どれ使う?プログラミング教育ツール

コロコロ転がる水陸両用の球体ロボ「Sphero」はプログラム方法も楽しみ方もいろいろ!

超簡単な線で動き方を描く指示からJavaScriptまで幅広いプログラミングに対応

 プログラミング用ロボットというと、組み立てから始めて仕組みを理解した上でプログラミングをするイメージがありますが、買ったらいきなり完成品というロボットもあります。今回紹介する「Sphero Bolt」は完成品タイプのプログラミングロボットで、なんと球体! 非常に独特の動き方をして愛着がわきます。なお、組み立てを伴わないすぐに使えるロボットは、組み立てを伴う教材とは目的が大きく違うので、私は「ガジェット系」と分類しています(参考記事)。

「Sphero Bolt」本体。ツルッとした透明の球体で、中もよく見えるようになっている

球体でなんだか愛着のわくロボット

 「Sphero Bolt」は透明の球体で、8×8のLEDドットスクリーンを内蔵しており、カラフルで鮮やかな演出もできます。なんといっても球体がコロコロ転がっていくのは不思議な感じで、実は水にも強く遊び方が広がります。

 プログラミングは「Sphero Edu」という専用アプリで行い、「Sphero Bolt」にはBluetoothで接続して端末から直接プログラムを実行します。アプリは各種端末用に用意されていますが、この記事ではiPadのプログラミング画面を使用しています。

 アプリにはプログラミング機能以外に「ドライブ」モードもあり、ラジコン的に操作してただ走らせるという楽しみ方もできます。初めて触るときはまずこれで楽しむのもいいですね。派手に動かすときには傷が心配……という場合、専用のソフトカバーも存在します。ただ運転するのは意外とすぐ飽きてしまうものなので、早速プログラミングして楽しみましょう!

アプリのスタート画面。[ホームユーザー]に進むが、アカウントを作らなくても利用することはできる
充電は専用充電器にのせるだけ。充電器はUSBケーブルで給電
床をコロコロ転がっていく感じが楽しい

プログラミングの方法は幼児向けから高年齢向けまで3種類

 プログラミングの手法は、「ドロー」、「ブロック」、「テキスト」の3種類が用意されています。

 「ドロー」は、線を描くだけでSpheroがその通りの軌跡を動いてくれるというプログラミング方法。小さなお子さんにはぴったりで、指示に対して正しくロボットが動くという体験ができます。線の太さがスピードを。色はLEDの色を示しているところがとても直感的です。

このプログラムの場合、青い細い線の部分はゆっくり青く光りながら動き、赤い太い線の部分は素早く赤く光りながら動く

 「ブロック」タイプは子ども向けではお馴染みのブロック型のビジュアルプログラミング方式。かなりいろいろなブロックが用意されています。前右前右と進むだけのプログラムを作ってみました。LEDの色を変えるとプログラムの実行状況を把握しやすいのでおすすめです。

同じ動きを2回繰り返している。走行状況のデータも表示される

 動画で見てみましょう。

【「Sphero」が前に進んで曲がる動作をプログラムに従って繰り返す様子 - 窓の杜】

 動きを指示するときにスピードと時間を指定するところが独特です。例えば「ターゲットに向けてぴったり止まる」なんてチャレンジを設定して、「距離÷時間=速さ」の公式や走行状況のデータからSpheroの「スピード」と時間と走行距離の法則を見つけて、ターゲットでぴたりと止まるプログラムしよう!……なんてこともできます。ただ、Spheroの動きは床面との摩擦などの状況に応じてそこそこ変動するので、あまり正確な動きを求める使い方をするのには向いていないかな、というのが実感です。

 「テキスト」はJavaScriptでプログラムを書きます。サンプルをコピーしただけですが、例えばこのプログラムでは、ブルーに光って「Hello Square」と喋ったあと、色と音の演出をしながら四角形の軌跡で動きます。

JavaScirptで書かれたコード。入力時にはコードヒントなども表示される

 なお、「ブロック」で作成したプログラムはJavaScriptで出力して「テキスト」モードに貼り付けてアレンジすることもできます。派手に動く面白さだけでなく、プログラムミングでできることの幅が広くポテンシャルが高そうです。

使い方は広く楽しく!アイデア次第!

 Spheroのサイトでは、専用ソフトカバーをつけてダイナミックに絵の具の上をゴロゴロ転がしてアートを楽しんだり、迷路やちょっとしたジャンプ台を走らせるような例も紹介されています。そんなダイナミックな使い方も楽しそうですし、ただ単にSpheroに軽い箱をかぶせて動かすだけでも、「不思議な動く箱」になったりもします。

 水の上で動かすのもなかなか面白く、深い紙皿やイチゴパックのようなものをかぶせておけば、船の動力のような演出にもなりますよ。

 8×8LEDドットスクリーンでアニメーションを楽しんでしまうこともできます。パラパラアニメの要領でどんどんフレームをふやしていけるので例えば次の図のようなクリスマス演出のプログラムも。こんな風に「Sphero Bolt」は動かさずにただLEDの演出だけという使い方だって構いません。なお、音は残念ながら「Sphero Bolt」からは直接出るのではなく、プログラミングするアプリが動いている端末の方から出ます。でも、いろいろな演出ができるのでけっこう楽しいですよ。

LEDマトリクスのアニメーションは1フレームずつ編集して作ることができる
【「Sphero」内蔵のLEDドットスクリーンでクリスマスの演出 - 窓の杜】

 プログラミングが「お勉強」っぽくなってしまうととてもつまらないですから、ぜひ面白くてクリエイティブな遊びを創り出して、お子さんと一緒にやってみてください!

 2020年度から小学校でプログラミング教育が実施されています。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。