特集
“IT 勉強会スタンプラリー”で行く、全国コミュニティ探訪
第1回 “プログラミング生放送”勉強会(北海道・札幌)
“IT 勉強会スタンプラリー”とは、日本各地で開催されるプログラミングやインターネット技術に関する勉強会に参加してスタンプを集めるイベント。3月31日から開催されており、開催期間は来年の3月31日までの1年間。参加費は無料で、イベントに加盟する勉強会に参加してスタンプの台紙をもらえばだれでも参加できる。
当初の加盟コミュニティは約30だったが、その後増え続け、現在では53となっている。各コミュニティは北海道から九州に至るさまざまな地域で活動しており、取り扱うジャンルも、プログラミング言語、フレームワーク、データベース、開発技法など、非常に多岐にわたる。自分の知識や能力を伸ばしたい人や、同じ話題を語り合える仲間を探したい人、会社や業界の垣根を超えた人脈を作りたい人にはもってこいのイベントと言えるだろう。
しかし、興味はあってもいざ参加するとなると躊躇してしまう人も多いのではないだろうか。そこで本企画では、6回(予定)にわたって“IT 勉強会スタンプラリー”に参加するコミュニティを実際に訪ね、その活動内容と魅力をお伝えしようと思う。少しでも参考にしていただければ幸いだ。
“プログラミング生放送”勉強会とは
今回参加したのは、“プログラミング生放送(プロ生)”が開催している勉強会。“プロ生”とは、オンライン参加が可能な勉強会コミュニティで、セッション形式の勉強会の様子が“ニコニコ生放送”や“Ustream”で中継されるのが特長。会場に足を運ばなくても参加できるので、とりあえず“IT勉強会がどのようなものか”を体験したい人にお勧めしたい。
また、「MISAO」を利用して“ニコニコ生放送”やTwitterのコメントをセッションのスライド上へ流す“ニコニコメソッド”を採用しており、リアルタイムでの質疑応答やプレゼンターと視聴者の掛け合いが楽しめるのも、“プロ生”の醍醐味。若者を中心に人気のある“ニコニコ生放送”を主な舞台としている影響か、参加者の年齢層が比較的低いのも特長。高校生がセッションやライトニングトークに参加するのも珍しくはない。
なお、開催地はとくに定まっておらず、日本全国の都市を毎回巡る形式。今年はこれまで愛媛、東京、大阪、名古屋で開催されており、今回の舞台は、北海道・札幌市。地元のコミュニティ“CLR/H”“Sapporo.cpp”(それぞれ後述)との共催となっている。会場は日本マイクロソフト(株)北海道支店のセミナールームで、41名が会場参加した。
- “Sapporo.cpp”とは
“Sapporo.cpp”は、“.cpp(C++言語のソースコードの拡張子)”という名前でもわかるように、C++言語の学習と議論の場として設立された札幌のコミュニティ。今回の勉強会では、ほっと(@hotwatermorning)氏とらぴす(@lapis_tw)氏のコンビで“C++ VST Programming”のセッションを担当されていた。
各セッションの紹介
“プロ生”勉強会は、30分から1時間程度のセッション形式。プログラミング・開発に関わることならば、プログラミング言語やOSなどを一切問わない“ノンジャンル”で行われている。
C++ 使ってブラウザで動くチャット作ってみた
今回の最年少スピーカーきゅぶんず氏による、Webブラウザーで動作するアプリをC++言語で書きたいという人を対象とした“Native Client (NaCl) ”の紹介。“NaCl”アプリからファイルやオーディオなどへアクセスするための“Pepper API”についても解説されていた。
マウスとタッチで簡単プログラミング
Androidアプリが作れる“App Inventor”と、Windows Phoneアプリが作れる「TouchDevelop」を紹介。どちらもほぼノンコーディングでプログラミングが可能で、プログラミング言語はわからないけれど何か作ってみたい人にはお勧めできる。
セッションを担当したのは、“プロ生”を主催する5zj氏。同氏は“プロ生”のキャラクター“プロ生ちゃん”のプロデューサーでもある。
おっさんホイホイ プチコンmkII
“あんまり脳みそを使わない勢いだけのプログラム作り”と題して、(株)スマイルブームの小林貴樹氏がニンテンドーDSi/3DS用BASIC「プチコンmkII」を紹介。
セッションでは即興で、弱音を吐きながら画面中を歩き回るキャラや、“イェイ”“チェキラッ”などと合いの手を入れるシーケンサなどのBASICプログラムを作成されていた。筆者はニンテンドーDSi/3DSを持っていないのだが、初めてプログラミングをしたときの楽しさをふと思い出し、つい欲しくなってしまった。
Windows Azure Web Site ではじめる PHP プログラミング
Microsoft非公式・非公認キャラクター“ウェブマトリクスマン”自らが行うセッション。Mac OS X上で開発したWebサイトをクラウドサービス“Windows Azure Web Site”へ展開。それをさらに「WebMatrix 2」でWindowsと同期・開発するという内容で、“Windows Azure”がクロスプラットフォームで利用できることをアピール。
- “CLR/H”とは
CLR/H(Community for Learning and Research in Hokkaido)は、IT関連、とくに開発系技術に関する学習と研究を目的とした北海道のコミュニティ。“CLR(共通言語ランタイム:.NETアプリの共通実行環境)”という名前で想起される通り、内容は.NET Framework関連の技術が中心となっているが、それ以外のジャンルも幅広く扱う。
今回の勉強会では、“WF4 でノベルゲー作ってみるよ!”(小尾 智之(@twit_ahf)氏)、“LINQ を使ったナンプレの解法を作ったお話”(筒天(@tututen)氏)、“PlayStation Mobile でモグラ叩き的な何か。”(mentaro(mentaro)氏)の3セッションを担当された。
おやつ、ライトニングトーク、懇親会
勉強会といえばお堅いイメージをもつ人も少なくないと思うが、必ずしもそのようなことはない。一言一句聞き逃さないようにメモを取りながらセッションを聞くのもよいが、おやつを食べながら、日頃聞けない話に耳を傾けてみるといったスタイルで参加するのもまた楽しい。とくに“プロ生”では毎回豪華なおやつが出されるので、それを目当てに参加してもよいだろう。
また、“ライトニングトーク(LT)”に参加してもよいだろう。LTとは持ち時間“5分”で好きなことを語る短いプレゼンテーションのこと。勉強会の趣旨とは少し離れたことでも、LTならば自由に話すことができる。
また、勉強会のあとに開かれる懇親会にもぜひ参加したいものだ。美味しいものを食べながら、スピーカーに直接質問をぶつけるもよし、共通の話題で盛り上がるのもよし。一緒に勉強会に参加できる友達ができれば、これからの参加がより一層楽しみになるはずだ。
なお、“プロ生”の次回開催は8月25日(東京・品川)が予定されている。すでに参加募集が開始されているので、参加希望者は定員に達する前に参加登録を済ましておきたい。もちろん、オンラインで参加することも可能だ。