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「Excel」シートタブのデザイン変更が原因で、自動化処理のパフォーマンスが大きく低下

日本マイクロソフトが緩和策を案内

日本マイクロソフトの公式サポートブログ「Japan Office Client Support Blog」

 「Microsoft Excel」でシートタブのビジュアルリフレッシュが展開中だが、それが原因でオートメーション処理のパフォーマンスが大きく低下する場合があるとのこと。日本マイクロソフトの公式サポートブログで11月8日、この現象をアナウンスする記事が公開された。

 「Microsoft Office」や「Microsoft 365」アプリでは最近、Windows 11の外観と一貫性を持たせるため、大規模なビジュアルアップデートが行われた。全体的な外観変更はすでに実施済みで、ウィンドウの配色がかわったり、枠が角丸になるなどの変化があるが、「Excel」では引き続きシートのタブでもデザイン変更を進めている。

「Excel」で実施されたシートタブのデザイン変更

 しかし、この外観変更後に多くのシートを含むブックにおいて、オートメーションのパフォーマンスが低下することがあるという。影響をどの程度受けるかはオートメーション処理の内容にもよるが、とくに.NETプログラムや「PowerShell」といった外部プログラムから「Excel」を自動化する場合、大きくパフォーマンスが低下する傾向にある。また、シートが増えるにつれて、処理時間の増加量がより大きくなる。

 この問題は、シートタブの描画処理を大きく変更したことが原因だが、今のところ元に戻す手段はない。以下の問題が発生するバージョンより古いバージョンを利用するしかない。

  • 「Microsoft 365」アプリ(最新チャネル)
    ・Windows 11: バージョン 2308 (ビルド 16731.20170)
    ・Windows 10: バージョン 2404 (ビルド 17531.20120)
  • 「Microsoft 365」アプリ(月次エンタープライズ チャネル)
    ・Windows 11: バージョン 2310 (ビルド 16924.20180)
    ・Windows 10: バージョン 2408 (ビルド 17928.20216)
  • 製品版「Office 2024」
    ・Windows 10/11ともに製品出荷バージョン以降すべて
  • 製品版「Office 2021」
    ・Windows 10/11ともにバージョン 2308 (ビルド 16731.20170)

 なお、これ以外の製品やチャネルではシートタブの外観更新が行われていないため、今回の問題の影響は受けない。また、ボリューム ライセンス版「Office LTSC 2024」「Office LTSC 2021」にも影響はない。

 同社はこの問題を認識しており、現在、対応を検討中。当面の回避策として、以下を案内している。

  • シート名に日本語(DBCS文字)を使用しない
  • 外部プログラムからのオートメーションを、VBAの処理に変更する
  • シートタブが新しい外観に変わる前のバージョンに戻す(出荷時より新しい外観となっている「Office 2024」は不可)。最新のセキュリティ更新が含まれないため、推奨はできない