どれ使う?プログラミング教育ツール

幼児のプログラミングに! 「4命令・5ステップ」で動くイモムシ型ロボット「コード・A・ピラーツイスト」

ダイヤルで命令入力、目の前で動く!

「コード・A・ピラーツイスト」

 小さな子どもたちがプログラミングに親しめるプログラミングガジェットには、子どもの発達段階にていねいに寄り添ったおもちゃの姿をしているものがあります。今回紹介する「コード・A・ピラーツイスト」は、タブレットもPCもいっさい必要ないイモムシ型のプログラミングロボットです。

 乳幼児向けグッズで有名なアメリカのフィッシャープライスの知育玩具で、電池を入れるだけですぐに使えます。対象は3才からで、小さなお子さんが無理なく楽しみながらプログラミングの入り口の考え方に親しめます。価格もAmazon.co.jpで2,000円前後と手を出しやすいので、クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントなどにピッタリかも。

プログラミングは背中のダイヤルをくるっくるっ!

 イモムシがキャラとはなんともアメリカンな発想!とつい思いそうになりますが、このイモムシのボディがプログラムの順次処理を学ぶメタファーとしてなかなか理にかなっています。

 ボディの節のひとつひとつが頭の側から順番にプログラミングのための命令コードになっているのです。節ごとについているダイヤルを回して命令を選んでプログラミングして、イモムシロボットを動かしたり楽しい音を出したりします。

イモムシの節ごとにダイヤルがついている

 命令コードといっても3種類の矢印とスペシャルエフェクト(節ごとにアイコンが違い、演出も異なる)の全4種類ですから、直感的に選べます。ボディの節は全部で5個あり、プログラムできるのは5つの手順です。

 大人の感覚ではもしかすると物足りなく見えるかもしれませんが、小さな子どもの発達段階を考えれば、厳選された少ない選択肢の中でプログラムを作って何度も繰り返して遊べることが自然とコンセプトを身につけることにつながるでしょう。

選べる命令コードはシンプル。節ごとに違うアイコンはスペシャルエフェクトで、楽しい音と光の演出

 5つのステップという限定された中で、プログラムの命令は頭から終わりに向かって順番に実行されるという順次処理のコンセプトだけを使います。イモムシの頭からお尻に向かって順番に実行されるというのは、小さなこどもにとって直感的にイメージしやすく、「コード・A・ピラー ツイスト」自体が順次処理のルールを自然と把握できるようにデザインされているのがわかります。

徐々にステップアップ!

 ダイヤルを「つかんでまわす」というのは手作業としてもよい刺激になり、子どもの力でも無理なく回すことができます。こういうおもちゃで遊ぶときはいきなりプログラミングを意識する必要はなく、最初はお子さんが適当にダイヤルを回したら実行ボタンを押して動かしてみる……というだけのことから始めれば十分でしょう。

 大人からの適度な声かけで徐々にコンセプトがわかってきたら、障害物を避けるように動かしてみたりストーリー性のあるゴールを決めてそこに行き着くプログラムをするなど、プログラミング遊びに広げていきます。

 例えば、次の写真のように、色画用紙を置いて白のスタート地点から「緑の『山』に行きたいね〜」とか、「次は青の『海』に行きたいな〜」、なんてお子さんに投げかけてみるだけで、ゴールを設定した遊びになります。画用紙をそのまま置くのではなくかわいい形に切ったり、おままごとの食べ物を置いたりすると、もっと楽しさはアップしますよ。

色画用紙を置くだけでも遊びのステージが設定できる

 5つのすべての節でいずれかの命令コードをしなければいけないので、動かしたくないときはスペシャルエフェクトのアイコンにダイヤルを合わせておきましょう。アイコンは節によって違い、音と光で演出してくれます。何が起きるのかはお楽しみに!

山に行くプログラムは1回前に進むだけ。海に行くプログラムは前に進み、右を向いて、前に進む。★はスペシャルエフェクト
山に到着
海に到着

 プログラムを実行すると、名前の「ツイスト」の通り、ちょっとくねくねしながら軽快に動いていくのでなかなか楽しいです。青いエリアの「海」までいくプログラムを実行してみたところを動画でみてみましょう。

【かわいいイモムシ型プログラミングロボット「コード・A・ピラー ツイスト」 - 窓の杜】
プログラムに従って青いエリアの「海」までくねくね進みます

 なお、カーブして曲がっていくなど動きは独特なので、毎回きっちり測ったように同じ距離と角度を動くというよりもそこそこ変動します。ですから、マス目状のコースを用意するよりは多少ラフな目的地設定にしておく方が楽しめそうです。

リアルに触って手を動かすのがうれしい

 こうしたおもちゃ感覚で親しめるプログラミングガジェットは、タブレットの画面の中で完結するアプリの世界と違い、リアルに触って実際に目の前で動く姿を見てプログラムの実行結果を実感できます。発達段階を考えると、画面タッチだけでなく手作業を伴うというのもうれしいポイントです。

 また、未就学の幼児だけでなく、小学校のプログラミング学習でなにかアプリでプログラミングに取り組む際の導入として、順次処理のコンセプトを理解をするために使うのもいいでしょう。特別支援学級で使用している例もあり、ていねいにスモールステップで理解を深めるのにぴったりです。

 私は以前、小学校の特別支援学級で「コード・A・ピラー ツイスト」の前のモデル「コード・A・ピラー」を使った授業を見学したことがあるのですが、とてもよい学びのシーンが生まれていました(※参考記事)。

 プログラミングにはいろいろな入り口があります。ひとつの形としてこんなおもちゃガジェットもチェックしてみてください。

 2020年度から小学校でプログラミング教育が実施されています。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。