特集
「Office 2013」カスタマープレビュー版レビュー 前編
「Windows 8」風デザインでタッチ操作に対応。クラウドとの連携がさらに強化
(12/09/13)
“Microsoft Office”シリーズの次期バージョンとなる「Microsoft Office 2013」(以下、「Office 2013」)の一般ユーザー向けプレビュー版「Microsoft Office カスタマー プレビュー」が、7月16日に公開された。“Microsoft アカウント”(Windows Live ID)があれば、誰でも無償でインストールできるので、さっそく試用しているという人もいるかもしれない。しかし、新たに追加された機能などのポイントがわからず、興味はあっても試用のきっかけをつかめずに、まだ手を伸ばしていないユーザーも多いだろう。
そこで、窓の杜では2回に分けて「Office 2013」の新機能を紹介していく。前編となる今回は、「Office 2013」の全体的な特徴や改善点、新機能を紹介するとともに、各ソフトの新機能紹介として「Word 2013」を取り上げる。
なお、本稿はカスタマープレビュー版をもとにしているため、最終的な製品とは機能・デザインが異なる場合がある。あらかじめご了承いただきたい。
Windows 8風のデザインが採用され、タッチ操作にも対応
「Office 2013」の一番の特徴は、「Windows 8」との親和性だろう。新規作成・保存・印刷といった機能を集約したメニューである“Backstage”をはじめとして、Windows 8風(“Metro”風)のデザインが採用されている。
また、タッチやスタイラスでも直感的に操作できるようになったのに加えて、画面表示でも各ボタンのサイズが大きくなりタッチで操作しやすい“タッチモード”や、“リボンUI”などのメニューを非表示にする“全画面モード”を搭載している。
文書のデフォルトの保存先が“SkyDrive”に
Microsoftが運営するオンラインストレージサービスの“SkyDrive”への文書保存機能が統合されているのも「Office 2013」の特徴だ。デフォルトの保存先が“SkyDrive”になっていて、ローカルストレージのフォルダを選択するように“SkyDrive”内のフォルダを選択し、文書ファイルを保存可能。もちろん、これまでのようにローカルのフォルダへ文書を保存することもできる。また、“SkyDrive”のWindows向けクライアント「SkyDrive for Windows」をインストールしていれば、オフライン環境であっても“SkyDrive”に保存した文書を開くことが可能だ。
文書を“SkyDrive”に保存することで利用できるのが、“ローミング”機能であり、同一のIDでサインインすれば、別の端末でも前回中断したところから作業を再開することができる。また、「Office 2010」でも強化された共同作業のためのコラボレーション機能はさらに強化され、“Backstage”の[共有]メニューから、ユーザーの招待や共有用URLの設定を行えるほか、共有用URLをSNSに投稿したり、オンラインプレゼンテーションを行うことも可能。
起動画面のテンプレートから文書をすばやく作成できる
「Word」「Excel」「Power Point」を各アイコンから起動すると、オンライン上のテンプレートを一覧表示した起動画面が表示される。さまざまな種類やデザインのテンプレートが用意されており、テンプレートを選択して見映えのよい文書を簡単に作成可能。また、画面左上には最近使った文書が一覧表示され、すばやく開くことができる。
“Office アプリ”をインストールして機能を拡張可能
「Office 2013」では、“Office アプリ”と呼ばれる専用アプリをインストールして機能を拡張できる。“Office アプリ”は、外部サービスと連携してコンテンツの参照・挿入などを行えるもので、選択したテキストでニュース検索や辞書検索などのBing検索を行い、検索結果を文書に取り込むといった操作を行うことが可能。
“Office アプリ”をインストールするには、まず[挿入]リボンの[Office用アプリ]ボタンから[すべてを表示]項目を選択して、アプリ挿入用のポップアップを表示しよう。次に、ポップアップ下部の[Office Storeでその他のアプリケーションを検索]リンクをクリックすると、Webブラウザーで公式アプリストアの“Office Store”にアクセスでき、検索などでアプリを探すことが可能。“Office Store”では、各アプリページの右側にある[Add]ボタンをクリックしてダウンロードできる。あとは、アプリ挿入用ポップアップに戻って[OFFICE STORE]タブで[更新]ボタンをクリックすることで、インストールしたアプリ一覧を更新でき、選択して使用できるようになる。
なお、執筆時現在、日本語のストアはまだ開設されていないが、米国のストアへ接続すればアプリをダウンロード可能。ただし、インストールしてもアプリが正常に機能しない可能性があるので、あくまでも自己責任で利用しよう。
文書を見やすく仕上げられるようになった「Word 2013」
続いて、「Word 2013」に焦点を当て、新機能や改善点を紹介していこう。「Word 2013」では、とりわけ文書を美しく仕上げることに重点が置かれている。たとえば、文書内に配置した画像の位置をドラッグで調整しようとすると、“配置ガイド”と呼ばれる補助線が表示されるため、テキストと画像の高さなどを合わせて整然と配置することが可能。また、画像を上下左右などに移動すると、“ライブレイアウト”機能により、テキストが瞬時に再配置され、テキストのレイアウトを確認しながら、画像を配置する場所を変更できる。
オンライン上の画像や動画といったコンテンツを文書内に挿入できるようになったこともポイントだ。[挿入]リボンから、それぞれ[オンライン画像][オンラインビデオ]ボタンを選択し、キーワード検索で画像や動画を探して挿入可能だ。画像の場合、“Office.com”にアップロードされている画像を検索できるほか、“Bing検索”で挿入する画像を探すことが可能。動画の場合は、“Bingビデオ検索”と“YouTube検索”で動画を探して、文書内に挿入することができる。
画面表示では“閲覧モード”が刷新され、テキストを読みやすいように再配置して閲覧可能。“閲覧モード”では、文書内の画像や動画をクリックすれば、ポップアップで拡大表示できる。また、閲覧途中で文書を閉じ、次にファイルを開いた際には、スクロールバーに表示される[しおり]アイコンをクリックして、前回中断した箇所に移動して閲覧を再開することが可能。
そのほか、PDF文書の簡単な編集が可能になり、文書内のコンテンツを抽出して、ドラッグ&ドロップで画像を移動したり、テキストを編集することができる。また、ひとつの文書を共有して共同作業する際のコメントや変更履歴が見やすいデザインに変更されている。
次回は「Excel」「Power Point」「Outlook」などについて紹介
以上、「Office 2013」の全体的な特徴とともに、個別のソフトとして「Word 2013」の新機能などについて紹介してきた。“Metro”風のデザインや“タッチモード”の搭載など、10月に一般販売が開始される“Windows 8”との親和性が高いのに加えて、文書のデフォルトの保存先が“SkyDrive”になったり、同一IDでログインすると前回中断したところから作業を再開できる“ローミング”機能など、クラウド利用も進化している。「Word 2013」では、美しいレイアウトの文書を手軽に作成できたり、新たな“閲覧モード”を搭載するなど、見やすさに重点が置かれているのが特徴だ。
なお、次回は「Word」以外の「Excel」「Power Point」「Outlook」など、そのほかのソフトの変更点を紹介する。