週末ゲーム
第506回
経営&合成&育成RPG「悠遠物語 ~空の大陸とアイテム屋さん~」
お店の経営にアイテムの合成、物語も充実と内容タップリの長編アクションRPG
(2012/12/14 11:29)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、お店の経営にアイテムの合成、キャラクターの育成、そして長編の物語と内容タップリのアクションRPG「悠遠物語 ~空の大陸とアイテム屋さん~」を紹介しよう。
強くなろうとする少女と悠遠大陸を巡る物語
「悠遠物語 ~空の大陸とアイテム屋さん~」は、何百年も空に浮かび、誰も辿り着いたことのない“悠遠大陸”がある世界を舞台にした2D見下ろし型のアクションRPG。主人公の女の子“ピア”は、港町“ポルトフィーナ”で流行している“みなと病”の治療法を見つけるために、小さな薬屋さんをオープンさせる。そこで意志をもつ不思議な人形“マリネ”や悠遠大陸に住むという“エルバーク”と出会い、錬金術師や魔法使いとして成長していく。平和に思われた生活だが、悠遠大陸を巡る大きな事件が起きることになって……というのが大まかなストーリーだ。
本作の魅力は、壮大なボリュームにある。お店の経営、アイテムの収集と合成、キャラクターの育成、ストーリーの進行、そのどれもが作り込まれており、それぞれの要素がうまく絡み合うシステムによってプレイヤーのやる気を盛り上げる。具体的には、お店を経営するにはダンジョンでのアイテム収集が必要で、これを錬金術や鍛冶によってより稼げるアイテムに合成。そしてキャラクターの育成やストーリーを進行させるための戦いでは、お店の経営で稼いだお金で装備や回復アイテムを購入するといった具合だ。
強くなろうとするひたむきな女の子と、その成長を手助けするエルバーク、増えていく仲間たち。さまざまな事件が起きながらも、仲間たちのやり取りはボケと突っ込みの応酬でとてもコミカル。つらい出来事にも明るさを失わないピアと仲間たちによって、気持ちよくプレイできるのも大きな魅力となっている。また、アイテムの数は数百にのぼるため、アイテム集めだけでも熱中できてしまう。
経営に合成と楽しみいっぱいのゲームシステム
さまざまなシステムが絡み合う本作だが、まずはお店の経営について触れていこう。お店は所持しているアイテムを並べて売るというシンプルな内容だ。マッチやろうそくなど日用品は安いがよく売れる傾向にあり、武器や防具はすぐには売れないが比較的高く売れるので儲けは大きい。薬、お菓子、魚、鉱物、皮や布など、とにかく登場するアイテムの種類は豊富なので、どの商品を中心に商売するか悩むのも面白さだ。お菓子類が意外なほど高く売れたりと、どれが高額で売れるかいろいろと探すのも楽しい。
お店の経営に大きく絡むのが、アイテムの収集と合成だ。収集については主にダンジョンで行う。ダンジョンの構造やアイテムの配置は、ストーリー進行に関わる一部のダンジョンを除き入るたびに変化するが、ダンジョンごとに入手できるアイテムの種類は決まっている。海岸なら貝殻や砂に関係するアイテムが多く、洞窟なら鉱物が多いといった具合だ。アイテムはダンジョンで拾えばただで入手できるので、ダンジョンで仕入れて、お店で売れば所持金はどんどん増えていく。
もうひとつ重要な合成だが、これは複数のアイテムを組み合わせて、別のアイテムを作り出せるというもの。“赤い実”と“小さい薬草の葉”の組み合わせで“レッドポーション”を作れるといった具合だ。薬や食べ物など消費系のアイテムは“錬金術”で、武器や防具など身につけるアイテムは“鍛冶”で作り出すことになる。
ただし、合成を行うには作り方となる“レシピ”の入手が必要。レシピは町の書店で売られているほか、ダンジョンでも入手可能だ。この合成を利用すれば、珍しいアイテムや強力な武器などを作り出せるため、それをお店に売り出せば、儲けはより大きくなる。強力な回復薬など戦いに役立つアイテムを作れるのも魅力だ。
多彩な武器から戦い方を選べる戦闘にも注目
キャラクターの育成とストーリーの進行でポイントになるのは戦闘だ。敵は基本的にダンジョンに登場し、戦闘システムはマップ上を徘徊する敵を剣や魔法で直接攻撃するアクションとなっている。ダンジョンには仲間を連れていくこともでき、この場合仲間は自動で戦ってくれる仕組みだ。
ピアや仲間が使う武器には剣、大剣、斧、槍、杖、本、弓などさまざまな種類があり、それぞれ戦い方が異なってくる。たとえば、剣は近距離の敵にしか攻撃できないが、盾を装備できるため防御力を高めやすい。斧や槍は両手で持つ武器なので盾を装備できないが攻撃範囲が広く、威力も高いため一度に多くの敵にダメージを与えられるメリットがある。弓は敵を1体ずつしか攻撃できないが、攻撃範囲が非常に広いためダメージを受けにくい。本は特定の能力をアップさせるなど、特殊な効果をもつことが多いマニアックな武器。杖は魔法力を高めるものが多く、魔法中心に戦うなら必須だ。
魔法については“スキル”という形で身につけられる。スキルを覚えるためには特定のアイテムを揃える必要があり、強力なスキルほどレアなアイテムが求められる。魔法は広範囲に攻撃できるもの、威力が高いものなど強力だが、MPを消費するほか発動には少々時間がかかる。魔法を使うときは、敵に囲まれないように注意が必要だ。
剣でごり押しするか、弓で安全な場所から地道に攻撃するか、ど派手な魔法で敵を蹴散らすかなど、お店の経営だけではなく戦いでも個性を出せるのが楽しい。ただし、剣など通常の物理攻撃が効きにくい、あるいはまったく効かない敵も登場する。戦い方が偏りすぎると、思わぬところで苦戦するのを覚えておきたい。
また、戦いでは主人公や仲間のキャラクター、敵のぞれぞれに設定されている“属性”も重要となる。属性は火、氷、雷、水、風、地、光、闇、命、滅の10種類があり、それぞれの数値が少ないほど耐性が高くなる。たとえば、主人公のピアは水属性への耐性が高く、雷属性への耐性が低いといった具合だ。敵にも当てはまり、ピアの“アナライズ”という魔法で属性への耐性を調べられる。これは特にボス戦で重要で、地属性への耐性が低いとわかれば、地属性の魔法をあらかじめ覚えておくといった対策が立てられる。
またボス戦では、攻撃内容の把握も大切だ。というのも、敵によっては魔法が使えなくなる“沈黙”、正しく移動できなくなる“混乱”、少しずつ体力が減っていく“猛毒”といった状態異常を使ってくるからだ。属性と状態異常については、その耐性を高める防具やアイテムが存在している。何度戦っても勝てない状況になったら、まずはボスの属性耐性と攻撃内容をチェックして対策を練るのが攻略の近道だ。
このほか、“コスト”という概念も面白い。コストとはアイテムを使用するのに必要な数値で、強力なアイテムほど多く消費する。たとえば、体力を大幅に回復させたり、やられてしまった仲間を復活させたり、能力を一時的に大幅アップさせるアイテムは非常にコストが高い。コストは自宅で眠るまで回復しないため、何も考えずにどんどんアイテムを使うと大事な場面で体力が回復できず、大ピンチとなってしまう。回復アイテムを大量に用意してごり押しでボスを倒そうと思っても、コストの存在がそれを許さないというワケだ。これにより、ボスに対しては属性対策を練るといった戦略が必要になってくる。
イベントも盛りだくさん! 50時間以上遊べる超ボリューム
本作ではさらに、エルバークから課題を出される“ミッション”によって、お店を拡大したり、一緒に戦う仲間を増やしたり、レアなアイテムを入手したり、仲間とのドタバタ劇を楽しんだりできる。また、ゲーム中の音楽がいつでも楽しめるようになる“楽譜”の存在、漁師にとあるアイテムを渡すと魚や海藻などを捕ってくれるなど、さまざまなイベントやアイテムが用意されている。筆者はクリアまでに32時間ほどかかったが、アイテムのコンプリートを目指せば、50時間以上は遊べるだろう。この年末にじっくりと遊べるゲームを求めているならイチオシしたい、完成度の高い作品だ。さらにストーリーに関しては、まだまだ続きがあるようで、その公開も予定されているという。今後の展開も楽しみだ。
ソフトウェア情報
- 「悠遠物語 ~空の大陸とアイテム屋さん~」
- 【著作権者】
- らむらむ 氏
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.5.09