特別企画
新「Windows Live Essentials」ベータ版を試す 第1回
各種SNSを統合、Webコミュニケーションを一元管理する「Windows Live Messenger」
(10/06/28)
25日に公開された「Windows Live Essentials」ベータ版は、これまで「Windows Live おすすめパック」として公開されてきたもの。マイクロソフト製の便利な無償ソフトをひとまとめにしたソフト集で、マイクロソフトのWebサービス“Windows Live”の次期バージョン“Wave 4”の一環となるものだ。「Windows Live Messenger」や「Windows Live メール」といったおなじみのソフトが同梱されており、日ごろからお世話になっている人も多いだろう。
“Windows Live Wave 4”ではメールサービス“Hotmail”、オンラインストレージサービス“SkyDrive”をはじめとする各サービスに大幅な機能改善が施されている。「Windows Live Essentials」もそれに歩みを合わせるように、大幅な機能向上が図られている。
そこで本企画では、4回にわたって「Windows Live Essentials」に含まれるソフトのレビューをお届けする。第1回となる今回は、メッセンジャーソフト「Windows Live Messenger」を紹介する。
「Windows Live Messenger」とは?
「Windows Live Messenger」は、前身となる「MSN Messenger」の初回公開から数えて、今年で10周年となる老舗のメッセンジャーソフトだ。世界で最も多くのユーザーを抱えるメッセンジャーソフトの1つでもある。
作りとしてはオーソドックスで、チャットをするメンバーをリストで管理するメインウィンドウと、チャットを行うチャットウィンドウからなり、テキストメッセージやファイルをリアルタイムに送受信できる。マイクやWebカメラなどを用意すれば、音声通話やビデオチャットも可能だ。
どこが変わった?
コミュニケーションの統合
新しい「Windows Live Messenger」(以下、「Messenger」)をインストールしてまず目につくのは、巨大なメイン画面だろう。これまでメイン画面にはチャットメンバーの管理機能ぐらいしかなかったが、新しい「Messenger」では“ソーシャルネットワークサービス(SNS)”のコンテンツを閲覧する機能が統合されたほか、これまで別ウィンドウで提供されていたポータルサイト“MSN”のニュースも閲覧可能になっている。
「Messenger」のメイン画面へSNSを統合するには、当該サービスを“接続”する必要がある。現在のところ、接続可能なのは“Facebook”および“MySpace”となっている。筆者は“Facebook”を利用しているので“接続”してみたが、メイン画面に“Facebook”の“ライブフィード”が表示されたほか、コンタクトリストに“Facebook”の“友達”が追加され、簡単にメッセージを送れるようになっていた。
もともと“Windows Live”もSNSの機能をもっているが、あまり活用している人はいないのではないだろうか。しかし、新しい「Messenger」ではほかのSNSに接続して、さまざまなSNSに散らばったコンテンツを「Messenger」のメイン画面だけで把握できるのは非常に便利。友人の近況やおすすめコンテンツにコメントをつけることも可能なので、今後は活躍シーンが増えそうだ。
現在のところ対応SNSは少ないが、日本発のWebサービスである“mixi”“ニコニコ動画”などとの“接続”も視野に入っているようで、開発者向けのプラットフォームも公開されている。今後の展開に注目したい。
なお、なかにはSNS機能は必要ないので、従来のコンパクトなメイン画面がよいというユーザーもいるだろう。その場合はメイン画面右上のボタンで、従来のコンパクトなメイン画面へ切り替えることもできる。
- 「Messenger」のステータステキストと“Windows Live”の“更新情報”
「Messenger」のステータステキストは、“Windows Live”においては“Twitter”のツイートのような存在であるといえる。ステータステキストに自分の近況や友達へのコメントを書き込んでいたユーザーは多いと思われるが、そんな気軽なノリでステータステキストを書き込めば、“Windows Live”の“更新情報”欄に取り込まれ、タイムラインとして表示することができる。
さらに、「Windows Live Essentials」に含まれる「Messenger コンパニオン」を利用すれば、“更新情報”と「Messenger」のステータステキストへ、コメントつきでWebページへのリンクを追加することが可能。「Messenger コンパニオン」はIEアドオンになっており、IEでWebページを閲覧中に[Ctrl]+[Alt]+[C]キーを押せば、閲覧中ページを“Windows Live”へ投稿できる。
チャット画面でWebコンテンツを共有する
これまでのメッセンジャーソフトでWebコンテンツの共有するには、URLを伝えて、それぞれがWebブラウザーで閲覧し、それについてコミュニケーションをとるという方法が一般的だった。しかし、新しいベータ版ならばWebコンテンツの共有が簡単に行える。
たとえば、チャット画面では同社の検索サービス“Bing”を利用して検索した画像・動画コンテンツを共有することも可能になった。また、日ごろオンラインストレージサービス“SkyDrive”を利用しているユーザーならば、“SkyDrive”上のフォトアルバムをチャット画面内で同時に閲覧することもできる。
HD画質のビデオでコミュニケーション
さらに、新しいベータ版ではHD画質でのビデオチャットにも対応。また、オフラインのユーザーに対してビデオメッセージを送れるようになった。テキストや音声だけでは伝わりにくいニュアンスも、ビデオメッセージでなら伝えられるかもしれない。
そのほかの改善点
そのほかの改善点としては、チャットウィンドウがタブ切り換え型になったことが挙げられる。これまで、複数のユーザーと同時にチャットをしているとウィンドウが散らばってしまって収拾がつかなくなることもあったが、その心配もなくなる。
また、Windows 7のタスクバーに対応し、ジャンプリストから“お気に入り”に分類したユーザーとのチャット画面を直接開けるようになった。在籍・離席・取り込み中といったステータスの変更も容易になっており、タスクバーのライブサムネイルから変更可能になったほか、相手のユーザーごとにステータスを設定できるようになっている。
使ってみよう ―― 体験を共有する
最後に、新しい「Messenger」を利用してアメリカへ留学中の友人と久しぶりにチャットを楽しんでみた。
接続先はアメリカの東海岸のホテルだったが、接続自体にはなんら問題はなく、テキストチャットはもちろん、ビデオチャットも多少のコマ落ちはあったが普通に行えた。ただし、ビデオチャットの品質は若干「Skype」のほうが優秀なようにも感じられたほか、チャット画面内での動画共有機能は利用できなかった。
新しい「Messenger」の機能のなかで、とくに便利だと感じたのはチャット画面内での写真の共有機能。“SkyDrive”に保存しておいた思い出の旅行写真を共有してみたのだが、仕事中にもかかわらずついつい思い出話で盛り上がったしまった。もちろん、“SkyDrive”へまだアップロードしていない写真の共有も可能。
友人も“SkyDrive”での画像共有に興味をもってくれたようで、現地の写真を今度アップロードしてくれるという。SNSや画像共有サービスを紹介してあげてもなかなか習慣的に利用するに至らない友人だが、思わぬところでよいきっかけになったようだ。ちゃんと約束を守って写真をアップロードしてくれれば、メイン画面に更新情報が掲載されるはずだし、やり方がわからないというのであれば、「Messenger」から簡単に利用できる遠隔PC操作機能“リモートアシスタント”で教えてあげることもできそうだ。
- 【著作権者】
- Microsoft Corporation
- 【対応OS】
- Windows Vista/Server 2008/7/Vista x64/Server 2008 x64/7 x64
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 2010 (Build 15.3.2804.607)(10/06/25)