週末ゲーム
第586回
戦略シミュレーションゲーム「ヴァーレントゥーガ」特集 第3回
「ヴァーレントゥーガ」派生作品の中からピックアップしたオススメ作品を3つ紹介!
(2015/1/30 11:00)
全3回の「ヴァーレントゥーガ」特集も今回で最後となる。これまでは「ヴァーレントゥーガ」の派生作品「LostTechnology」を取り上げ、第1回では魅力あふれる物語、第2回では初心者向けの攻略ガイドを紹介した。今まで紹介した「LostTechnology」以外にも、「ヴァーレントゥーガ」には多くの派生作品が作られている。今回は、そんな派生作品の中から、オススメしたい3作品「光の目」「きのこたけのこ戦争・IF」「むなしい努力」を紹介しよう。
なお、今回は制作者の方々のご厚意により、本記事で初公開となる「きのこたけのこ戦争・IF」英語版の開発中画像、そして「LostTechnology」新作シナリオの開発中画像をそれぞれ掲載した。
現実の世界史をモチーフにした“銃”と“魔法”の大戦「光の目」
はじめに紹介する「光の目」は、“銃”や“大砲”などの実在の武器、そしてそれらと対を成す“魔法”が共存するファンタジー世界が舞台となる作品だ。作品内の世界や登場人物は現実の世界史をモチーフとしたりパロディ化しており、現実とファンタジーが交わったかのような世界観が特徴となっている。
本作は“銃と魔法による大軍同士の激しい撃ち合い”という迫力ある戦いが魅力であり、嵐のような弾幕を生み出す“銃”の存在がとにかく重要。前衛を歩兵部隊の壁で固め、後衛の銃兵が無数の銃弾を撃ち出す、という戦術が「光の目」の基本となる。これまで紹介してきた「LostTechnology」とは、また違った戦い方を楽しめるのだ。
本作のストーリーについてはやや断片的なものとはなっているが、“銃”という火器の出現によって、世界に生きる人々、そして世界そのものの趨勢が変わりゆく様子などが描かれる。さまざまな勢力との戦いを立ち回り、大陸で巻き起こる“帝国内乱”から始まる戦乱を生き抜こう。
特徴的なシステムとしては、戦略パートにおいて、軍資金の追加調達や一時的に全勢力と同盟を結ぶという特殊な外交戦略などを行うことができる“内政”。そして戦術パートのみを戦い抜く“RTSシナリオ”が挙げられる。
また、作品内の歴史での重要な戦いをプレイヤーの手で体験できる“著名な戦い”モードも存在。これは「LostTechnology」の“正史”モードと同等のものとなっている。そこで選べる戦いのうち、“帝都攻略戦”は必見だ。銃火器を使いこなす帝国軍と、高度な魔法文明を持つ魔王軍による激しい決戦が繰り広げられる。
- 【著作権者】
- HRE皇帝藤原ラコヴィツア吉宗2世(欧州藤原氏) 氏
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7および64bit版のVista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 6.03
- 光の目 @ wiki - トップページ
- http://www38.atwiki.jp/illuminate/
甘そうな名前とは裏腹に激戦が繰り広げられる「きのこたけのこ戦争・IF」
次に紹介するのは「きのこたけのこ戦争・IF」。そのタイトルから想像できるように、お菓子をモチーフにしたキャラクター名や国の名前……など一見ふわっとした印象を受けるゲーム。しかし、出てくる武器は同じくお菓子をモチーフとしながらも「光の目」のような銃火器を模したものや、さらには戦闘機や戦艦といった大型兵器もあり、大軍同士の激戦が魅力となっている。
本作の特徴的なシステムとしては、戦略パートで設定できる“国策”システムがある。国策は、一度選択するとゲーム中解除することはできないが、勢力に所属するユニットの能力の底上げを行えるほか、遠距離からの射撃を行える“戦艦”や、広範囲の攻撃・援護などさまざまな機能を持つ“司令部”といった特殊ユニットの雇用を行うことができるなど、非常に大きな効果を持つ。また国策はプレイする勢力によって選択できるものが一部異なるため、勢力を変えて何回もゲームを楽しむことができる。
こういった要素に加え、ゲームの勝利条件が、自分の勢力の領土を一定以上にすることが条件となる“戦略勝利”のほか、1ターンの軍資金収入を一定以上にする“経済勝利”など、複数あるのも特徴だ。
また「LostTechnology」の正史や、「光の目」の著名な戦いと同様のものである“そのとき歴史が動いた”モードも搭載されている。そこで選択できる戦いのうち、“肉挽き機”のシナリオは、“ハゥンマー民族代表院”と“ドウリル民族戦線”という二大勢力の決戦が舞台だ。難易度は高めではあるが、プレイヤーの戦術が戦況全体にダイレクトに影響するため、挑戦しがいのあるものとなっている。
なお、本作は海外への展開に向け、ゲームの多言語化が進行中となっている。今のところは英語・中国語に対応予定で、現在は「ヴァーレントゥーガ」本体の開発者であるななあし氏による協力もあり、まずは英語版を制作しているという。そして、最終的には「ヴァーレントゥーガ」本体も多言語化し、海外のプレイヤーも派生作品を作れるようにしたいとのことだ。それに伴い、英語化に向けて協力してくれる翻訳などのスタッフも募集する予定だという。もし興味のある人は一度公式サイトを見てはいかがだろうか。
- 【著作権者】
- オッサムの剃刀 氏
- 【対応OS】
- Windows(編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.96(15/01/25)
- ブラウン・シュエダゴンパゴダ
- http://dyn-industry.xsrv.jp/
“剣”と“魔法”と、しかし“英雄”はいないファンタジー「むなしい努力」
最後に紹介する作品は「むなしい努力」。ネーミングからしてなんとも印象的な作品だが、こちらは「光の目」や「きのこたけのこ戦争・IF」のような、砲撃と銃弾の飛び交う大きな戦いとは真逆。剣や弓、魔法で小規模な戦いを行うファンタジー世界観のシナリオだ。システムの複雑さも少なく、プレイしやすいものとなっている。
本作はキャラクターのひとりひとりに注目したイベントなどの物語面が丁寧に作り込まれているのが特徴となっている。1つの勢力を選択してゲームをプレイするのではなく、1人の人材ユニットを選択してプレイする“人材プレイ”でのイベントやシステムが充実していることからもそれが伺える。
今回は、本作の印象深いシナリオのうち、“王都解放軍”と“バイトロイ海賊”という2つのシナリオを紹介したい。
まずは王都解放軍のシナリオだ。帝王の側室の子として生まれたが、世継ぎ騒動のために帝国から離れ辺境で暮らしていた王太子“レイク”と、その義姉であり帝国の次期王女でもある“キャロル”のもとに、かつて帝国副宰相であった男“エマーソン”が訪れる。そして帝国の圧政から大陸を解放するため、王女の名の下に解放軍を立ち上げる……という、一見して王道なシナリオとなる。しかし、見事帝国を倒し悲願を達成する3人の前に、本当の苦難が訪れるのだった……。
その先に待つのは、救いがないというわけではないが、報われてもいない……といった、さながら奇跡の存在しない現実のような物語だ。まさに「むなしい努力」の名を冠するにふさわしいシナリオとなっている。
またバイトロイ海賊のシナリオも印象的だ。海賊の頭領“アルフレッド”は、海賊でありながらも略奪行為を良く思っていないという男だった。そんな生活を送っていた中、あるときに奴隷の少女“ミラ”と出会ったことから、かつての自分の罪と向き合っていくことになる。そして大海原の向こう、世界の果てから現れた異形の軍勢からミラの故郷を守るため、“最後の浪漫”と称して立ち向かう決意をするシーンは、プレイヤーも思わず気が引きしまるものとなっている。
- 【著作権者】
- むなしいひと 氏
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 2.52(14/12/23)
- トップページ | むなしい努力 wiki
- http://ngtwiki.com/
さらに勢いを増す「ヴァーレントゥーガ」と派生作品の今後に期待!
3回に渡る「ヴァーレントゥーガ」特集も、今回で最後となった。特集で紹介した中で気になった作品があれば、ぜひ遊んでみてほしい。「ヴァーレントゥーガ」本体は現在もバージョンアップが続けられており、プレイヤーの手で作られる派生作品もまだまだ増えてきている。さらに、第1回、第2回で紹介した派生作品「LostTechnology」も、今後は魔族の勢力である“クライム”のシナリオが遊べるようになるとのことだ。
なお、今回の特集で取り上げた「LostTechnology」と「きのこたけのこ戦争・IF」については、制作者の方同士の交流もよく行われているという。作品や制作者間でお互いに影響しあい、より良い作品が作られていく。これも「ヴァーレントゥーガ」という本家作品が中心となって作られてきたコミュニティの魅力なのだろう。そんな発展を続ける「ヴァーレントゥーガ」と派生作品の今後が楽しみだ。