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突如「5ちゃんねる」から「Talk」へ乗り換えたジェーン、その背景を明らかに

「5ちゃんねる」運営会社への不信、広告枠の無断差し替えで信頼関係が喪失

ジェーン社の声明

 (株)ジェーンは7月12日、「Jane Style」が突如「5ちゃんねる」への対応を打ち切って「Talk」をサポートした事情について、公式な声明を発表した。

 まず前提として、「5ちゃんねる」(5ch.net)は運営をLoki Technology社(以下、Loki社)、専用ブラウザーAPIの管理と有料会員サービスである「浪人」(Ronin)の国内販売をティーケーテクノロジー社(以下、TK社)が担当していた。TK社はジェーン社の山下氏が代表を務めている。

 今回の声明によると、「Jane Style」が「5ちゃんねる」への対応を打ち切った背景には、以下の3つの理由があるという。

  • ビジネス上の信頼関係の喪失:TK社は「5ちゃんねる」の広告枠を管理し、Loki社に対し円建てで収益を送っていた。しかし、Loki社はドル建てでの送金を要求。最近では浪人の大幅な値上げや、専用ブラウザーの広告枠増量も求めていた。そんななか突如、「5ちゃんねる」の広告枠がLoki社の関連会社のものに差し替えられてしまった。そのため、ビジネス上の信頼関係が完全に失われた
  • 「5ちゃんねる」運営の正当性に疑い:「5ちゃんねる」の前身である「2ちゃんねる」に関し、Loki社のJim氏が正当な権利を持っていると説明されていたが、「2ちゃんねる」創設者・西村博之氏との裁判で、知財高裁は乗っ取り行為があったとの判断を下した。判決はまだ確定ではないが、「5ちゃんねる」運営の正当性に疑義が生じている
  • Loki社の新サービスに対する懸念:Loki社のJim氏は、「8kun」(前8chan)というサービスを「5ちゃんねる」と同じデータセンターで運営する予定だが、これは極右勢力「Qアノン」が集まる掲示板であり、「5ちゃんねる」運営への影響が懸念される

 そこで、ジェーン社とTK社はLoki社とビジネス関係を解消し、「Talk」を開発したTalk Technologies社と協力することになったという。

 「5ちゃんねる」に関しては以前より、専用ブラウザーを自由に開発できない点や、書き込み制限が多すぎる点、荒らしが放置されている点に不満が寄せられていた。

 この点に関しては、ジェーン社は希望する専用ブラウザーの開発者にAPIを提供するべきとの立場をとっていたが、個人情報を提供しない開発者には一切のAPIの提供を認めないとの通達がLoki社のJim氏からあり、限られた開発者にしかAPIの利用許諾を与えられなかったのだと弁明している。

 また、「5ちゃんねる」の書き込み規制に関しても管理する立場にないとのこと。APIを経由した書き込みに必要な鍵(monakey)のシステムをデザインしたのはジェーン社であるとLoki社は主張しているが、これも事実ではないとしている。

 Talk Technologies社の掲示板システム「Talk」は「5ちゃんねる」をコピーし、モダナイズしたものといえるが、理不尽な書き込み規制がなく、荒らしにはシステムと人力でしっかりと対応していく方針を示しているとのこと。同社はこの理念に賛同し、協力して快適な利用環境を構築していくとしている。

掲示板システム「Talk」