レビュー

多彩なブラシがうれしい総合ペイントソフト「Krita」

100種類以上のブラシを搭載し、カスタマイズも可能

「Krita」v2.8.1

 「Krita」は、現実の画材を模したさまざまなブラシを使えるペイントソフト。オープンソースで開発されており、Windows/Linuxなどに対応する。Windows版は“kritastudio.com”からダウンロード可能でWindows XP/Vista/7/8および64bit版のVista/7/8に対応しており、編集部にてWindows 8.1で動作を確認した。

 本ソフトはペンタブレットの筆圧検知にも対応する総合的なペイントソフトで、高度なペイントソフトがもつ機能は一通り搭載。グループ、ペイント、ベクター、フィルターなど、機能に応じた多くのレイヤーが用意されている。そのほか文字を入力することも可能。

レイヤーはグループ分けが可能
文字入力は日本語にも対応する

 画面構成は、左側には描画や選択といった基本的なツール、上部にはファイルや各種設定といったカスタマイズ可能なツールバー、右側には機能ごとに分類されたパネルというもの。ちなみにインストール直後のウィンドウは、色遣いが暗くて文字やツールが見づらい。メニューの[Settings]-[Themes]でウィンドウの色味を変更するとよいだろう。

さまざまなブラシが用意されている
右クリックで円形のパレットを表示しブラシを切り替えられる

 「Krita」の最大の特徴は多彩なブラシだ。エアブラシやサインペンといったよくあるものから、筆や鉛筆、カリグラフィブラシ、ハッチブラシ、散布ブラシ、ドライブラシ、スクリーントーンなど、初期状態で112種類が選択できる。また、ツールバーから[Edit brush settings]ボタンを選べば、ブラシを自作することも可能。

 ブラシのサイズは、[Shift]キーを押しながらペンやマウスを左右に動かすことで変えられる。そのため、描画しながら細かくブラシのサイズを変更可能。また、よく使うブラシは、右クリックでポップアップ表示する円形のパレットから選択できる。

 このパレットに登録するブラシは変更可能。マニュアルでは、ツールバーにある[Save to Palette]ボタンから変更すると記載されているが、執筆時現在のバージョン2.8.1で確認した際には、このボタンは存在しなかった。変更を行う際は、メニューの[Settings]-[Select Favorite Presetts...]を選択して設定画面を開く必要がある。

 通常のペンと消しゴムの切り替えは、[E]キーで行う。また「Photoshop」と同じように、スペースキーとマウスやペンでキャンバスを動かせる。キーボードショートカットはカスタマイズすることも可能だ。

 操作の記録や再生を行うマクロ機能も備えてるが、残念ながら執筆時現在のバージョンでは正常に動作しないようだ。そのほか立体図形を描く時に便利なパース機能もあり、ガイドを利用して絵を描くことができる。また、“シンメトリーモード”を利用することで、左右対称な絵や上下対称、点対称の絵を手軽に描くことも可能。

パースのガイド表示
点対称での描画機能を利用した例

 ファイルは独自形式で保存するほか、BMP/JPEG/PNG/TIFF/GIF/PSDなど40種類ほどの形式で読み書きが行える。PSDのようにレイヤー構造をもつファイルで保存する際、フィルターレイヤーなど特殊なレイヤーがある場合は1枚の画像に統合される。単純なレイヤー構造の場合は、レイヤーが保持された状態で出力可能。

 「Krita」は、ペイント系ソフトとして完成度が高い。特にブラシが気持ちよく、これだけで落書きをしたい気持ちが非常に高まる。何かよいフリーのお絵描きソフトがないだろうかと探している人は、本ソフトを試してみてはいかがだろうか。

ソフトウェア情報

「Krita」
【著作権者】
The Krita team
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8および64bit版のVista/7/8
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
2.8.1(14/03/28)

(クロノス・クラウン:柳井 政和)