レビュー
無料でRAW画像にも対応する「Adobe Photoshop Express」で写真を“作品”に仕上げよう
多数のフィルターや補正機能を備えた簡単操作の写真加工アプリ
2018年11月19日 06:30
「Adobe Photoshop Express」は、多数のフィルターや補正機能を備えた写真加工アプリ。Windows 8.1/10に対応するフリーソフトで、“Microsoft ストア”からダウンロードできる。
Instagramはそれ自体で編集機能やフィルターなどを備えている。好みの仕上がりになることが多く、個人的にも使っているが、残念なのは公開するか、下書きするかしないと、フォトライブラリに編集後の写真が保存されないこと。そうなると単独でいろいろ画像処理ができるアプリも欲しくなる。
該当するアプリは数多く出ているものの有力候補のひとつが、Windows 10のストアアプリや、iOS、Androidに対応する「Adobe Photoshop Express」だ。今回はストアアプリ版をご紹介したい。
インストールは簡単でストアアプリからダウンロードするだけだ。初期起動時Adobe IDでログイン(もしくは新規登録)するか、Facebook/Googleのアカウントを使かってログインする。その後編集対象の画像を“ライブラリから”か“カメラで撮影する”かを選択。一般的には前者となるだろう。
対応する画像フォーマットは、JPEG/PNGのほか、ARW(SONY)、CR2(CANON)、CRW(CANON)、DNG/ERF(EPSON)、RAF(FUJI)、3FR/FFF(HASSELBLAD)、DCR(KODAK)、MRW(KONICA)、MOS(LEAF)、RWL(LEICA)、NEF/NRW(NIKON)、ORF(OLYMPUS)、RW2(PANASONIC)、PEF(PENTAX)、SRW(SAMSUNG)形式。数多くのRAWに対応しているのはいかにも同社らしい。
画像を開くと左側に処理別のツールが上から順に[効果]、[切り抜き]、[補正]、[スポット修復]、[赤目を修正]、[境界線]と並ぶ。各ツールはそれぞれ細かい設定や効果などに分けれている。
たとえば、[効果]には[基本][チャーム][白黒][ポートレート][自然][ポップカラー][デュオトーン]が含まれ、[切り抜き]には[回転][角度補正][縦横比]が含まれる。[補正]は、[光][カラー][効果][詳細]、[スポット修復]は[ブラシサイズ]が含まれる。[赤目を修正]は[人物]と[ペット]のカテゴリに分けられており、[境界線]は、[基本][エッジ][フレーム]が含まれる。
[補正]ツール
まずは一般的な[補正]から。作例はデジイチのRAW画像(NEF形式)で保存したものだが、色温度、色被り、明るさなどを調整した。マウスだけでなく、タッチでも操作しやすいアイコンやスライダーのサイズになっている。
手順としては、[補正]の光・露光量やコントラスト、カラー・色温度や色合いなどを調整することになる。機能的には一般的なものなので、何がどこにあるのか把握さえしてしまえばスムーズに調整できる。また、画面上部のボタンからにアンドゥや自動強調表示、オリジナルとの比較、ズーム、保存・共有などができるので、必要に応じて操作すればいい。
[効果]ツール
[効果]の[ポップカラー]は主に指定した色系だけ残して他は白黒になる機能だ。作例では[オレンジ]を指定した。
[効果]の[チャーム]は、説明しづらいが、基本的にオリジナルの色合いは残しつつテイストを変える感じだろうか。チャーム1だと、ネガフィルムをスキャンした時の雰囲気となった。1から16までのプリセットがあり、何を選ぶかは絵次第だ。
[効果]の[白黒]は、単に白黒化するだけでなく、セピア調まで含めた幅広いトーンに対応している。例では[ピンホール]を使ってみた。周辺が落ち込んでいい感じに仕上がった。
[切り抜き]ツール
[切り抜き]は他と一味違うプリセットがある。それは縦横比に、Facebook用のプロフィールカバー・ページカバー・イベントカバー・広告やTwitter用の投稿・ヘッダー……といった、SNS固有の縦横比が用意されていることだ。“あのヘッダー縦横比は!?”と思い出す必要もなく、指定さえすればサクッと最適な縦横比に切り抜きできる。
余談になるが、追加で欲しいとしたら、デジイチで撮った場合、一般的に2:3になるが、これをInstagramへポストしようとすると、1:1か3:4にトリミングしなければならなくなる。2:3の左右に余白を付けて3:4にするような機能もあれば便利だと思う(これだけのために「Photoshop」を使うことがある)。
切り抜いたままで使ってもいいが、雰囲気を出すために一手間、[境界線]を追加するとまた違った感じになる。作例では[ビネット]を指定した。
[スポット修復]ツール
最後は[スポット修復]。しみの削除をする機能だ。これはいい作例が無く申し訳ないのだが筆者の指で(笑)。修正したい部分をクリックすると、ブラシサイズに合わせて修正される「Photoshop」でもお馴染みの機能だ。作例ではわかり難いと思うが、親指第一関節のしわをスムーズにしてみた。
以上、簡単ではあるが「Adobe Photoshop Express」をご紹介した。流石に同社「Photoshop」の冠が付いたアプリだけあってよく使う機能に絞りつつ、簡単操作でこなれた印象を受ける。
macOS版が無いのは残念だが、Windows 10、iOS、Androidとマルチプラットホーム対応なので幅広く安心して使える逸品。サクッとSNS映えする写真に仕上げて欲しい。
ソフトウェア情報
- 「Adobe Photoshop Express」
- 【著作権者】
- Adobe Systems Incorporated
- 【対応OS】
- Windows 8.1/10
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 2.9.272