週末ゲーム
第575回
アイテムを変化させて進むアクションパズル「ナナイロリンゴ」
思考型パズルと高難度アクションによる、挑戦的なレトロ風作品
(2014/10/17 11:00)
魔法で4種類のアイテムを使い分けるアクションパズルゲーム
「ナナイロリンゴ」は、魔女が魔法を駆使して進むアクションパズルゲーム。魔力が枯れ果ててしまった魔女が、膨大な魔力が秘められていると言われる“ナナイロリンゴ”を手に入れるため“七色島”へと向かう。しかしそこには他の魔女が住み着いており、さまざまな敵や仕掛けが島中で待ち受けている。
ゲームはファミコン的な8bitサウンドとビジュアルで、操作は移動とジャンプ、魔法のみとシンプルなもの。七色島は4つのエリアに分かれており、各エリアに複数あるステージを攻略していく。各ステージにはゴールが設定されており、魔女を操作してゴールへと導けばクリアとなる。
攻略のポイントとなるのは、魔法とギミックアイテムの存在だ。魔女が立ち止まっている状態でアクションボタンを押すと、向いている方向に魔法が射出される。これで一部の敵にダメージを与えたり、ステージの仕掛けを動かすことが可能。ただ魔法の主な用途は直接的な使用ではなく、ギミックアイテムを変化させることにある。
ギミックアイテムは、フィールドのところどころに落ちているアイテム。頭を守る防御アイテムと、足場になるブロック、投げて攻撃できる武器、魔法の使用回数を回復させるアイテムの4種類がある。ギミックアイテムは重なった状態でアクションボタンを押すと取得可能だ。
これを適切に使うのはもちろんだが、ギミックアイテムに魔法を当てると、別のギミックアイテムに変化させることができる。魔法を当てるごとに、防御、足場、武器、回復、防御……と4種類がループして変化する。
たとえば、足場があれば突破できそうな場所があったとする。その近くに魔力回復アイテムがあったら、それを拾うのではなく、魔法を2回当てて足場に変化させる。このように、状況に応じて必要なアイテムになるよう、魔法で変化させながら進んでいく。どこで何のアイテムが必要なのかを見極めるのが、本作のパズル的要素の柱になる。
攻略の鍵となるギミックアイテムの面白さ
ステージ上の仕掛けは、ギミックアイテムと密接に絡んでいる。若干のネタバレになるが、本作の面白さを語るには欠かせない部分なので、いくつかの仕掛けをご紹介したい。
まずギミックアイテムは、見た目に騙されてはいけない。あるステージでは、開始位置の目の前に武器が落ちている。何かの役に立つだろうと拾ってしまうと、そのすぐ先で天井から落下してくる仕掛けを避けられずミスが確定。拾った武器は投げるしかなく、投げたら消滅してしまうからだ。正解は、武器に魔法を当てて防御アイテムにし、その状態で拾って頭を守る、である。
防御アイテムは頭上からの落下物に対する守りになるだけでなく、ジャンプ後の落下がゆっくりになるという効果もある。これを使うことで、通常のジャンプでは届かない距離までジャンプで到達できる。
ギミックアイテムは一定時間ごとに再出現する場所もあり、複数のギミックアイテムを組み合わせて攻略することも多い。たとえば足場アイテムを使ってジャンプ位置を高くし、それから防御アイテムを拾ってジャンプすれば、より遠くまで移動できる。ギミックアイテムの数が増える分だけ組み合わせの可能性も増えるので、謎解きはより困難になる。
またある時には、高い位置にあるアイテムを取りたい場面がある。魔法を当てると足場になるツルが伸びるというマップ上の仕掛けがあり、これを使えば高いところに行けそうに見えるのだが、どんなに頑張ってもツルを十分な高さに上げつつ、自分がその上に乗るという状況を作り出せない。実は、このツルが仕掛け的にフェイクで、他所から足場を持ってきて適切に配置すればツルを使わず簡単にアイテムを取れたりする。
他にも、防御アイテムでふんわり降下しないと突破できない場所や、乗ると強制的に大ジャンプするバネのような足場(その真上で串刺しにするトラップがよくある)、マップ全体に吹き荒れる暴風を利用してハイジャンプする場所など、多様な仕掛けが待ち受けている。
とにかく見た目に騙されず、ギミックアイテムの組み合わせや、ときにはギミックアイテムを使わないという選択肢も頭に入れつつ、可能性を探る。1画面内に納まる程度のマップなのに、ギミックアイテムの使い方が予想以上に多彩にあり、あれこれ試しては失敗して熟考する……という繰り返しで攻略していく。なお最初にネタバレとは言ったが、この程度の仕掛けは序の口なのでご安心いただきたい。
コンティニューなしのハードなアクション
アクションは先述のように移動とジャンプというシンプルなものだが、内容はかなりシビアなものになっている。ギミックアイテムを変化させ、先に進む方法を見つけたとしても、ドット単位の細かい操作を求められる場面も多い。
本作は残機制でライフの概念はなく、攻撃を受けたり、仕掛けに落ちるようなことがあると、即ミスになる。ミスするとそのステージの最初からやり直しだが、残機がなくなるとエリアの最初からやり直しになるので、限られた残機数の中でエリアを突破しなければならない。さらに、各ステージには制限時間があり、持ち時間がなくなるとミスになる。
各エリアの最終ステージには、ボスも登場。初見では回避が難しい攻撃も多い中、一度も攻撃を受けずにボスにダメージを与えて倒さねばならない。残機がなくなれば、エリアの最初からやり直しになる。ただ4つあるエリアは自由に選択でき、エリアのクリア状況は保存されるので、残機が0になってもクリア済みエリアの再チャレンジは必要はないのが救いになっている。
ちょっとしたミスも許されない場面が連続で続き、しかもじっくり取り組んでいると時間切れの可能性も。ステージのギミックが解けず、先に進めなかった場合も時間切れでミスになる。繰り返し挑戦してギミックを解き、さらに精密な操作を次々とこなして先のステージへと進んでいく。アクションは理不尽さを感じるほど難しい。
そんなゲームの難しさと、本作のレトロなサウンドやビジュアルを見るに、『そういえば、ファミコンの頃はこういうゲームが多かったな』と思わされる。理不尽と感じるか、歯ごたえがあると思うかは人それぞれ。頭で考え、手も習熟させ、初めてクリアできるのだ。
頭と指の両方をフル稼働させる高難度な一作
1ステージにかかる時間は数十秒から数分。すべてのギミックを解き、操作にミスなく進めれば、30分もあれば全ステージをクリアできるボリュームだ。ただステージ数は少なくとも難易度は高く、おいそれとはクリアさせてもらえない。どれだけ時間をかければクリアできる、とは言いがたいゲームだ。作者自身、『少しだけ難しいので進めるところまで遊んでくれれば満足です』と語っている。
単にゴールに向かうだけなら簡単なステージもあるが、迂回することで得点アイテムが入手できるようになっているステージも多い。これらすべてのアイテムを取得してクリアするのは至難の業だ。さらには隠しアイテムも存在し、すべて集めて全ステージをクリアしてこそ、本作のオールクリアと言える。
……と偉そうに言ったものの、筆者もまだ全アイテムを集めるどころか、全ステージの攻略すらできていない。まずステージ攻略方法を見出すのがかなり大変で、悩んだらポーズボタンでゲームを止め、どうやれば突破できるかを考える(放っておくと時間が経過してミスになる)。突破方法を発見できたら、次は繊細なアクション。場所によってはドット単位の操作を求められる上、残機が尽きたらやり直しなので、非常に神経を使う。
とにかく難しいという点ばかりを強調してしまったが、ステージの突破方法が見つけられただけでもかなり嬉しいし、何度も何度も繰り返しチャレンジしてボスを倒せた時の達成感は格別だ。パズルとアクションの両面でハードなゲームなので、1日でクリアできるなどと思わず、毎日少しずつ攻略することをオススメする。
ソフトウェア情報
- 「ナナイロリンゴ」
- 【著作権者】
- かぶソフト
- 【対応OS】
- Windows XP以降
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.01(14/09/12)