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プログラミング言語「HSP」が3年ぶりのメジャーリリース、「HSP 3.6」に
3D・マルチプラットフォーム開発を強化。サンプル・素材も充実
2021年8月17日 13:29
オープンソースのインタープリター言語「Hot Soup Processor」(HSP)の最新版v3.6が8月10日、正式公開された。約3年ぶりのメジャーリリースとなる本バージョンでは標準機能がアップデートされたほか、「HGIMG4」による3D機能やマルチプラットフォーム環境「HSP3Dish」が強化された。自由に使えるHSPTV素材も拡充されているという。
標準命令とプラグイン
まず基本となる標準命令に関しては、以下の改善が行われた。
- mes命令、print命令に影付け、縁取りなどの描画オプションを追加
- ユーザー定義による配置オブジェクトを追加するlayerobj命令を追加
- on~命令などによる割り込みコールバックルーチンの制約を厳格化してエラーチェックを追加
- スクリプトで使用している文字列をまとめて置き換えるstrexchange命令を追加
- 24bitカラーコードを指定するためのrgbcolor命令を追加
- objcolor命令を追加。objmode命令のオプションにより配置オブジェクトの文字色・背景色指定が可能に
- ジョイスティックへの対応を強化
そのほかにも、Unicode文字に標準で対応した新しいランタイムの導入、「HSP3Dish」仕様との共通化などが図られた。従来の機能はそのまま、ツールやゲームの開発に役立つ改善が多数盛り込まれている。
また、「Steam」プラットフォームと連携できるようにするAPI「hspsw」、MML記述によるFM音源楽曲再生プラグイン「hspmucom」、ZIP形式による圧縮・解凍ライブラリ「ZLibWrap.dll」が標準で含まれており、インストールしてすぐに使うことが可能。非推奨機能をサブメニューに移設するなど、エディターにもいくつかの改善が施されている。
HGIMG4プラグイン
「HGIMG4」は「HSP」でハイレベルな3D表現を可能にするためのプラグイン。今回のアップデートでは安定性や処理速度の向上が図られたほか、ライティングやポストエフェクトに関する機能が拡充された。また、FBXモデルを変換・複製する際の制約がゆるくなるなど、細かい使い勝手が向上しているとのこと。新しい命令も多数追加されている。
一方、新しい「HGIMG4」ツールではFBXファイルを変換した後の3Dデータをより詳細に確認、編集できるようになった。マテリアルファイル(.material)をGUIでチェックすることもできる。
HSP3Dish
「HSP3Dish」は、「HSP」プログラムをWindowsだけでなく、Linuxデスクトップ、モバイルデバイス(iOS/Android)、Webブラウザー(HTML5/WebGL)で実行できるようにする仕組み。今回のアップデートでは文字列の描画処理が見直され、すべてのプラットフォームで日本語を含む文字の表示と半透明合成がサポートされた。
また、新しい配置オブジェクトとしてチェックボックス、入力ボックスをサポート。Windows/Linux環境ではウインドウサイズの変更、フルスクリーン表示にも対応した。
そのほかにも、新しいデバイスや各種センサー、ネットワークアクセスなどのサポート拡充が図られた。Webブラウザーで動作する「hsp3js」で、新たにWebAssembly形式でのエクスポートがサポートされたのも目玉といえるだろう。
HSP3オフィシャル素材とサンプル
「HSP」にはオフィシャルキャラクター「珠音(たまね)」をはじめとする無料素材が同梱。「プロ生ちゃん」とコラボした素材など、ゲームを中心に新たなサンプルスクリプトも数多く含まれており、プログラムの作成に活用できる。サンプルも充実しているので、開発に行き詰った場合は参考にするとよいだろう。
また、HSPTV素材を利用して開発されたWebアプリケーションは、「WebDish」で公開することも可能だ。
「HSP」はWindows XP以降に対応しており、次期OS「Windows 11」でも利用可能。現在、公式サイト「HSPTV!」や窓の杜ライブラリから無償でダウンロードできる。
ソフトウェア情報
- 「Hot Soup Processor(HSP)」
- 【著作権者】
- ONION software
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7/8/8.1/10/11
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.6(21/08/10)