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WindowsアプリにローカルAI機能を手軽に統合 ~Microsoftが「WinAppSDK 1.8」を公開

新しい「Decimal」型を導入、メタパッケージ化なども実施

Microsoft、「Windows App SDK 1.8」をリリース

 米Microsoftは9月10日(日本時間)、ソフトウェア開発キット「Windows App SDK」の最新版「Windows App SDK 1.8」をリリースした。

 「Windows App SDK」(WinAppSDK、旧称:Project Reunion)は、Windowsデスクトップアプリケーションをターゲットとしたアプリ開発キット。モダンアプリ開発のためのUIパーツ「WinUI 3」、「Microsoft Edge」エンジンをアプリに組み込める「WebView2」などを含んでおり、開発プラットフォーム(C++/.NET、Win32、WinForms、WPF、UWP)を問わず「Fluent Design」に基づいたモダンなデスクトップアプリのUIを設計できる。

 OSの新機能を古いバージョンでも利用できるようにする後方互換性にも注力されており、新規のアプリ開発はもちろん、古いアプリのUIをモダナイズしたり、最新機能の一部だけを取り込んだりといった用途にも利用可能。

 本バージョンでは既存機能の改善や不具合の修正に加え、以下のように多くの新機能が導入された。

  • 新しい「Decimal」型をサポート。96ビット(12バイト)の符号なし整数として構造化されており、10の累乗でスケーリングされるため、10進数値を正確に表現できる
  • 「Windows App SDK」パッケージが「NuGet」メタパッケージに。「Windows App SDK」を構成する各コンポーネントがそれぞれ「NuGet」パッケージ化され、「Windows App SDK」パッケージはそれをまとめたものになる。開発者はメタパッケージを使うか、個別のコンポーネントパッケージを利用するかを選べる
  • 「MSIX」インストーラーの発行に関する機能がスタンドアロンの「NuGet」パッケージに
  • アプリがAIプロンプトの許容サイズを超えるかどうかを判断できる「Prompt Size Limit Reporting」
  • AIがテキストリライトする際のトーン(語調)を指定する「Text Rewriter Tone」。カジュアル、フォーマル、一般から選択できる
  • ローカル小規模言語モデル(SLM)「Phi Silica」に、メール、チャット、スレッドでの発言を要約できる「Summarize Conversation」機能
  • 会話のAI要約で出力言語を指定
  • AIで画像からオブジェクトを削除する「Object Erase」
  • 「Microsoft.Windows.Storage.Pickers」APIをモダナイズ。デスクトップアプリでの利用を改善
  • 「WinAppSDK 1.8」以前にあった「DeploymentManager」の自動初期化の問題を解消
  • 実験的な「WinML」APIを削除。将来のリリースに含める予定

 「Windows App SDK」は「Visual Studio 2022」(推奨)または「Visual Studio 2019」に含まれており、.NETデスクトップ開発、C++によるデスクトップ開発、ユニバーサル Windows プラットフォーム開発の各ワークロードで利用できる。すでに利用している場合は、パッケージ管理システム「NuGet」でアップデートが可能だ。「Windows App SDK」(WinUI 3)に含まれるUIコントロールやその使い方は、「WinUI 3 Gallery」アプリで参照できる。執筆時現在、まだ「Windows App SDK 1.8」には対応していないが、間もなく対応版がリリースされるだろう。

「WinUI 3 Gallery」アプリ