レビュー

秘密のファイルを隠しておくための暗号化仮想ドライブを作成できる「VeraCrypt」

「TrueCrypt」の後継。ドライブへファイルを放り込むだけで暗号化できる手軽さが魅力

「VeraCrypt」v1.21
“コンテナファイル”を仮想ドライブとしてマウント。秘密のファイルをここに入れれば、自動で暗号化される

 「VeraCrypt」は、暗号化された仮想ディスクドライブを作成・管理・マウントするためのツール。Windows/Mac/Linux/FreeBSD/Raspbianなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、本ソフトの公式サイトからダウンロードできる。

 2014年に突如開発が終了してしまった人気の暗号化ソフト「TrueCrypt」の流れをくむツール。“コンテナファイル”と呼ばれる暗号化ファイルを作成し、仮想ドライブとしてマウントすれば、あとはその仮想ドライブとファイルをやり取りするだけで暗号化・復号が行える。この手軽な操作が「VeraCrypt」の魅力だ。

 “コンテナファイル”自体は一見ただのファイルなので、アンマウントしてしまえばそのなかに秘密のファイルが隠されていることを知るのは困難だ。また、心配となる総当たりによるパスワード解析に対しても「TrueCrypt」に比べて格段に耐性が向上しているとのことで、安心して利用できる。

 本ソフトは初期状態でユーザーインターフェイスが英語になっているが、日本語化が可能となっている。利用する際はまず[Settings]-[Language]メニューからユーザーインターフェイスを日本語へ変更しておくとよいだろう。

利用する際はまずユーザーインターフェイスを日本語へ変更しておくとよい

 続いて[ボリューム]-[新規ボリュームの作成]メニューを選択し、“暗号化ボリューム”を作成する。暗号化ボリュームは、いわば秘密のファイルを入れておくための“箱”だ。作成処理はウィザード形式で行えるようになっているので、案内に従って手順を進めていけばよい。

 最初の画面では、どのような暗号化ボリュームを作成するかを選択する。「VeraCrypt」は“コンテナファイル”だけでなく、パーティション全体の暗号化や、システムドライブ丸ごとの暗号化も可能だが、慣れないうちは“コンテナファイル”の扱いから慣れていくとよいだろう。今回は“コンテナファイル”の作成を選択する。

 続いて現れるのは、ボリュームタイプを選択する画面だ。“標準ボリューム”と“隠しボリューム”が選択できるが、通常は“標準ボリューム”でよい。“隠しボリューム”は“標準ボリューム”のなかへさらに秘密の領域を作成してファイルを格納しておける機能で、盗難や脅迫によって“標準ボリューム”のパスワードが漏洩しても、“隠しボリューム”の内容まで知られることはない。今回は“標準ボリューム”を選択して先へ進んだ。

1. どのような暗号化ボリュームを作成するかを選択
2. ボリュームタイプを選択する

 その次の画面では、ボリュームを保存するパスを指定する。「VeraCrypt」に関連付けられた拡張子は“*.hc”だが、かならずしもそれでなくてはならないことはなく、たとえば“dummy.bmp”や“sample.txt”といった名前でもよい。“コンテナファイル”であることを隠したいならば、むしろ拡張子を“*.hc”にしない方がよいだろう。

 ただし、ファイルサイズが拡張子と釣り合っていない場合は、それが“コンテナファイル”とバレてしまう原因にもなりかねないので注意したい。また、ファイルはどこにあってもよいが、管理者権限が必要なフォルダーだとファイルの作成時にエラーが発生するので気を付けよう。

 [次へ]ボタンを押すと、今度は暗号化オプションの画面が表示される。「VeraCrypt」では“AES”をはじめとするさまざまな暗号化アルゴリズムが利用できるが、特にこだわりがない場合はそのまま次の画面へ進んでよい。

4. ボリュームを保存するパスを指定
5. 暗号化オプション

 続いて表示されるのは、ボリュームのサイズを指定する画面だ。ディスクドライブの空き容量の範囲内で、十分な値を指定しよう。[次へ]ボタンを押すと、今度はパスワードを指定する画面が現れる。20文字以上のできるだけ強力なパスワードを指定しよう。

6. ボリュームのサイズを指定
7. パスワードを指定

 最後に現れるのは、ボリュームのフォーマットを行う画面だ。ファイルシステムの種類を指定したら、画面内でマウスカーソルをランダムに移動させよう。下のバーが青くなるまで伸びたら、[フォーマット]ボタンを押してボリュームをフォーマットして完成だ。

8. ボリュームをフォーマット
9. 暗号化ボリュームが完成

 作成した“コンテナファイル”は、ドライブリストの右クリックメニューなどからマウントできる。マウントすると「エクスプローラー」に仮想ドライブが現れ、秘密のファイルを格納できるようになる。

作成した“コンテナファイル”は、ドライブリストの右クリックメニューなどからマウントできる

ソフトウェア情報

「VeraCrypt」
【著作権者】
IDRIX
【対応OS】
Windows/Mac/Linux/FreeBSD/Raspbianなど
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
1.21(17/07/09)