生成AIなら「ゲーミングノートPC」!

「画像生成ガチャ」をゲーミングPCでやってみた!

Stable Matrixの導入手順、そして画像生成まで

「AORUS 16X (2024)」。様々なスペックのモデルがあるが、今回、動作検証したのはCore i9-14900HXとGeForce RTX 4070を搭載するタイプ。国内モデルの型番は「AORUS 16X ASG-63JPC65SP」だ。
自前の環境でAIを動かせすメリットは「利用し放題なこと」と「プライバシー面で安心なこと」。好きなだけ生成できるので「画像生成ガチャ」も余裕でできる

 「ChatGPT」や「Midjourney」といったクラウド型の生成AIサービスが人気を集めている。クラウドで計算を行っているので、非力なPCでも利用できるのがメリットだが、当然サービスごとに利用ルールがあるし、月額料金も発生する。

 ローカルでAIを動かすことができれば、自前の環境で利用し放題。外部に情報を送信する必要がなく、プライバシー面でも安心できる。とは言え、AIを動作させるにはハイスペックのPC、特にGPUの性能が必要になる。そのため、ローカルでAIを使う場合にはデスクトップPCを選ぶことが多い。しかし、大きなタワー型のPCを置くスペースがない、もしくは置きたくないということもあるだろう。

 そこで今回は、AIも動かせる高性能ノートPC「AORUS 16X (2024)」をレビューしてみたい。ゲーマー向けのゲーミングPCだが、GPUにはGeForce RTX 4070(メモリ8GB)を搭載。その性能はAI活用時にも真価を発揮してくれるはず。


大画面なのにスリムベゼルがカッコいい「AORUS 16X (2024)」

 「AORUS 16X (2024)」は昨年登場した全モデル「AORUS 16」の後継モデル。ディスプレイサイズは16インチと同じだが、ボディは少し小さくなり、重量も2.6kgから2.3kgと軽くなっている。

 大画面ノートらしく、インターフェースは充実している。左側面には電源、有線LAN,HDMI、USB Type-C(Thunderbolt 4)、USB Type-Aを配置。右側面にはヘッドセット端子、microSDカードリーダー、USB Type-C、USB Type-A端子を備える。

 16インチディスプレイなのに、超スリムベゼルになっており、迫力のある外観になっている。どうせボディが大きいのだからと太いベゼルでコストダウンするのではなく、視界の広さにこだわっているのがいい感じ。ディスプレイの解像度はWQXGA(2560×1600ピクセル)で、アスペクト比は16:10と一般的なゲーミングノートPCよりも縦が広くなっている。

超スリムベゼルのディスプレイが目を引く。

 キーボードはテンキーのないフルサイズで、英語配列だけでなく、日本語配列も用意されている。LEDバックライトでキーが浮かび上がるうえ、Q/W/E/R/A/S/Dキーは半透明になっており、光るのがカッコいい。もちろん、AI PCらしくCopilotキーも備えている。

LEDバックライトオフの状態
LEDバックライトオンの状態
Q/W/E/R/A/S/Dキーは半透明。特によく光る
Copilotキーも備える

 「AORUS 16X (2024)」は何といっても、ハイパワーが魅力。

 「AORUS 16X (2024)」はスペック違いで様々な型番があるが、今回、検証用にお借りしたモデルはCPUに第14世代のCore i9-14900HXを採用しており、最大5.8GHzで動作。GPUはNVIDIAのGeForce RTX 4070を搭載。8GBのGDDR6メモリーを搭載し、超高速演算が可能。日本向けモデルの型番は「AORUS 16X ASG-63JPC65SP」になるとのこと。

CPUは第14世代のCore i9、GPUはGeForce RTX 4070を搭載する。


AIを活用するための設定をまとめた「AI Nexus」手軽に使える「GIGABYTE版Stable Diffusion」も用意

 独自の設定アプリ「GIGABYTE Control Center」でPCの様々な設定をまとめて行えるようになっているのだが、その中にAI用の設定も用意されている。

 「AI Nexus」タブには3項目あり、「AI Power Gear」では省エネとパフォーマンスのバランスを設定する。今回は、最大パフォーマンスを発揮する設定にした。「AI Boost」ではCPUやGPUの冷却ファンの動作設定を変更できる。これは自動で調整して欲しいので「デフォルト」のままにした。

「AI Power Gear」で電力設定を行う。電源に接続して利用するので、ここでは「パフォーマンス」を選択した。
冷却ファンを全開にすると音が大きいので、ちょうどいい感じに調整してもらう。

 ユニークなのが「AI Generator」だ。「Stable Diffusion」のGIGABYTEエディションを利用できるようになっている。まずは、「Stable Diffusion GUI」と「Stable Diffusion GUI Model」をインストールし、「AI Generator」から「開く」をクリックする。

 Stable Diffusionのウィンドウが開くので、プロンプトやネガティブプロンプトを英語で入力する。サンプラーや画像サイズ、生成数、CFGスケールといった設定も可能。

「Stable Diffusion GUI」の「開く」をクリックする。
とりあえず、画像を生成することはできる。


本気を出すために「Stable Matrix」をインストール、そして……ハイクオリティ画像も11秒で生成!

 標準機能のStable Diffusionで生成される画像のクオリティは高くない。これはStable Diffusionの仕様なので仕方がないのだ。とは言え、「AORUS 16X (2024)」の本気はこんなものではない。

 そこで、別途「Stable Diffusion」をセットアップしてみよう。

 プログラムをいじったりするのは難しいので、ここでは「Stable Matrix」というソフトウェアを利用する。様々な「Stable Diffusion」を手軽にセットアップできるツールだ。

まずはダウンロード&インストール

 Lykosのウェブサイトから「Stable Matrix」の「Stable」版をダウンロードしよう。記事執筆時のバージョンはv2.11.4だった。ダウンロードした圧縮ファイルを展開し、StabilityMatrix.exeを任意のフォルダに保存すれば準備完了。ファイルをダブルクリックし、起動する。

 初回起動時には、利用したいUIやモデルの選択画面が開く。後で選び直すこともできるが、まずはUIは「Stable Diffusion WebUI」をインストールした。

解凍した「Stable Matrix」を実行する。
UIやモデルをインストールする。

プロンプトを入れてみる

 では実行してみよう。

 「Packages」を開き「Stable Diffusion WebUI」の「Launch」をクリック。起動し終わったら、右上の「Web UIを開く」をクリックすると、ブラウザで「Stable Diffusion WebUI」が起動する。

 早速モデルを選択して、「 写実的、24歳女性の秘書、近代的なオフィス、東京 」などと英語で簡単なプロンプトを入力してみると、リアルな画像を生成できた。

 「Stable Diffusion」ではモデルに加えて、「LoRA」という追加学習データを利用することで、画像に希望する変化を加えることができる。この「LoRA」も「Stable Matrix」から検索し、追加できるので手間がかからない。

東京のオフィスにいる秘書の画像を生成してみた。
「LoRA」を検索、インストールできる。
「LoRA」を使って画像を生成できる。

1枚11秒で生成可能、この速度なら「生成ガチャ」も

 随分サクサク動くので、色々と画像を生成して楽しめる。

 試しに、画像を10枚連続生成させて時間を計測してみた。画像は、1152×768ピクセル、サンプリングステップは25、プロンプトは15トークンで、ドラゴンが都市を練り歩く姿を描写させてみた。結果、111秒。1枚当たり、11秒で生成しているというわけだ。

 高性能なGPUを搭載したデスクトップPCに比べればやや遅いが、1枚11秒なら十分に実用レベルのスピードだ。存分にプロンプトをいじって、トライ&エラーを繰り返すことができる。

 いい感じのプロンプトができれば、100枚とか200枚を生成して、生成ガチャを行う。毎回異なる画像が生成され、出来の良しあしがあるので、大量に生成して当たりを狙うのだ。この作業は数十分かかるので食事したり、風呂にでも入ればいい。PCの性能はフルに引き出せないが、ウェブサイトの閲覧や資料作成など、他の作業をすることも可能だ。

10枚を111秒で画像を生成できた。


「無限に画像を生成できる楽しさ」を

 他のUIの「Stable Diffusion」も利用できる。例えば、ノードを繋げて画像生成の処理を可視化した「ComfyUI」も利用できる。手軽にインストールしていじれるので、「プログラムはわからないが、最新のAIに触ってみたい」という人にぴったりだ。

 「ComfyUI」は各ノードでモデルやプロンプト、サンプリング数を設定し、「Queue Prompt」をクリックすると画像が生成される。基本的に、左から右に処理が進んでいくイメージだ。

「ComfyUI」で画像を生成できる。
生成した画像は、「Output Browser」で確認できる。

 以上が、AORUS 16X (2024)のローカル環境でStable Diffusionを動かし、好みのハイクオリティ画像を無制限に生成しまくってみたレビューとなる。

 手元の環境で無限に画像を生成できるのはとても楽しいし、便利。

 時間は少しかかるかもしれないが、クラウドサービスと比べてクオリティが低いわけでもない。しかも、デスクトップPCと違って、ノートPCなら外に持ち出すこともできる。AIも快適に利用できるパワフルなマシンを探しているなら、AORUS 16X (2024)も選択肢に入れることをお勧めしたい。

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