそのボタン配置に従わなければならないというルールはない。XInputの規格に合わせた電気信号がゲームパッドから発せられさえすればいいわけで、実際のボタンがどこにあろうが問題はない。
この点で注意が必要なのは、マイクロソフト以外の家庭用ゲーム機に向けたゲームパッドだ。特に影響が大きいのがNintendo Switch用のゲームパッド。Xbox用ゲームパッドと見比べると、AとB、XとYのボタン配置がそれぞれ逆になっている。
しかしサードパーティ製のSwitch用ゲームパッドを見ると、その多くがXInput対応をうたっており、PCでも使用できるようになっている。つまりPCでも使用できるようになっている。この場合、Xbox用ゲームパッドでAボタンを押すつもりでSwitch用ゲームパッドの同じ場所のボタンを押すと、Bボタンを押すことになる。ゲーム側で認識される入力は、もちろんBボタンだ。
これはユーザー側がそういうものだと思って慣れてしまうのもありだし、「Steam」などのソフトウェア側でボタン配置を変更して対応する方法もある。個人レベルでは好みの範疇とは言える。
ただ、ゲーム内のチュートリアルでゲームパッドの図を出しながら『この位置のボタンを押して』というガイドが出ると、Switch用ゲームパッドのユーザーはガイドと違う場所のボタンを押さねばならない。XInputならXboxと同じボタン配置だという前提が崩れ、ユーザーが違和感を覚えることになる。
Xbox公式ライセンス商品の安心感
PCゲームを遊びたいなら、ゲーム開発者が想定するボタン配置の製品の方が無難だ。そこで1つの基準となるのが、Xbox公式ライセンスである。
家庭用ゲーム機のXboxにおいては、Xbox公式ライセンスの認証を受けていないゲームパッドは、使用できなかったり、想定どおりに動かない可能性がある。Xbox公式ライセンスの本来の目的は、Xboxでの動作保証である。
PCでの利用に関しては、XInputに対応していれば原理的には使える。さらにXbox公式ライセンスの認証を受けた商品であれば、Windowsを提供するマイクロソフトの認証を得た商品であり、PCでの利用においても一定の品質があると判断する指針になる。
そして、ボタン配置が開発者の想定どおりになっているということが重要だ。特にXboxとSwitchのゲームパッドは、アナログスティックの配置を含めて、外見がとても良く似ている。それだけに、ボタン配置のズレに気づかず『PC対応、XInput対応と書いてあるから大丈夫』と信じて買って、触ってみたら違和感が出る、ということになりやすい。
ただし、Xbox公式ライセンスを受けたからといって、ボタン配置が必ずXbox純正と同じと決まっているわけではない。わかりやすいところでは、格闘ゲーム向けのゲームパッドがある。右手親指で押すボタンを、標準のA/B/X/Yの4ボタンに2ボタンを加えて6ボタンにしたものだ。この場合、Xbox用ゲームパッドのデザインから逸脱してしまう。
HORIの「Fighting Commander OCTA for Xbox Series X|S」は、この6ボタンタイプでありながらもXbox公式ライセンスの製品で、Windows PCでももちろん使える。マイクロソフトも、Xboxの基本的なボタン配置を絶対に守れと言っているわけではなく、特定のゲームで必要に応じた配置変更は認めている。
とはいえこの製品も、A/B/X/Yの配置はXboxを踏襲しているし、ボタンの文字の配色や中央のXboxボタンなども共通仕様として盛り込まれている。このあたりはXbox公式ライセンス商品の安心感と言っていいだろう。
サードパーティ製にしかない先進的機能も魅力
注意点としてもう1つ。Xbox公式ライセンス商品だからといって、純正品である「Xbox ワイヤレス コントローラー」と同等の機能を有しているとは限らない。
そもそも「Xbox ワイヤレス コントローラー」自体が進化を続けている。現在のXbox Series X|S用のものには、前世代機となるXbox One用のものにはなかったシェアボタンが追加されている。
マイクロソフト自身が販売している高級ゲームパッド「Xbox Elite ワイヤレス コントローラー シリーズ 2」では、このシェアボタンが搭載されていない。代わりに背面ボタンが追加されるなど、標準仕様にない機能も盛り込まれている。
これは必ずしも悪いこととは言えない。サードパーティ製の製品が、純正品を超える性能や機能を持たせられる余地があるからだ。
例えば純正品はやや重量が重めで、ワイヤレス接続機能も持っている。ユーザーの好みで、接続は有線でよく、より軽いものを求めるなら、サードパーティ製の方がニーズに合うものになるだろう。
また最近の流行として、アナログスティックにホールエフェクトセンサーやTMRセンサーといった磁気センサーを採用し、ドリフト現象と呼ばれる問題を起こりにくくした製品も増えている。ボタンの部材にマイクロスイッチを採用して高耐久性を謳うものや、LT/RTのトリガーの押し込みの深さを調整できるものなどもある。
こういった仕様はサードパーティ側に任せられており、純正品より安価な製品もあれば、高耐久・高機能を追求して3万円以上もする製品もある。サイズや形状もさまざまなバリエーションがあり、ニーズに合う商品が見つけられるはずだ。純正品にはない先進的機能が盛り込まれた製品も多く、あえて純正品ではなくそちらを選ぶという選択も十分あり得る。
以上の理由から、筆者はXbox公式ライセンス商品を1つ持っておくことをおすすめする。もし諸々の内容を理解した上でライセンスを取得していない商品を選ぶなら、少なくともA/B/X/Yボタンの配置が「Xbox ワイヤレス コントローラー」と同じになっているものを選ぶといい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。




















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