【第16回】
Android用Twitterクライアントの決定版「twicca」
充実した基本機能に加え、使うと手放せなくなる便利な機能を多数搭載
(10/08/25)
スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”用アプリのライブラリサービス“Androidマーケット”(以下、“マーケット”)には、日々すばらしいアプリが次々と登場している。しかし現在のマーケットは人気アプリや定番アプリにたどり着くための仕組みが弱く、大量のアプリを前に途方にくれてしまう場面も多い。そこで『杜のAndroid研究室』では、さまざまなテーマに沿って窓の杜スタッフが厳選したアプリを紹介していく。今回は、前回紹介した5本のTwitterクライアントのなかから「twicca」をピックアップし、前回の記事では紹介しきれなかった同アプリの多彩な機能や魅力に迫る。
充実の基本機能についておさらいする
「twicca」はマルチアカウントにこそ対応していないものの、Twitterアプリに求められるさまざまな機能を搭載しており、対応していない機能を探すほうが難しいほどの充実ぶりだ。そのため、すべての機能を紹介していては切りがない。そこで、Twitterアプリとして標準的な機能については以下に箇条書きで簡単に紹介するにとどめ、「twicca」ならではの注目機能を中心に紹介する形としたい。また、前回の記事中の比較チャートもぜひ参考にしてほしい。
- OAuth認証
- 発言の公式リツイート(RT)とRT済み発言一覧、RTの取り消し
- コメントつきRT
- 返信のスレッド表示
- フォローしているリストの閲覧
- ツイートのお気に入り登録
- ユーザーのフォロー・フォロー解除・ブロック・スパム報告
- ツイート・ユーザー・流行のトピックの検索
- ユーザーアイコンの表示
- ジオタグからの地図表示
- 内蔵画像ビューワー
- 通知領域を利用した各種新着の通知
- インテントを利用したツイート本文やURLの他アプリとの受け渡し
- 専用ウィジェット(1種類)
多彩な色分け表示で大量のツイートを見やすく管理
まず注目したいのが、タイムライン(TL)の色分け機能だ。標準の状態で、新規に取得したツイートの文字色が明るく表示されるほか、自分宛てのツイート(返信)の背景色がグレーで表示される。ここまではよくある機能だが、「twicca」では一歩進んで、任意のユーザーに対して6色ある“カラーラベル”のいずれかを設定しておくことで、各ユーザーのツイートに色のついた帯を表示できる。
たとえば、発言を必ずチェックしたいユーザーのツイートを赤くして目立たせたり、ニュースをジャンルごとに色分けしたり、プライベートとビジネスで色分けしたりといった活用が考えられる。大量のツイートを効率よくチェックしたい人にぜひ活用してほしい機能と言える。
ハッシュタグなどさまざまな入力支援が秀逸な投稿機能
投稿関連の機能が充実している点も「twicca」の特徴だ。文字数のカウント機能や、“bit.ly”によるURLの短縮といった基本的な機能はもちろん、一度投稿したハッシュタグを次回以降簡単に入力できるハッシュタグ履歴機能や、フッターの自動挿入といった便利な機能を多数用意している。
静止画に加えて動画の投稿に対応している点もAndroid用Twitterアプリとしては珍しい。投稿時のツイート内容を画像アップロードサービス(標準では“yfrog”)のコメント欄に同時投稿してくれる点も地味だが便利な機能と言える。また位置情報の利用では、ツイートにジオタグを埋め込めるだけでなく、緯度経度、住所、GoogleマップURLを本文に挿入できるのも便利なところだ。
このほかにもコメントつきRTで、返信扱いとなる(In-Reply-To情報が埋め込まれる)“引用して返信”と、返信扱いにならない“引用してツイート”の2種類を使い分けることができ、さらにこれらの書式をそれぞれ、“QT @ユーザー名: 本文”“RT @ユーザー名: 本文”“QT 本文 (via @ユーザー名)”“RT 本文 (via @ユーザー名)”という4パターンのいずれかに設定できる点も気が利いている。
また、ツイートの文字数オーバー時にURL、ハッシュタグ、ユーザー名などを自動削除する設定などもユニークだ。
強力な情報表示&管理機能によりさまざまな作業を「twicca」内で完結
次に注目したいのが、各種情報の表示と管理機能の充実だ。自分や任意ユーザーのプロフィールを表示できるアプリは珍しくないが、「twicca」では表示したユーザーに対する相互フォローを含むフォロー状況の確認や、ユーザーがフォローされている・しているユーザーやリストの一覧表示、ユーザーのTL、お気に入りと実にさまざまな情報を参照できる。
とくにリストに関しては、新規リストの作成やリストへのユーザーの追加と削除など一通りの機能がこなせるのは心強い。自分のプロフィールの編集やアイコン変更にも対応しており、ほかのアプリならTwitterの公式Webサイトにアクセスせざるを得ないような場面でも、「twicca」内で作業を完結させられるのはとても便利だ。
癖はあるが多機能をうまくまとめたユーザーインターフェイス
このように非常に多機能なアプリだが、国産アプリらしく設定画面も含め完全に日本語化されていることに加え、TL上で操作対象となるツイートをタップすることで、そのツイートに対して利用できる機能の一覧がポップアップメニューで表示されるなど、わかりやすいUIを採用しているおかげで初心者でも安心して利用できる。
反面、大量の機能が画面一杯にポップアップ表示される関係上、とっさの判断に迷う場合があるほか、設定画面が一見Android標準のものに近い構成ながら、チェックマーク状の決定ボタンを押さないと設定内容が反映されないなど、UIにやや癖があるのも確かだ。
また、とにかく多機能なアプリのため、一見気がつかない場所に便利な機能が用意されていることもある。たとえば、ツイートをタップした際のポップアップメニューのなかには“返信する”項目の長押しで“発言者に返信”と“全員に返信”を選べるほか、短縮URLの長押しで短縮URLを元のURLに復元してリンク先を確認できる“このURLを展開する”機能など、子メニューが用意されている項目があるので色々と試してみるといいだろう。
なお、タイムライン上でツイートを長押しすることで、操作対象となるツイートの複数選択も可能となっている。“全員に返信”を利用する場合などに重宝するはずだ。
プラグインにも対応した豊富なカスタマイズ機能
自分の利用スタイルに合わせた細かなカスタマイズに対応している点も「twicca」の魅力だ。
代表的なものを紹介すると、端末の音量ボタンを上下スクロールボタンとして利用可能にする設定や、通常は投稿画面の下部に並んでいる各種ボタンを上部に表示する設定、フォントサイズの変更、TL更新時の現在位置保持に関する設定(現在位置、未読、先頭の3種類から選択)、インテント経由で他アプリからURLを受け取る際にページタイトルを自動取得する設定、通知対象や通知方法(通知音、LEDの色、バイブレーション)の設定など、実に細かな部分までカスタマイズが可能となっている。
さらにプラグインによる機能拡張にも対応しており、画像のアップロード先として“Twitpic”といった各種サービスを追加したり、トピック検索画面から“buzztter”を呼び出したりといった、「twicca」単体では利用できないサービスを後付けで追加できるのもうれしい。上記2つは作者による純正プラグインだが、そのほか“Picasa”や“Flickr”に対応するプラグインなど、有志が作成したプラグインも続々と登場しつつある。
マルチアカウントの非対応と独特のインターフェイスが選択の分かれ目
このように「twicca」はユーザーの『こんな機能があれば』というさまざまな希望を満たしてくれる非常に多機能なクライアントアプリだ。その一方で、UIにやや癖がある点が馴染めないという声が一部で聞かれるのも確かだ。
とはいえ、マルチアカウントを必要とせずUIに馴染めるならば、現在もっともお勧めできるTwitterクライアントであることは間違いない。マルチアカウントへの対応に関しては、リストの作成や編集まで可能な点や、ツイートの色分けで大量の発言を効率よくチェックできることを考えると、投稿面で複数アカウントを使い分けている場合を除けばある程度は運用で補うことが可能だろう。
Twitterを利用しているAndroidユーザーなら、一度は試してほしいアプリと言える。
- 【著作権者】
- Tetsuya Aoyama 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.7.26a