#モリトーク

第53話

Windows XPに別れを告げるとき

 Windows XPのサポート期限が残り1年を切り、アメリカ時間の2014年4月8日で終了する。この終了とは、セキュリティ更新プログラムの提供が止まるということであり、自己責任で使い続けることは可能だが、実質的には使えなくなることに等しい。Windows XPユーザーは今後一年以内に、Windowsのアップグレード、またはパソコンの買い替えを強いられることになる。そうなれば、乗り換え先を検討しなければならない。

 乗り換え先の最有力候補はもちろんWindows 8となるが、一部ではWindows 7の販売が残っているほか、Windows 8 Proに付属するWindows 7へのダウングレード権を行使する手段もある。また、次期Windowsが“Windows Blue”の名称で、そう遠くない時期にリリースされるのではないかという噂もある。しかし先日、マイクロソフト社のブログにて、今後の包括的な計画を“Blue”と呼び、同名の製品が登場する可能性は低いことも発表された。

 この“Blue計画”に次期Windowsが含まれていることは確かだが、それが新製品として発売されるのか、それともWindows 8のサービスパックとして公開されるのか、このあたりの情報はまだ明らかになっていない。そのため、Windows XPユーザーはそれを待つべきなのか、今すぐにWindows 8へ乗り換えたほうが結果的に得なのか、悩ましい状況にあると言えるだろう。

 いずれにしても、Windows XPに別れを告げなければならないことには変わりない。OSを乗り換えるときに一番めんどうで、なおかつ重要な作業は、データのバックアップとリストアだ。とくに、Webブラウザーのユーザーデータは使用頻度も重要度も高いにも関わらず、ファイルを意識することがないためか、バックアップを怠ることが多いのではないだろうか。

「Google Chrome」のデータ同期機能
IEのユーザーデータを「Firefox」へインポート

 もし「Google Chrome」「Firefox」「Opera」「Sleipnir」「Lunascape」のいずれかを常用していて、各種データの同期機能を使ったことがないなら、いつでもWindows XPの使用を止められるように、今すぐ同期機能を使い始めておこう。問題は「Internet Explorer(以下、IE)」を常用している場合だ。Windows 8のIE10には各種データを自動でバックアップ・同期する機能が搭載されているが、Windows XPのIEにはそれがないため、今回のケースではまったく意味を成さない。

 そのため、どうしてもIEを常用しなければならない理由がないなら、ほかのWebブラウザーへ乗り換えることを視野に入れてもよいだろう。上述した5つのサードパーティ製Webブラウザーには、IEのユーザーデータをインポートする機能がもれなく搭載されており、その後に同期機能も利用できる。同期機能の内容はどれも似たり寄ったりだが、すでにGoogle社のWebサービスを利用しているなら、「Google Chrome」を選択するのが一番手っ取り早いだろう。

 また「Lunascape」を除けば、各サードパーティ製WebブラウザーにはMac OS版も用意されているため、Windows XPからMac OSへ乗り換える場合に、Windows版とMac OS版の間でデータを同期することが可能だ。なお、「Lunascape」はMac OS版が用意されていないものの、その同期機能は「Firefox」互換となっているので、見方を変えれば選択肢が広いことになる。

 マイクロソフト社は、6月26日から28日に開催される開発者向けカンファレンスにて、“Blue計画”の詳細を発表する予定だ。同社の立場で考えると、大量に残っているWindows XPユーザーに乗り換えを促すには、これほど絶好のチャンスはほかにない。カンファレンスの発表によって、Windows XPユーザーが取るべき行動もおおよそ決まってくるのではないだろうか。もしそれを待たずにWindows 8への乗り換えを決意するなら、窓の杜では昨年、Windows 8の操作性になじめない人のために特集記事を掲載しているので参考にしてほしい。

(中井 浩晶)