【第442回】
戦術シミュレーションゲーム「リサイクルプリンセス」体験版
切り札は不死身のお姫様。絶望の戦場に希望を灯せ!
(11/02/25)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、かわいい絵柄ながらハードなお話が展開するシミュレーションゲーム「リサイクルプリンセス」の体験版を紹介しよう。
「リサイクルプリンセス」は、帝国の侵略で滅亡しかかっている小国、ルブラン王国の姫リーゼの教育係となった魔導師アレッドとして、絶望的な戦争に挑むファンタジーシミュレーションゲーム。ゲームの流れはストーリーを読み進めながら展開に応じて育成パートや戦闘パートが挟まれるというもので、ストーリーパートのボリュームもかなり多く、物語を楽しむスタイルとなっている。
本作は現在開発中の同人ゲームで、ストーリーの第3幕までをプレイできる体験版をダウンロード可能だ。体験版にはフリープレイ用のマップもあるため繰り返し遊ぶことができる。完成版は3月中旬から下旬に委託販売店で頒布予定で、ダウンロード頒布も予定されているがこちらは時期未定となっている。
ゲームはまずストーリーパートから始まり、アレッドがリーゼの教育係になるまでの経緯が語られる。アレッドは過去にリーゼの命を救うためリーゼに禁忌の術を施しており、またある者の企みでリーゼは恐るべきものと契約を交わしてしまう。その結果として得た力を用いてリーゼは“不死身の姫”として戦場に立ち、まともに戦えば勝てるはずのない帝国の大軍に対抗していく。禁忌を犯したアレッドとリーゼ、そして王国の運命は……?というのが序盤の展開。かなり濃厚なストーリーとなっていて、しかも重い。しかしながらグラフィックはややコミカルなタッチであまり悲壮感を感じさせず、おとぎ話風の雰囲気を醸し出している。
戦闘パートは、時間経過により行動可能となった兵士のうち任意の兵士を動かせるアクティブタイム型。戦闘フィールドは斜め移動のできない矩形タイプのマスで構成され、自軍兵士の索敵範囲外は敵の位置がわからないようになっている。手探りかつ、行動順番が敵味方で入り乱れるため、出会い頭で自軍の重要な兵士が倒されてしまうことも。なかなかスリリングなバトルが展開される。
行動可能になった兵士にはマークが表示されるので、クリックすると時間進行が止まって行動選択画面となり、“移動”“攻撃”“スキル”“待機”というシミュレーションゲームではおなじみのコマンドから行動を選択する。兵士の種類は攻撃範囲、移動距離のバランスがよい“騎士”、一定時間ダメージを受けないスキル“防御”が使える“衛士”、行動までの待ち時間が長いが射程が長い“弓兵”、索敵範囲が広い“スカウト”といったものがあり、これらをうまく運用して敵軍を倒していく。勝利条件は各戦闘により異なるが、敵将や拠点の撃破などとなっている。敵拠点からは増援が出現し、敵が増えていくので早めに探し出して撃破するといい。
戦闘のコツは、まずダメージを無効化できる“衛士”を先行させて敵の位置を把握し、それに続く形で“騎士”や“弓兵”で攻撃を仕掛けていくこと。とはいえマップの形状や行動順番などにより、必ずうまくいくわけではない。詰め将棋的な部分と、運が絡む要素がほどよくブレンドされていて、なかなか安定して勝てない戦闘となっている。ただし“リサイクルプリンセス”の名の通り、ゲームが進むと禁忌の力によって、倒された兵士を蘇生させることが可能になる。蘇生できる回数は敵を倒すと増えていく仕組みで、救済措置がちゃんと用意されているのがうれしいところだ。
兵士の育成は経験値によるレベルアップで“ゲノムポイント”を獲得し、“ゲノム操作”というポイント振り分けを行ってステータスをアップさせる。攻撃の射程や攻撃範囲、移動力、視界の広さなどを上げることができ、戦闘時の強さに直結する重要な要素と言える。序盤は移動力、攻撃射程を中心にアップさせていくとよさそうだ。
戦闘パートは無駄なくシンプルに洗練されており、予期せぬ敗北もあるがストレスなく楽しめた。またストーリー部分はしっかりとした味付けで、この先を見てみたいな、と思わせるに充分な手応えがある。体験版をプレイしてみて続きが気になった人は完成を楽しみにしていよう。
「リサイクルプリンセス」体験版
- 【著作権者】
- 焼肉万歳
- 【対応OS】
- Windows 98/Me/2000/XP
- 【ソフト種別】
- 体験版
- 【バージョン】
- 1.02