fault milestone one

　魔法のような独自の技術体系をもつ世界を舞台としたファンタジー系ノベルゲーム。国を追われた少女達による故郷への旅路を描く連作シリーズ「fault」の1作目で、体験版では序盤をプレイできる。

　舞台となるのは、“マナ”を操りさまざまな現象を起こす技術“マナクラフト”が発達した世界。マナクラフト技術に根ざした平和同盟“マナクラフターズ・アライアンス”の発祥国である“ルゼンハイド”が謎の勢力により襲撃を受けたことから物語は始まる。ルゼンハイドの姫セルフィーネとその付き人であるリトナは瞬間移動のマナクラフトにより城を脱出するが、想定外のトラブルにより移動先が狂い、辿り着いた先は世界の裏側。マナの恵みから見放された地“アウターポール”だった……。

　マナクラフトを中心とした独自の世界観が構築され、シナリオの端々から架空世界の生活感を感じられるのも本作の醍醐味のひとつ。魔法のようなマナクラフトだが何でもできる奇跡の力ではなく、その技術体系と限界が丁寧に語られ、作品世界にリアリティを与えている。青空と雲が印象的なタイトル画面をはじめ、1,280×720サイズのHDワイド画面で描かれるグラフィックも魅力。戦闘などのイベントグラフィックはダイナミックな構図で描かれ見応えがある。

　体験版の終盤からは物語の軸がリトナ達から、アウターポールの町で出逢った少女“ルーン”へと移り、彼女とその家族の過去が描かれる。幸せだったはずの家族が辿っていく悲劇や、そこから繋がる現在へリトナ達がどう関わっていくのかも見所。SF的なテーマを盛り込んだ展開も興味深く、独自の世界観と多面的な物語が噛み合って本作ならではの魅力を生み出している。