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「RubyInstaller」に「Windows on ARM」向け新パッケージ ~念願のARM64対応を果たす
スクリプト言語「Ruby」をWindows環境へセットアップするためのインストーラー
2025年1月21日 06:45
Windows環境に「Ruby」をセットアップするインストーラー「RubyInstaller」が1月19日、v3.4.1-2へとアップデートされた。本バージョンでは、「Windows on ARM」向けの新しいパッケージが追加されている。
開発チームは昨年11月より、ARM64向け「RubyInstaller」の移植と保守に用いるSnapdragon搭載PCを購入するために寄付を募っていたが、この募金活動は無事成功したとのこと。「Prism」パーサーを用いた「Ruby 3.4.1」に加え、開発版として「Ruby 3.5.0」のインストーラーも利用できる。
なお、C言語で記述された拡張ライブラリを動作させるための「Devkit」も、ARMでネイティブ動作する「LLVM」ベースのC/C++コンパイラーでビルドされている。しかし、「make」や「bash」などのUnixツールを提供する「MSYS2」ツールセットは、まだARMに移植されておらず、x64のコードとして提供されている。そのため、Windows 11では互換機能(「Prism」エミュレーター)で動くものの、Windows 10では動作しないようだ。「DevKit」のない「RubyInstaller」を利用する必要があるので注意したい。
また、ARMバージョンではサイドバイサイドのDLL読み込みメカニズムにいくつかの変更があるという。そのため、「Ruby 3.3」などの旧バージョンへのバックポートは負担が多きく、ARMパッケージの提供ができないとのこと。「Windows on ARM」では基本的に「Ruby 3.4」およびそれ以降を利用することになるだろう。そのほかにも、いくつかのgemで「Windows on ARM」の「Ruby 3.4」との互換性がまだとれていない問題がある点に注意したい。
ちなみに、寄付で購入されたデバイスは「Snapdragon X」を搭載した「Lenovo YOGA」ノートブックだそうだ。パフォーマンスは上々で、コンパイラータスクを実行する際の速度は開発者のデスクトップPCを凌駕するほどだという。Windowsは「WSL2」を含めて問題なく動作し、「Ubuntu」もすでに利用できるとのこと。