週末ゲーム
第523回
状態異常が戦術の要! 呪術士を目指すRPG「サラマンドラのおまじない」
人々に恐れられる“呪術”で人を助けたいと願う少女の物語
(2013/5/24 16:09)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、状態異常で敵を倒していくテクニカルな戦闘が楽しいRPG「サラマンドラのおまじない」を紹介しよう。
呪術による状態異常が戦術の要となるRPG
「サラマンドラのおまじない」は、2Dトップビュー画面のフィールド探索型RPG。依頼を受けてダンジョンを探索していくというシンプルなゲーム展開ながら、ステータス低下や毒・炎によるダメージの蓄積といった“状態異常”を活用しないと敵をなかなか倒せないシステムと、HPの回復手段が少ないという要素によって、常に緊張感のある戦闘を楽しめるのが大きな特徴。また、マップの切り替えにより宝箱は何度も復活し、中身が変化するというランダム性によって、アイテム集めをするのも面白い作品となっている。
舞台となるのは、数多くの魔物が住むダンジョン“呪界”がある“フェルミッテ”という町。そこに住む主人公の女の子“テミナ”は、人々に恐れられている“呪術”で人を助ける“呪術士”であった祖母にあこがれ、自分もその道を進むことを決意。修行のため、町の人たちから依頼を受け、いとこで人間と魔物のハーフである女の子“ロコ”と呪界へと旅立つ。しかし、テミナの純粋な想いとは裏腹に、破壊を生み出す特別な力を持つことの難しさを知ることになる……というのが主なストーリーだ。
敵との遭遇は、ダンジョン内を歩き回る敵に触れると戦闘画面に切り替わるシンボルエンカウント方式を採用。うまく移動すれば、敵と戦わずともダンジョンの奥地へと進むことが可能だ。しかし、依頼の達成にはボスとの戦闘が必須のケースが多いため、必然的にレベルアップは必要となる。
呪術の選択や役割分担が重要、力押しではザコ戦でも全滅!?
本作の戦闘はコマンド選択型で、敵・味方入り交じって順次行動するCTB方式。行動順はステータスのひとつである敏捷で決まる仕組みだ。
ポイントは、敵から受けるダメージが大きいにも関わらず、HPの回復手段は1種類につき20個までしか持てない回復アイテムに限られる点と、武器の攻撃力が低い点。単純な力押しの戦い方では、アッという間に全滅してしまう。そのため、うまく呪術を活用するのが必須だ。
呪術は敵にダメージを与える以外に、敵の攻撃力や命中力を低下させるもの、混乱させて敵同士で戦わせたり眠らせるなど状態異常を引き起こすもの、または仲間の攻撃力や回避力といった能力を上げるものが多い。敵になるべく攻撃させず味方の攻撃機会を増やしていったり、毒など敵に行動順が回るたびに自動でダメージを与えていく呪術を活用していくことが重要となる。
パーティはテミナとロコの2人しかいないため、役割分担も大切。ザコ敵でも気をつけながら戦わないと簡単に全滅してしまうからだ。ロコの呪術で敵を足止めし、テミナの呪術でダメージを与えていくなど、効率よく戦えるパターンを探す楽しさがある。
面白いのが、覚える呪術をプレイヤーが選べること。レベルアップや依頼の達成で貯まる“AP”を消費することで呪術を習得できる。呪術習得の画面は碁盤の目のようになっており、中心地点から上下左右のいずれか、目に沿って習得していく仕組み。たとえば、習得済みの呪術の1つ右の呪術を覚えなければ、さらに右の呪術は覚えられないといった具合だ。
また、碁盤の目は右側がターンごとに相手へと自動的にダメージを与えるのを得意とする毒系の呪術、上側が全体攻撃や連続して大ダメージを与えるのを得意とする炎系の呪術、左側が相手の能力を下げつつダメージを与えるのが得意な雷系の呪術、下側が相手の運やHPを奪うのが得意な影系の呪術に分かれている。どの呪術を中心に覚えていくか悩むのも楽しみのひとつだ。
さらに、戦闘中に利用できる呪術は、テミナとロコそれぞれ事前にセットした8種類となっている。テミナを炎系、ロコを雷系で揃えるなど、役割分担を考えて使う呪術を決めないと戦闘で苦戦することに。どういう戦い方が周囲の敵やボスに有効なのか考えることも重要だ。そのほか、同じ呪術を使い込むと、威力が上がっていくのもポイントとなっている。
ちなみに、2人のHPがゼロになって全滅すると問答無用でゲームオーバー。最後にセーブした地点からやり直しとなる。全滅することが珍しくないゲームだけに、マメにセーブすることもプレイする上で重要。セーブはいつでも行うことができる。
人々の役に立ちたいと願うテミナの頑張りに勇気づけられる
呪術をどう使いこなすか、それがこのゲーム最大のポイントであることは間違いないが、ゲームを進める上で大切なのがアイテム集めだ。ダンジョン内には数多くの宝箱があり、開けるとランダムにアイテムを入手できる。回復アイテムもあれば、武器や防具も登場。テミナとロコの能力を向上させるアイテムも多数ある。そして宝箱はマップを切り替えるだけで復活する。
つまり、敵を避けて宝箱を開けまくれば戦闘を有利にするアイテムがどんどんと集まる。呪術が戦闘のメインとなるため武器の出番は少ないが、敏捷、命中など戦闘を有利にする数値をグッとアップさせる武器もあるため、集めるに越したことはない。
ゲームの進行は、町で依頼を受け、ダンジョンを探っていくという“おつかい”要素が強いが、誰かのために呪術を使いたいというテミナの頑張りはほほえましく、もっと依頼をこなしたいと思わせてくれるストーリー展開が魅力となっている。さらに依頼によってはちょっとした謎解きがあったりと、プレイヤーを飽きさせない。
祖母のように人々のために呪術を役立てたいテミナは、呪術の力を利用しようとする悪意を目の当たりにしながらも力強く呪術士を目指し、人間と魔物のハーフであることから人の悪意を昔から知るロコは、そのテミナを守るために冒険をする。その様子は素直に応援したくなるもので、依頼のたびにちょっとずつ挿し込まれるエピソードを追うのが楽しい。また、レベルアップさせる手間は少々感じるものの、状態異常を中心とした戦闘は緊張感がある。クリアまでは10時間程度だが、そのあとにもオマケがあるなど、やりこみ派も満足の内容。戦闘とストーリー、どちらも堪能できるRPGだ。
ソフトウェア情報
- 「サラマンドラのおまじない」
- 【著作権者】
- くろあめ 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 7/8で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.20b(13/04/18)