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Microsoft、「Windows 10」のデルタ更新を終了へ ~エクスプレス更新に一本化
“Windows Update”の仕組みが簡素化され、管理者の負担が軽減
2018年7月19日 06:00
米Microsoftは7月11日(現地時間)、「Windows 10」のデルタアップデート(差分更新)を終了する計画を明らかにした。2019年2月12日以降、すべてのバージョンの「Windows 10」でデルタアップデートの出荷を停止し、エクスプレスアップデートに一本化する。
「Windows 10」のアップデートには、新機能を含んだ比較的大型の“機能アップデート”(年2回)と、不具合の修正とセキュリティの向上を目的とした小規模な“品質アップデート”の2つで構成されている。毎月配信される“品質アップデート”は“累積的”、つまりその時点でリリースされたパッチをすべて含めて配信する形式で行われる。そのため、たとえば6月のアップデートを適用し忘れても、7月のアップデートを適用すれば問題はない。エンドユーザーにとってはわかりやすい仕組みといえるだろう。
しかし、“累積的更新プログラム”のサイズは毎月増大していく。それぞれの月のアップデートのサイズは一般的に100~200MB程度に過ぎないが、それが毎月“累積”されていけば、1GBなどすぐに超えてしまうだろう。
そこで、Microsoftはネットワーク帯域幅の負担を軽減するため、3つの配信方法を設計している。
- フルアップデート:最後に適用した“機能アップデート”以降に変更されたすべてのコンポーネントとファイルを含むパッケージ。“機能アップデート”から時間を経るにしたがって毎月膨れ上がり、最終的には1GBを超える
- エクスプレスアップデート:最後に適用したフルアップデートと提供されている最新のフルアップデートの差分を取得し、適用する仕組み。たとえば7月のアップデートを適用する際に、5月から更新していない場合は、5月から7月の差分を取得して適用する。通常、毎月約150~200MBのサイズで済む
- デルタアップデート:最新の“品質アップデート”で変更されたコンポーネントを含むパッケージ。たとえば7月のアップデートを適用する際に、5月から更新していない場合は、5月→6月→7月と順番に適用していく。その間、毎月変更のあったコンポーネントは毎回ダウンロードされるため、エクスプレスアップデートよりはサイズが大きくなる(約300~500MB程度)
エクスプレスアップデートの方が効率的であるにもかかわらず、デルタアップデートが存在するのは、エクスプレスアップデートが“Windows Update”または“Windows Server Update Services”への直接アクセスを必要とし、2017年1月にプロトコルが解放されるまでサードパーティ製のアップデート管理システムはデルタアップデートしか利用することができなかったためだ。
しかし、それから十分時間も経ち、サードパーティーツールの対応も進んでいる。そのため、デルタアップデートは将来的に廃止されることになった。デルタアップデートは現在、「Windows 10」の次のバージョンで利用可能。
- Windows 10、バージョン1607
- Windows 10、バージョン1703
- Windows 10、バージョン1709
- Windows 10、バージョン1803
デルタアップデートの廃止後は、“累積的更新プログラム”の配信がフルアップデートとエクスプレスアップデートの2本立てとなり、仕組みが簡素化され、管理者の負担が軽減される。