使ってわかるCopilot+ PC

第71回

AIが写真を名画に描き換え!「ペイント」の新機能「スタイル変更」は想像よりすごいぞ

「ペイント」の新機能「スタイル変更」

「ペイント」で写真を絵にする新機能

 「Copilot+ PC」のAI機能が最も充実しているのは、今や「ペイント」かもしれない。先日のアップデートにより、「ペイント」の新たなAI機能として「スタイル変更」が追加された。

 機能名からお気づきの方も多いと思うが、以前から「フォト」に実装されているAI機能「リスタイル イメージ」に類似したものだ。「フォト」アプリはメインの被写体を残しつつ背景を加工するという方向性だったが、「ペイント」は画像全体を加工する。

想像よりすごいクオリティの絵が出てきた

 使い方は、適当な画像を読み込むか、何か描くかした後、上段のメニューから[Copilot]をクリック。その中にある[スタイル変更]を選択すると、画面右側に[スタイル変更]メニューが現れる。

「スタイル変更」を選択

 [油絵]が選択されているボックスをクリックすると、9つのスタイルが表示される。その中から好みのものを選んだ後、右にある[生成]をクリック。画像サイズによるが、数秒程度待つと指示したスタイルに描き換えた画像が出力される。

9つのスタイルが選べる

 作業としてはこれだけで、とてもシンプルだ。早速試してみよう。まずは[油絵]から。

[油絵]

 気軽に試したら、想像以上に見事な油絵が出てきて驚いた。筆者には絵心がないので、細部がどうだと講評はできないが、たった数秒待つだけでこのクオリティの絵が出てくるのは素直に驚くしかない。

 他のものも試してみよう。[水彩]だとこうなる。

[水彩]

 油絵と水彩画の違いは明白だし、これも絵としてしっかり描かれているように見える。人物の描き方が若干雑な感じもするが、風景の描き方は遠近感の描写も含めて、とても雰囲気が出ている。

 次は[ポップアート]。

[ポップアート]

 なるほど確かにポップアートらしさが出ている。これまでの絵と比べて、背景もポップアート向けにアレンジされているのがよくわかる。他のスタイルもそうだが、元の絵を忠実にポップアート化したわけではなく、あくまで素材として好きなようにアレンジしましたという印象だ。

 次は[印象主義]。

[印象主義]

 これを見た時が一番驚いた。誰が見ても印象派の絵画だと言いたくなる描写だ。AIにありがちなちょっとした歪みも、印象派と言ってしまえば絵の味になっているようにも感じる。写真を何枚か印象主義にしたら、それっぽいギャラリーにできそう……というのはさすがに暴論だと思うが、素人目には立派な絵にしか見えない。

 他のものも見ていくと、それぞれ言いたいことはとてもよくわかるアレンジがなされる。描写の洗練度には違いがあるが、AIの学習データや元絵の向き不向きなどもありそうだ。

[ピクセルアート]
[フラット イラスト]
[インク スケッチ]
[ヴィンテージ コミック]
[クレヨンで描いた絵]

 どれを選んでも欧米人っぽい顔にされるのはご愛敬だが、全体として元絵のイメージを持たせたまま大幅なアレンジを加えつつ、絵として違和感がないクオリティを保っているのがすごい。そのまま額に飾っておいても違和感を持つ方は少ないのではと思えるくらいだ。

 イメージイラスト作りなどで十分実用に耐えると思われるので、覚えておくと役立つ機会がありそうだ。特に風景写真ではかなり遊べると思うので、ぜひお試しいただきたい。

NPUもしっかり動いている
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/