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プログラミング言語「HSP 3.7」がリリース ~実に4年ぶりのメジャーバージョンアップ

エディター、デバッグ機能、ランタイムの拡充などを実施

「HSP 3.7」がリリース

 オープンソースのインタープリター言語「Hot Soup Processor」(HSP)の最新版v3.7が9月5日、正式公開された。2021年8月以来、実に4年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。

 「Hot Soup Processor」(HSP)は、だれでも手軽にアプリやゲームを開発できるスクリプト言語システム。コンパイラーや統合開発環境を自分で用意しなくても、付属のエディターですぐに始められる気軽さが魅力だ。DirectX/OpenGLによるシェーダー、3Dモデルアニメーションなどを使用した本格的なゲーム開発までカバーするにもかかわらず、成果物にライセンス料が必要になることもない。また、純国産ツールとして20年以上にもわたる利用実績があり、日本語のサンプルやドキュメントに事欠かないのも、入門者にとっては心強い。

「HSP 3.7」のスクリプトエディター

 対応OSはWindows 7/8/8.1/10/11。開発したアプリ・ゲームも基本的にWindowsで動作するが、「HSP3Dish」と呼ばれるランタイムを利用すれば、iPhoneやiPad、Android向けのアプリも開発可能。Webブラウザーでも動かせる。

 今回リリースされた「HSP 3.7」は、基本的に「HSP 3.6」を継承しつつも、エディターやデバッグ機能の拡充、3Dランタイム「HGIMG4」の強化、マルチプラットフォームランタイム「HSP3Dish」の改善などが行われている。

エディター、デバッグ機能の拡充

 「HSP 3.7」では、大規模スクリプトを安全に記述するために変数管理とデバッグの仕組みを改善。初期化せずに変数を参照した際にエラーを表示するオプションと、明示的に変数初期化を行うための命令が追加された。

 また、新しいスクリプトエディターにはソース解析を追加。スクリプトの構造をエディターが把握できるようになり、キーワードや参照へのジャンプやラベルのリストアップといったコーディング支援機能が充実した。スクリプトが巨大になっても、処理の構造を把握しやすくなる。サンプルや他の人が作ったスクリプトの動作を確認する際にも役立つだろう。

「HGIMG4」ランタイム

 ハイレベルな3D表現を可能にする「HGIMG4」ランタイムでは、以下の改善が行われた。

  • 物理設定されたオブジェクト移動後の衝突テストを行う「gppsweeptest」命令を追加
  • 「gppraytest」命令にコリジョングループによる判定を行うオプション

 Webブラウザーで動作する「HGIMG4」も同等の機能をサポートする。また、「HGIMG4」のDirectX版(hsp3gpdx)で、最新の「ANGLE」ライブラリを使用したバージョンが別パッケージとして提供されるようになった。

「HSP3Dish」ランタイム

 「HSP3Dish」はWindows、iOS、Android、Linux、Web(HTML5/WebGL)で「HSP」スクリプトを動作させるためのランタイム。本バージョンでは以下の機能が追加された。

  • ゲーム向けの機能を集約した「珠音ドットフレームワーク」:ゲームアプリケーションの初期化や終了処理、プレイヤーや敵の基本的な動作などのひな形を提供し、短いコードで簡単にゲームを作成できる
  • 新しいDPM2形式のファイルパックマネージャー:従来のデータファイル管理を拡張し、大量のデータアセットを効率的に管理できる
  • 新しいSDKへの対応:最新のデバイスでもスクリプトを動作させられる
  • 各種センサー情報の取得
  • ネットワークアクセスの拡充
  • 「HSPDX」互換のスプライト描画機能の拡充
  • 幅広いデバイスへの変換をサポートする「HSP3Dish Helper」ツールがより便利で手軽に

 そのほかにも、オフィシャルキャラクター「珠音」(たまね)をはじめとする「HSP3」オフィシャル素材を同梱。新機能を使ったサンプルはもちろん、各種アプリケーションで必要なサンプルやモジュール、さらに色々なジャンルのゲームに使用できる実践的なサンプルも充実させている。これらはすべてフルセットの「HSP」に含まれているので、ダウンロードの際はフルセットを選択するのがおすすめだ。

 なお、「HSP 3.7」を「Microsoft Edge」でダウンロードすると『一般的にダウンロードされていない』という警告が現れる。これは、まだ「Edge」ユーザーによるダウンロード回数が少なく、「Microsoft Defender SmartScreen」でファイルの安全性を判別するのに十分でないことを示しており、マルウェアというわけではない。おそらくそのままダウンロード・インストールしても問題はないと思われるが、安全を期すならば「窓の杜」ライブラリの更新を待つとよいだろう。

「HSP 3.7」を「Microsoft Edge」でダウンロードすると『一般的にダウンロードされていない』という警告が現れる

 「窓の杜」ライブラリでは、複数のセキュリティソフトでウイルスチェックを行い、安全性を確認してからアプリを収録している。

ソフトウェア情報

「Hot Soup Processor(HSP)」
【著作権者】
ONION software
【対応OS】
Windows 7/8/8.1/10/11
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
3.7(25/09/05)