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「Ruby 4.0」が公開 ~新しいJITコンパイラー「ZJIT」を同梱、「Ruby Box」を実験導入

今年もクリスマスにリリース

「Ruby 4.0」がリリース

 スクリプト言語「Ruby」の最新版「Ruby 4.0.0」が、例年通り12月25日に公開された。メジャーバージョンが繰り上がるのは2020年以来、5年ぶり。

 「Ruby」は、まつもとゆきひろ(Matz)氏によって1993年に開発が始められたスクリプト言語。オープンソースで開発が続けられており、Webアプリケーションをはじめ、さまざまな用途・プラットフォームで採用されている。バイナリとソースコードは現在、公式のWebサイトから無償でダウンロード可能。Windows環境では「RubyInstaller for Windows」の利用が推奨されており、間もなく最新版がリリースされる見込みだ。

 「Ruby 4.0」では、クラスやメソッドの定義を隔離する実験的機能「Ruby Box」が導入された。モンキーパッチ(テストや一時的な修正のために既存コードの挙動を上書きすること)の影響を隔離・局所化したり、バージョンや設定の異なる外部パッケージ(Gem)を共存させたりといった用途に使える。

 また、新しいジャストインタイム(JIT)コンパイラー「ZJIT」がデフォルトでコンパイルされ含まれる(既定では無効)。現行の「YJIT」の次世代版と位置づけられており、まだ「YJIT」の速度には及ばないものの、「Ruby」のパフォーマンス上限を引き上げる技術として将来性が期待されている。通常の「Ruby」インタープリターよりは高速なので、有効にしてみるのもよいだろう。ただし、本番環境での利用は推奨されていないので注意したい。

 そのほかにも「Ractor」の改善や言語仕様の変更、コアクラスのアップデートなどが行われた。「RubyGems」と「Bundler」もv4へ更新される。

 一方で、Windows版では「_MSC_VER = 1900」より古い「MSVC」がサポート対象外となり、ビルドには「Visual Studio 2015」以降が必須となる。既存機能の非推奨化や、非推奨機能の削除もあるので注意したい。