石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

開発者が“初期化”推奨! 無料の時間溶かしゲーム「Upload Labs」が2.0に進化

旧バージョンの回路は組み直し必須なので慌てず対処を

「Upload Labs」のタイトル画面

待望のバージョンアップだが、不明点が多い

 10月に公開された基本無料ゲーム「Upload Labs(アップロードラボ)」を本連載で紹介したところ、筆者の予想の数十倍くらい読まれて驚いた。ノードを繋ぐビジュアルが弊誌読者層に刺さったのだろうか。『本当に時間が溶けた』という声を多く聞き、筆者も喜んでいる(果たして素直に喜ぶべきなのかどうか)。

 本作はSFマネジメントゲームを呼称し、宇宙の熱的死を救うためにいろんなものをアップロードするという内容。かなり遊びこんだ筆者でも、この設定は未だに謎のままなのだが、理解しなくても大丈夫。ゲームとしてはひたすら金を稼ぐために、効率的なダウンロードからアップロードの回路を作るというもの。

 こちらに先日、「2.0 Factory Update」と名付けられたアップデートが導入された。アップデートに備えてできるだけ大量の資金を貯め込んだ筆者だったが、アップデート後は何が起きているのか、何をすればいいのかが、しばらく理解できなかった。

 困惑したまま離れてしまう方を減らすべく、また今からでもプレイしたい方のために、筆者が気になった変更点をご紹介したい。

旧バージョンの回路は動かない

筆者の旧バージョンの回路は何も収益を上げていない

 アップデート後に本作を起動すると、アップデートを知らせる通知とともに、『この機会にもう一度最初からやり直してみませんか?』というメッセージが。いきなり最初からやろうとは思わないので、いったんキャンセルして様子を見てみた。

 ところが、旧バージョンで組み上げたはずの回路は、そのほとんどが機能していない。一見動いているように見えるものも、収益が0になっていて何も進まない。特にそれ以上の説明があるわけでもなく、既存プレイヤーは大いに困惑するだろう。

 答えとしては明解で、旧バージョンの回路はほとんどが新しいものに置き換えられている。同じ名前のものでも微妙に機能が変わっていたりするので、いったん既存の回路を消して再配置すると動き出す。旧バージョンの回路は新バージョンとの互換性がない、と思っておくといい。

 よって全ての回路をいったん消去して1から組み直すのが手っ取り早いのだが、それはそれで新要素や新たな仕組みがわからず混乱を招きかねない。筆者としては開発者の勧めに応じて、最初からやり直すことを推奨する。元の設計が惜しい気持ちはもちろんあるが、また1からやれる楽しみがある、とも言える。

開発者は初期化を勧めてくる。筆者もそれでよいと思う

上級リサーチの存在が肝

 では何が変わったのか見ていこう。最も大きな変化は、ポータルのシステムだ。ポータルはいわゆる転生システムで、ゲームの進行状況に応じて、永続的なボーナス効果を得た状態で最初からやり直す仕組み。

 以前はリサーチの総獲得数に応じてシステムなどに倍率が得られる形だったが、2.0では回路上でリサーチポイントを消費し、上級リサーチポイントを得る形になった。ポータルの画面を開き、上級リサーチポイントを使ってボーナス効果を獲得した後に、ポータルに進入してリスタートする。

 筆者はアップデートしたらすぐポータルに進入するつもりだったが、入らせてもらえなかった。上級リサーチを行っておらず、ポイントがなかったためだ。

リサーチを消費して上級リサーチを獲得するのが重要
ポータル進入後に上級リサーチのポイントを使って永続強化を獲得していく

 またリサーチを行うデータラボも、以前は最大2つだったが、10以上まで増やせるようだ。リサーチを稼ぎやすくなった一方、各データラボのアップグレードは個別でとても手間がかかる。ばらばらのリサーチ出力を最大5入力のインベントリでまとめるのも大変だ。

データラボは3つ以上置ける。管理がちょっと大変

 リサーチも見た目が大きく変わり、以前はなかったトレントやハードウェアなどの機能が追加されている。「Factory Update」という名前のとおり、ハードウェアの要素が加わったのがシステム上の大きな変化だ。

リサーチのデザインが大幅変更
リサーチにハードウェアの要素が加わった。かなり後半にあるため筆者はまだ未体験

回路は変わったが、方向性は変わらない

 設備ブースト効果を得るためのドレインも修正が入っている。以前はハックインターフェイスからトロイの木馬を生成していたが、2.0ではウイルスに感染したファイルからウイルス抽出機でウイルスを取り出し、トロイの木馬に変換するという手順になる。以前の形よりはリアリティのある流れになったものの、最初はややこしい。

ドレインの基本構成。以前より手順が多い

 ほかにはGPUクラスターが最大10個搭載できたり、ネットワークが最大4つまで置けたりと、いろいろ仕様変更がある。ここまでの話で、旧バージョンをプレイした方にも、2.0の概要は概ね伝わったかと思う。

GPUクラスターは10枠に増量

 あとはお金を稼いでリサーチをして、ポータルに入ってまたやり直す……という従来と同じプレイスタイルになっていく。データを初期化してもやっぱり面白いし、新鮮な気持ちで遊べる要素もある。

 どうしても初期化するのが不安なら、データをバックアップしておくといい。「Steam」クライアントの[ライブラリ]から本作を選び、設定アイコンにある[管理]-[ゲームファイルのバックアップ]から、現在のデータをバックアップできる。

[ライブラリ]からデータをバックアップできる

 なお今回の話で出てきた回路は、あくまで基本形であり、より効果的・効率的な設計は可能だと思われる。ここがゲームの肝なので、ぜひプレイして試行錯誤していただきたい。

 さて、この年末年始に皆様の時間はどれだけ溶けるだろうか?

最初から回路設計していくのがやっぱり楽しい。旧バージョンをやり込んだ方こそ、ぜひ初期化して遊んでみて欲しい
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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