【第472回】
自由に世界を旅するRPG「巡り廻る。」
好きな生き方を選ぶ楽しさが詰まった自由度満点のRPG
(12/01/20)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、世界を巡り、自分の好きな生き方を楽しめるRPG「巡り廻る。」を紹介しよう。
戦士、商人、旅人、悪党……自由に生き方を決めよう
「巡り廻る。」は、2D見下ろし画面のフィールド探索型RPG。好みのキャラクターを作り出し、ファンタジー世界を自由に生きられるのが最大の魅力となっている。主軸となるシナリオを追うほかにも、品物の売買で大商人を目指すのもよし、荷物の運搬で稼ぐ運送業を営むもよし、賞金首を追って名声を高めるのもよし、武器や道具を生産してお店を開くもよし、さらには盗みなどを繰り返して悪人となることも可能と、まさに世界の住人として生きられる。
ゲームを開始して、まず行うのがキャラクターメイキング。外見、出身、種族、職業、使用可能な武器と実に細かく決められる。外見は能力とは関係ないので好みで決めればいいが、そのほかは能力にそれぞれ関わってくる。たとえば、屈強な肉体の人々が多い“火の国”を出身にすればHPや腕力が高くなり、知識を共有する“モック人”を種族にすればMPや魔力が高くなる。
さらに重要なのが、使用可能な武器。すばやい攻撃が可能な“短剣”、遠距離攻撃が得意な“弓”、攻撃魔法が扱える“杖”など8種類から4種類を選ぶことになるが、選んだもの以外の武器は装備不可能となる。また、扱う武器によってHPやMP、スタミナ、素早さといったキャラクターの能力上昇が大きく変化するため、バランスよく能力を伸ばしたい場合は剣、弓、杖など特性の違う武器を扱えるにしておこう。
舞台となるのは、闇の竜によって支配されてしまった世界。ゲームはプレイヤーが旅の途中で倒れてしまったところからスタートする。倒れた主人公を助けたのは、闇を晴らすため旅をしているという光の巫女“リン”とその仲間たち。世界を救うために冒険を続けるリンたちを追うのがメインと言えるストーリーだが、それを追わなくても世界は動いていく。
なお、この世界は大きく分けて“火の国”“地の国”“水の国”と3つの国があり、それぞれ通貨や特産品、文化が異なっている。基本的にキャラクターメイキングで出身国に選んだ場所からスタートする仕組みだ。このほか、スタート地点には選べないが、闇の竜が棲む“闇の国”も中心部に存在している。
最初はいきなりフィールド上に投げ出されるような形になるので、何をすればいいのか迷ってしまう。そこで、まずは覚えておきたいのが、敵が出にくい街道沿いを通ること。また、フィールド上ではランダムエンカウントで敵と遭遇すると“!”マークが表示されるが、その色が赤色の場合は決定ボタンを押し、黄色の場合は逆に何もしないと戦闘を回避できるのも重要だ。そして近くの街に辿り着いたら、酒場で仲間を集めよう。リンたちを追って世界を冒険するときはもちろん、商人を目指すにしても、戦闘を完全に避けるのは難しい。傭兵や戦士など直接攻撃が得意な仲間を1~2人、弓や魔法による遠距離攻撃が得意な仲間を1~2人ぐらいとバランスを考えて仲間を増やしておこう。というのも、このゲームは戦闘が非常にシビアであるためだ。
位置取りが重要な戦闘システム。戦略を練って戦おう
戦闘は、フィールド上だと“!”マークが黄色いときに決定ボタンを押す、または赤い色のときに何もしないと開始。ダンジョンの場合は、マップ上に現れる敵に触れると戦闘へと移行するシンボルエンカウントを採用している。戦闘は敵味方関係なく順次行動順が回ってくるタイプのコマンド選択型だが、戦闘フィールド上での位置取りの概念が独特だ。自パーティと敵、それぞれの陣地が3×3のマス目に分けられており、画面の左側が敵陣、右側が自陣でお互い向かい合う形となっている。そして、各キャラクターは1ターンごとに、攻撃などの行動とは別に上下左右へ1マスずつ移動することができる。攻撃は敵に近いほど有効で、とくに剣などの近接武器では敵との距離が遠いと攻撃できない。弓などの遠距離武器なら後列からでも攻撃が可能だ。
また、剣や斧による攻撃では自分のいるマス目の同じ横ライン上またはその上下のライン上にいる敵しか攻撃できず、弓や弩にいたっては同じライン上の敵しか攻撃できない。つまり、剣を持ったキャラクターが一番上のラインにいる場合、一番下のラインにいる敵には攻撃できないことになる。さらに、敵が同じライン上に2匹、3匹と並んだ場合、攻撃は一番前の列にいる敵にしか届かない。
その例外となるのが、武器を使い込むと覚える特殊攻撃や魔法といった“スキル”だが、スキルはそれぞれ攻撃できる位置が決まっており、後列の敵にも攻撃できるスキルだからといって、好きな位置を指定できるわけではない。回復魔法も同じで、自分の位置から上下左右にいる仲間しか回復できないなど制約がある。そのため、回復役を真ん中に配置し、その上下左右にほかの仲間を配置して回復させながら戦いやすい陣形にするといった工夫が必要だ。
なぜなら戦闘になった場合、登場する敵の数は3~9匹が当たり前、攻撃力も高く、スキルを活用しての攻撃や回復魔法の使用が必要になるシーンが多いためだ。敵を倒してレベルアップしていけば主人公や仲間たちは強くなるが、同時にその国の敵のレベルも上昇していく。同じ国に留まっていては戦闘は少しもラクにならないため、敵のレベルが上がったら、敵のレベルの低い別の国へと移動するのが戦闘中心の旅では基本的な流れとなる。ここに巡り廻るというタイトル名の由来を感じるところだ。
ちなみに、それぞれの国の敵のレベルはメニューの“手帳”から見られる経歴にある“火EL Lv”“地EL Lv”“水EL Lv”“闇EL Lv”で確認が可能なので、旅の目安にしよう。戦闘は確かにシビアだが、それだけにいつも緊張感があり、戦略を練る楽しみがある。戦闘だけでも楽しいと感じる人が多いはずだ。
なお、戦闘は同時に4人まで参加できる。ゲーム開始当初は5人まで仲間を増やすことができ、戦闘中に入れ替えが可能。また、戦闘参加メンバーのうち誰かのHPがゼロになった場合は自動で入れ替わる。連れられる仲間の数は、大きな馬車を購入することで増やしていくことができる。
依頼をこなしてまずはお金を稼ごう
どの生き方を目指すにせよ、お金は必要。それを手っ取り早く稼げるのが街にある“ギルド”だ。ギルドにはさまざまな依頼があり、特定アイテムの入手、ダンジョンにいる敵の討伐、別の街への荷物の運送が定番だ。アイテムは戦闘のほか道具屋で購入したり、ダンジョンでの伐採や採掘などで集められる。ただし、伐採や採掘には“ナタ”や“つるはし”といった道具が必要だ。討伐は指定されたダンジョンに行って、依頼達成に必要な数の敵を倒すというもの。敵と戦うのは大変だが、レベルアップとお金稼ぎ、アイテム探しのすべてを同時に進行できるのが大きなメリット。運送は、ただ運ぶだけなので時間はかかるがリスクが少ない。そして、水の国は魚が特産で別の国では高値で売れるなど、アイテムの価値を知っておけば運送のついでに仕入れて売るといった行商で儲けられる。
ある程度のレベルとお金が貯まれば、あとは生き方を決めればいい。それぞれの街では自分の家を買うことができ、ペットを飼ったり、作業台や調合器具を設置してさまざまな素材から武器や道具を製作したり、街によっては店舗も開けるので製作したアイテムを売って稼ぐことも可能。畑で作物を栽培したり、釣り竿での釣りも可能なので、それを売って生活していくのも面白い。その一方で、それぞれの国の王の暗殺やスリといった悪事も働ける。悪事を働いた場合のみ入れる場所もあるので、悪の道に走るのもアリだろう。
もちろん王道といえる生き方は、リンたちを追って闇の竜を倒す旅に出ることだ。とはいえ、普通に過ごしていても自然と時代は変化する。ここでも、巡り廻るというタイトルの由来を感じる要素があるが、詳細はぜひ自分の目で確かめてほしい。時代の移り変わりにより登場するダンジョンがあったり、ある条件を満たせばユニークなアイテムが入手できたり、さらには自分の国を持つことも不可能ではない。
本作は、とにかくできることが膨大で非常に緻密。曜日や時間の概念がきっちりあり、旅をすればスタミナが減り、空腹にもなる。食べる、寝るといった生活の基本が必要となり、その世界で生きている実感が強いのも特徴ではないだろうか。依頼をこなすと名声が高まって王から褒美がもらえたり、調理を重ねれば能力や満腹度が高く上昇する料理を作れたり、採掘や伐採を繰り返せば手に入るアイテムのランクも上がっていく。どの生き方を選んでも、それによって自分が成長してる喜びを感じられるのも魅力だ。しかも、今回の記事で触れている内容はまだまだほんの一部だけ、序盤を紹介しているに過ぎない。旅をしていくうちに“こんなこともできるんだ”という場面が多いのも特徴と言える。じっくりじっくりとプレイしてほしい1本だ。
- 【著作権者】
- 耕 氏
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.08(12/01/16)