NEWS(12/07/10 14:24)
INASOFT矢吹氏、度重なるウイルス誤検知の影響により一部ソフトの更新停止を宣言
「ウイルスバスター」によりダウンロードがブロックされる問題が解消されず
Windowsカスタマイズソフト「いじくるつくーる」やデフラグ支援ソフト「すっきり!! デフラグ」などの作者として知られるINASOFTの矢吹拓也氏は10日、「いじくるつくーる」および「すっきり!! デフラグ」の更新を当面停止することを発表した。これは、5月上旬から発生している、トレンドマイクロ(株)製のセキュリティソフト「ウイルスバスター」による両ソフトの誤検知問題が、一向に解消されないことを受けてのもの。
本件の詳しい経緯は、INASOFTのWebサイトに“いじくるつくーるがウイルスバスターによりダウンロードブロックされる件”としてまとめられている。それによると、両ソフトのダウンロードURLが「ウイルスバスター」により“危険なWebサイト”と認定され、ダウンロードがブロックされるという問題が起きている。トレンドマイクロに報告すると、誤検知であったことが認められブロックが解除されるが、次のバージョンの公開後などに再びブロックされてしまうという。
同ページからは、矢吹氏がトレンドマイクロ社と、直接会話も含め何度もやり取りをしていることが伺える。6月末には同社より、再発防止策も提示されたとのこと。にもかかわらず8日に誤検知が再発したことから、矢吹氏は『このまま再々々発にビクビクしながら、誤検知対象のソフトを更新し続けるのもモチベーションが保てない』として、トレンドマイクロ社から有効な再発防止策が提示されるまで両ソフトの更新を停止することを決めたという。なお、これにより予定されていたWindows 8への対応作業も中止されるとのこと。
ウイルス・マルウェアの攻撃手段が多様化しているなか、より確実にユーザーを守るために検知対象を広め、その結果誤検知が発生してしまうのは、ある程度はやむを得ない面もある。しかし、一度誤検知が発生し、再確認の結果安全と判断されたソフトが、その後も度重なり誤検知の対象となるのは適切な状態とは言い難い。トレンドマイクロ社には誤検知の再発を防止する取り組みを期待したい。
なお本件については、窓の杜ライブラリに収録している両ソフトについても、ダウンロードがブロックされる問題がたびたび発生しており、そのたびに同社へ問い合わせてブロックの解除を依頼している状況。根本的な誤検知対策も依頼しているが、記事執筆現在において有効な対策は取られていない。なお、ダウンロードしたファイル自体は、「ウイルスバスター」で検査してもウイルスが検知されないことを編集部にて確認している。
また、窓の杜ライブラリでは通常、収録ソフトを更新する際、「ウイルスバスター」を含む3種類のウイルス対策ソフトで収録ファイルを検査し、問題がなかったファイルだけを収録している。しかし「ウイルスバスター」の“危険なWebサイト”認定については誤検知が多いため、その結果を参考程度と捉え、「ウイルスバスター」を含む3種のウイルス対策ソフトでダウンロードしたファイル自身を検査し、問題が検出されなければ更新対象とするよう方針を転換した。窓の杜のウイルスチェック体制の詳細については、下記リンクに示したページを参照してほしい。