「Microsoft Office」は結局デスクトップ版が必要になる理由! 無料にはない便利機能を紹介
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2020年12月25日 06:45
年の瀬が押し迫ったこの時期、多くの家電量販店などで行われているのが年末年始セールだ。このチャンスを利用して、PCを買い換えようと考えている読者も少なくないのではないだろうか。
そのPCを選ぶとき、意識したいのが「Microsoft Office」がプレインストールされているかどうかだ。言うまでもなく、Microsoft Officeに含まれるWordやExcel、PowerPointといったアプリは、パソコンで文書や資料などを作成する際に必須とも言える存在である。このMicrosoft Officeがプレインストールされていれば、PCを買ってすぐにこれらのアプリを使って作業を進めることができる。
ただ、悩ましいのはWeb版のMicrosoft Officeの存在だ。これはWebブラウザ上でWordやExcel、PowerPointといったアプリを利用することができるサービスであり、Microsoftアカウントさえ取得すれば無料で利用できる。
Web版Microsoft Officeを使えば、WordやExcel、PowerPointを無料で利用できるのだから、わざわざプレインストールPCを買わなくてもいいのではないかと思うかもしれない。しかし、両者には利用できる機能に大きな違いがあり、Web版のMicrosoft Officeでは思い通りの資料を作成できなかったり、作業効率の点で不満を覚えたりする可能性がある。
なお、Web版と同様に無料でMicrosoft Officeを使う方法としては、AndroidやiOS/iPadOS向けに提供されているモバイル版のWordやExcel、PowerPointを利用する手もある。ただ、ディスプレイサイズが10.1インチを超えている場合、既存ファイルの参照のみが可能で、ファイルの新規作成や編集を行うことはできない。また、10.1インチ以下の端末であっても、利用できる機能には制限があり、すべての機能を利用するには、Microsoftのクラウドサービスである「Microsoft 365」のアカウントが必要となる。
それでは、具体的にMicrosoft Office 2019とWeb版Microsoft Officeでどのような違いがあるのか、以降で詳しく見ていこう。
Excel編
表計算ソフトのデファクトスタンダードとして、多くの人々に愛用されているのがExcelである。Microsoft Office 2019のExcelでは多くの機能を利用することが可能である一方、Web版やモバイルアプリ版ではさまざまな機能が省かれている。ここでは、Microsoft Office 2019でのみ利用できる、便利な機能を紹介していこう。
マップグラフ
世界各国・地域、あるいは日本の各都道府県などに関連するデータをグラフ化したいといったとき、便利なのが「マップグラフ」だ。
これはマップ上の各地域の色を塗り分けることで、値の大小やカテゴリを表現できる機能である。たとえば、都道府県ごとの売上を、日本地図でグラフ化するといったことが可能だ。
Web版Excelでは32種類(同種の3Dグラフは除く)のグラフを作成可能だが、その中にマップグラフは含まれていないため、この機能を使うことはできない。なおモバイルアプリのExcelでも、マップグラフの作成は不可能だ。
ピボットグラフ
データを集計する項目を自由に入れ替え、グラフを見ながらデータ分析を行うための機能として、Microsoft Office 2019のExcelで提供されている機能が「ピボットグラフ」である。
通常のグラフの場合、たとえば集計期間を変えたい、あるいは商品ごとではなく商品カテゴリごとに集計した結果を見たいといったとき、いちいちグラフを作り直す必要がある。しかしピボットグラフであれば自由に項目を入れ替えられるため、グラフを新たに作ることなく、集計期間を変えたり項目を変更したりすることが可能だ。
このピボットグラフもMicrosoft Office 2019のExcelであれば利用可能だが、Web版やモバイルアプリ版のExcelでは利用することができない。
マクロ機能
Microsoft Office 2019のExcelでは利用することができて、Web版Excelでは利用できない機能としてはマクロも挙げられる。
マクロは各種操作の自動化や、VBA(Visual Basic for Application)と呼ばれるプログラミング言語を利用した、高度な処理を行うための機能だ。このマクロを組み込んだExcelシートを業務で利用しているケースは多い。
しかしWeb版とモバイルアプリ版Excelでは、マクロの作成や編集、実行が不可能となっている(シートの内容を編集することは可能)。特に業務でマクロ付きExcelファイルを利用しているのであれば注意したいポイントだ。
PowerPoint編
プレゼンのためのスライドだけでなく、さまざまな資料の作成に利用されるアプリケーションがPowerPointだ。無料版では、インパクトの強い発表を行うための機能やわかりやすい資料を作るための機能、プレゼンをスムーズに進行するためのツールなどが省かれている。重要な業務で使うのであれば、やはりデスクトップ版が必要となるだろう。
ズーム
Microsoft Office 2019のPowerPointで、新たに追加された機能の1つが「ズーム」である。これは簡単に目次スライドを作ることができる機能であり、スライドの中に、セクションの先頭スライド、あるいは指定したスライドのサムネイルを配置することができる。スライドショー実行時、いずれかのサムネイルをクリックすると、そのサムネイルがズームしてリンクしたスライドが表示されるという仕掛けである。
便利なのは、見栄えのする目次スライドを簡単に作成できること。PowerPointで資料を作成する際、冒頭に目次を設けることは多い。このとき、ズームの機能を使えば簡単に各スライドのサムネイルが配置され、しかもリンクも自動的に設定されるため、すばやく目次スライドを作成できる。
この機能はWeb版やモバイルアプリ版のPowerPointでは利用できない。便利な機能なので、ぜひMicrosoft Office 2019のPowerPointで体験してみてほしい。
グラフの挿入
プレゼン資料を作成する際、数値をグラフ化して表現したいといった場面は少なくない。そこでMicrosoft Office 2019のPowerPointでは、Excelと同様のグラフを挿入する機能が用意されている。
一方、Web版のPowerPointではグラフを挿入することができない。別のアプリで作成したグラフを画像化して貼り付けるといった方法もあるが、手間がかかってしまうのが難点だ。
またモバイルアプリ版のPowerPointでも、グラフの挿入機能は省かれている。分かりやすい資料をすばやく作成したいのであれば、やはりMicrosoft Office 2019のPowerPointを使いたいところだ。
発表者ツール
PowerPointは単に資料を作成するだけでなく、作成した資料をスライドショーで表示してプレゼンを行うための機能も備えている。このスライドショーはどのPowerPointでも可能だが、大きく異なるのは発表者ツールの有無である。
発表者ツールとは、スライドショーとは別の画面に、ノートペインに入力したメモや発表開始からの経過時間などを表示する機能である。またスライドの移動や、次のスライドを表示する機能も備えている。この発表者ツールを使うことで、スムーズにプレゼンが行えるというわけだ。
Microsoft Office 2019のPowerPointなら発表者ツールを利用可能だが、Web版では使うことができない。なおiPadであれば発表者ツールは使えるが、プレミアム機能の位置付けとなっており、利用するにはMicrosoft 365のアカウントが必要になる。PowerPointをプレゼンツールとしても活用するのであれば、Microsoft Office 2019がベストだろう。
Word編
ワープロソフトとして幅広く使われているWordは進化し続けており、多数の便利な機能がこれまでに追加されている。ただWeb版やモバイルアプリ版はワープロとしての基本機能に留まり、Microsoft Office 2019と比較すると利用できる機能に大きな制限がある。
図形の描画
テキスト中心の文書作成ツールというイメージが強いWordだが、画像や図形、グラフを貼り付けて、より分かりやすい文書を作成することも可能である。
ただWeb版のWordでは図形を描画するための機能がないため、文書に図を貼り付けるには別のアプリで図を作成して取り込む必要がある。一方、Microsoft Office 2019のWordであれば、図形を描画するためのツールを使い、わざわざアプリを切り替えることなく文書内に図を作成することが可能だ。なおモバイルアプリ版は図形の挿入に対応している。
またWeb版Wordはグラフを作成して挿入することもできない。資料作成にWordを頻繁に利用していて、なおかつテキスト以外の要素を盛り込むことも多いといった場合、図形の描画やグラフの挿入ができないのは難点だろう。
アウトライン表示
特に長文を書き進めるといったとき、Wordの便利な機能が「アウトライン」表示だ。これはレベル1は大見出し、レベル2は小見出し、レベル3は本文といったように、複数のレベルで文書の構造を表現する仕組みである。
このアウトライン表示を利用すれば、まず大見出しと小見出しだけを考え、それによって文書全体の流れを確認した上で本文を書き出すといったことが容易にできる。また段落ごとに移動することが可能なため、文章を構成しつつ段落の前後を入れ替えるといった作業もスムーズに行えるのもメリットだ。
ただWeb版やモバイルアプリ版にはアウトライン表示の機能がなく、文書の構造をまず考えてから本文を書き出すといったことがやりづらい。
アイコンライブラリ
Microsoft Office 2019のWordやExcel、PowerPointに共通する便利な機能として「アイコンライブラリ」がある。これは「アクセシビリティ」や「コミュニケーション」、「スポーツ」、「ビジネス」など、さまざまなカテゴリのアイコンを文書に挿入できる機能だ。
アイコンの種類は極めて豊富で、読者の目線を向けるワンポイントとして、あるいは作成した図を分かりやすくするための要素としてなど、さまざまな場面で活用できる。また、Wordを使って何らかのチラシを作るといった場面でもアイコンは活用できるだろう。
ただ、この機能もWeb版Wordでは利用することができない。さまざまな場面で使える機能であるだけに、使えないのは残念なところだ。
意外と大きいデスクトップアプリとWeb版の差
ここまで見てきたように、デスクトップアプリのMicrosoft Office 2019とWeb版/モバイルアプリ版のOfficeは、同じOfficeであっても機能面で大きな差がある。
実際に比較していて感じたのは、 デスクトップアプリのMicrosoft Office 2019であれば様々な要素を含むプレゼンテーションやドキュメントを効率良く作成できる ことだ。分かりやすいのは、PowerPointやWordでのグラフの挿入機能だろう。Web版でもExcelでグラフを作成し、PowerPointやWordの文書に貼り付けることは可能だが、作業が繁雑で修正もしづらい。デスクトップアプリであれば、 わざわざアプリを切り替える必要がなく、集中してスムーズに作業を進められる 。
またデスクトップアプリは ユーザーの操作に対するレスポンスも良好で、サクサクと作業を進めることができる ことも大きなポイントだ。
今やOfficeはビジネスのみならず、学生のレポートや発表、家庭や地域のドキュメント作成など、生活のさまざまなシーンで利用されるアプリだ。WordやExcel、PowerPointを快適に使い、かつ質の高いドキュメントをすばやく作れることは生活の質の向上にもつながるだろう。マイクロソフトは「Office 2019 搭載モダン PC の魅力をご紹介」というコンテンツを公開して、本記事では触れられなかったOfficeの活用方法を紹介している。この冬から新年度のために在宅勤務やオンライン授業のためのパソコン選びをされる方には、あらかじめMicrosoft Office 2019がインストールされたPCを選択することをおすすめしたい。