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「Ruby 2」より3倍速い ~「Ruby 3.0.0」が例年通りクリスマスにリリース
パフォーマンス・並行処理・静的解析の3点を重点強化
2020年12月25日 18:37
スクリプト言語「Ruby」の最新版「Ruby 3.0.0」が、例年通り12月25日に公開された。「Ruby 2.0.0」がリリースされた2013年から数えて、7年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。
「Ruby 3.0」では、パフォーマンス・並行処理・静的解析の3点が重点的に強化された。
まず、パフォーマンス関連ではさまざまな改善が「MJIT」に導入され、ゲームやAIなど、少数のメソッドをたくさん呼び出すアプリで性能の向上が期待できるという。また、生成コードのサイズも大幅に削減された。
並行処理に関する改善としては、「Ractor」が試験的に導入された。これはアクターモデル風の並行・並列制御機構で、スレッド安全に関する懸念なく「Ruby」で並列処理が行えるという。また、処理をブロックさせる操作(I/Oなど)をフックする「Fiber Scheduler」が導入され、既存のコードを変更せずに軽量な並行制御を実現できるようになった。
最後に、静的型解析の基盤として「RBS」と「TypeProf」が導入された。「RBS」はRubyの型定義を記述する言語、「TypeProf」はRubyパッケージに同梱された型解析ツールで、「Ruby」の柔軟性はそのまま、堅牢な静的型付け言語のメリットを享受できる未来を目指す。
そのほかにも、1行パターンマッチを再設計。1行メソッドの記述に対応するなど、言語機能の拡張が行われた。一方で、キーワード引数が通常の引数から分離され、「Ruby 2.7」で警告が出ていたコードが動かなくなるなど、若干の破壊的変更も含まれている。
「Ruby」は、まつもとゆきひろ(Matz)氏によって1993年に開発が始められたスクリプト言語。オープンソースで開発が続けられており、Webアプリケーションをはじめ、さまざまな用途・プラットフォームで採用されている。バイナリとソースコードは現在、公式のWebサイトから無償でダウンロード可能。Windows環境では「RubyInstaller for Windows」の利用が推奨されている。「Ruby 3.0.0」に対応した「RubyInstaller for Windows」はまだリリースされていないが、間もなく公開されるだろう。