使ってわかるCopilot+ PC

第111回

「Microsoft PowerToys」に追加されたローカルAI機能を試してみた

SLM「Phi Silica」がクリップボードの内容をユーザーの指示どおりに加工

「Microsoft PowerToys」にある「Advanced Paste」の設定画面

「Microsoft PowerToys」にCopilot+ PC専用機能が追加

 Windows用カスタマイズユーティリティ「Microsoft PowerToys」の最新版となるv0.101.2362.0で、「Advanced Paste」という機能にCopilot+ PC専用の機能が追加された。本ソフトは古くからあるものだが、そこに新しいAI機能が搭載されたという点で面白いのでご紹介したい。

 「Advanced Paste」は、クリップボード上にあるデータに何かしらの加工を施して貼り付けるという機能。そこに[AI を使用して貼り付ける]という追加機能があり、選べるAIとして新たにCopilot+ PCで使用できる小規模言語モデル(SLM)「Phi Silica」が追加された、というものだ。実際に試してみよう。

「Phi Silica」でテキストを加工する機能

 「Microsoft PowerToys」は、Microsoft Store、またはMicrosoftのGitHubから無料でダウンロードできる。今回はMicrosoft Store版を利用した。

Microsoft Storeから「Microsoft PowerToys」をダウンロード

 インストールが終わったらソフトを起動。左側のタブから[システムツール]-[Advanced Paste]と進む。初期設定では[Advanced Paste]はOFFになっているため、これをONにする。続いてその下にある[AI を利用して貼り付ける]もONにする。

[Advanced Paste]と[AI を利用して貼り付ける]をONにする

 さらにその下の[モデル プロバイダー]で[モデルの追加]をクリックし、[Phi Silica]を選択する。「Phi Silica」の設定画面が表示され、『このデバイスで使用可能で、準備ができています』と表示されれば設定は完了だ。「Phi Silica」はCopilot+ PCならほぼ間違いなくインストールされているはずだが、なければここでダウンロード処理が入ると思われる。

[Phi Silica]を選択
「Phi Silica」が使えるかどうかのチェックが入る

 この設定項目を見てわかるとおり、他にもクラウドAIやローカルAIを指定できる。今回はCopilot+ PCでのみ使用できる「Phi Silica」が追加された形だ。

 「Advanced Paste」を使用するには、[Windows]+[Shift]+[V]キーで呼び出す。この状態で、クリップボードにあるものをプレーンテキスト、Markdown形式、JSON形式でそれぞれ貼り付けられる。これは従来からある機能だ。

Markdown形式やJSON形式へ変換して貼り付け

 [AI を利用して貼り付ける]機能では、ウインドウの中央部にあるテキストボックスに、AIへの指示を入力。その指示内容に応じて、AIがクリップボードの内容を加工・修正した上で、ペーストできる。単なるコピー&ペーストや、Markdown形式などのありものの変換機能ではなく、AIに自分が求める処理を指示して実行させるという機能だ。

要約や箇条書きへの変換をNPUで処理

 実際に試してみよう。筆者が執筆した記事を1本丸ごと範囲選択してコピー。そして「Advanced Paste」を開いて、AI(今回なら「Phi Silica」)に『要約して』と指示を出した。

筆者の記事をそのままコピー

 待つこと30秒ほどで、Result(処理結果)が表示された。日本語は一部おかしいところがあるものの、記事本文を理解した上で内容をまとめているのがわかる。待ち時間が長くなったのは、記事1本丸ごと読ませたためで、分量が少なければもっと短時間で終わる。

コピーした記事を要約

 もう少しわかりやすくするため、『要点を箇条書きにして』という指示にしてみると、今度は内容を8項目に分割して箇条書きで出力した。自然言語の指示を理解し、元の記事の内容を把握した上で、指示通りに処理している。

箇条書きの指示にも従った

 処理中に「タスク マネージャー」で確認すると、NPUの使用率が90%程度まで上がっているのが確認できた。同じタイミングでCPUも30~50%程度使用しており、複数の処理を並列で行っているようだが、確かにNPUでテキストをAI処理しているのが確認できた。

NPUをしっかり使って処理している

 SLMによる処理内容そのものは真新しいものではないが、「Microsoft PowerToys」というメジャーなツールに、NPU処理によるローカルAIで動かす機能が入り込んできたこと自体が大きい。あらゆる場面でAIによる処理が増えていくのだろうと予感させられる。

 ちなみに、以前「Phi Silica」がGeForce GPUでも動作するようになるテストが始まったとお伝えした。こちらはまだテストが継続中のようで、筆者のGeForce GPU搭載PCで[AI を利用して貼り付ける]機能の「Phi Silica」を選ぶと、『Copilot+ PCが必要』という注意が表示されて使用できなかった。とはいえこちらも、そう遠くないうちには使えるようになるはずだ。

「Phi Silica」はまだGeForce GPUに対応していないようだ
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/