石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
経験者向けの高難度? ローグライクカードゲームの最新作「Slay the Spire 2」を遊んでみた
やられても新要素は解放。キャラの特性を活かすデッキ作りを楽しもう
2026年3月26日 17:46
最新作だが大きな違いはなさそう?
先週は“ローグライクカードゲーム”と呼ばれる「Slay the Spire(スレイ・ザ・スパイア)」を紹介した。カードゲームにローグライクの要素を加えたもので、ランダム性を多く持ちながらも戦略性が両立する、繰り返しプレイする楽しさを持った作品だ。
今回は発売されたばかりの新作「Slay the Spire 2」を素直にプレイレポートする。ゲームの基本的な内容は前作をほぼ踏襲しており、完成度が高かったコア部分を変えずにどう新作として面白くしているかが注目点になる。
なお本作は早期アクセスとして提供されており、動作確認からバランス調整、プレイ感の向上などを目的としている。期間は1~2年程度を見込んでいるとしており、現時点ではその初期段階にある。つまりバランスやゲームシステムは今後大きく変更される可能性があるが、そこを含めて楽しめる人に遊んでいただきたい。
価格はSteamで2,800円で、前作とのバンドル版は執筆時点では3,150円でセール中だ。なお本作の価格は、早期アクセス終了後(製品版となるタイミング)で値上げされる予定。
1層目のクリアもおぼつかない初プレイ
早速プレイしてみると、タイトル画面からゲーム画面まで、前作と見た目はほとんど変わっていない。プレイヤーキャラクターを選び、平面で示されたマップを攻略していくというゲームの流れも全く同じだ。前作のプレイ経験があれば迷うことはない。
バトルに入ると、山札から引かれた5枚のカードを使って、ターンごとに3エナジーを使って攻撃や防御を行う。最初に登場する敵は、HPが43、1ターン目の行動はダメージ12。こちらのカードは1エナジーで6ダメージの「ストライク」と、5ブロックの「防御」が中心なので、全て攻撃しても全然倒せない。逆に完全に防御しきるだけで終わってしまうし、そもそもカードの引き次第では防御もしきれない。
ある程度のダメージを覚悟しつつ、なるべく少ないターンで撃破すべくカードを切っていく。最終的に13ダメージを受けて撃破したが、初期キャラクターの「アイアンクラッド」は戦闘終了後に6HPを回復するので、そこも織り込んで戦術を練っていく。
敵を撃破すると報酬がもらえる。カードは3枚のうちのどれか1枚を選択。「セットアップストライク」というカードは、消費エナジー1で「ストライク」より高いダメージが出る上、基礎攻撃力を高める「筋力」も上げられる。基本的に「ストライク」はだんだん要らないカードになっていく。
その後も地道に進んで6戦目、強力なエリートモンスターが登場した。HPが94と高い上、1ターンごとに筋力が1上がるという特殊能力持ちだ。なるべく早く仕留めたいが、最初から攻撃力が高いので防御も捨てられない。毎回20ダメージくらいの攻撃を仕掛けられ、ギリギリでいなしつつ、残りHP2で勝利した。常時強化要素となるレリックも1つ入手した。
その後、最初に出会ったモンスターが同時に2体登場。多少はデッキも強化されていたが、HP残り8では攻撃をいなしきれず、あっさり撃破されてしまった。前作よりも自分と敵の行動パターンが広がったことで、デッキの方向性を見定めないとシナジーを得られにくく、1層目のクリアすらおぼつかない。
タイトルに戻る前に、いくつかの要素がアンロックされた。新たなプレイヤーキャラクターとして「サイレント」が加わるとともに、冒険開始時に「ネオー」というキャラクターが現れ、プレイヤーをサポートしてくれるようになる。
「サイレント」でプレイを再開すると、「ネオー」が3つの選択肢を提示してきた。いずれもプレイを助けてくれる内容だが、一部にはペナルティがかかるものもある。
いろいろなキャラクターを試してみる
本作ではプレイするほど新キャラクターが解放されていく仕組みになっている。その後のプレイで登場した新キャラクターをプレイしてみたので、ざっと印象を書いていく。
「サイレント」はナイフと毒で戦うキャラクターで、戦闘開始時に追加で2枚のカードを引ける(つまり最初から7枚引ける)。引きの当たり外れを減らせるとともに、デッキの回転が良くなるので、そこを意識したカード選びが重要になる。
カードを引ける枚数が多いと、特に序盤で安定感が出る。「アイアンクラッド」のように戦闘後のHP回復はないので、極力ダメージを回避していきたい。さらに入手できるカードには、カードを追加で引いたり捨てたりする効果が付いているものが多く、キーカードをどんどん回すような戦術も良さそうだ。
なお筆者は最初のエリートモンスターであっさり撃破された。物理で大ダメージを叩きこんでくる敵に対して、あまり効果的な防御方法がなく、相手のHPを削りきる前にこちらが力尽きてしまった。カードを自身で捨てた際にノーコストで効果を発動できる「スライ」という能力をもっと活用したいところだ。
次のキャラクター「リージェント」は、戦闘開始時に星の力を3つ得る。他のキャラクターにはない独自のステータスで、エナジーのほかに星の力を消費して発動できるカードが存在する。
星の力を使うカードはどれもかなり強力で、少ないエナジー消費で大ダメージを与えられるものが多い。ただし星の力を貯めるカードを使うためにエナジーを消費する必要もあり、余裕がある時に星の力を貯めて、いざという時に一気に放出するというメリハリが求められる。
筆者のプレイでは、たまたま「ネオー」から受け取ったカード「セブンスターズ」が極めて強力な全体攻撃で、いかに星の力を貯めて「セブンスターズ」を発動するか、というデッキになっていった。それ以外でも、星の力を少し使って場を抑えられるカードもあり、臨機応変な対処ができるのも魅力だ。
ただ、キーカードを引けなかったり、星の力を貯めるタイミングがなかったりすると、とたんにできることが減ってしまう。特に星の力で大技を出しても倒しきれないエリートモンスターは、どうしてもHPをすり減らしながらの戦いになる。2層目には到達できたが、HPがかなり多いエリートモンスターとの戦いで力尽きてしまった。
次の「ネクロバインダー」は、名前のとおりの死霊使いで、「オスティ」というペットを召喚して戦う。「ネクロバインダー」自身にも戦闘能力はあるが、「オスティ」を使役する行動の方が高い威力があることが多い。
敵の攻撃はまず自分のシールドで受けて、足りない場合は「オスティ」が受ける。「オスティ」が撃破されてもまだ敵の攻撃力に余りがあれば、その分は自分のダメージとなる。「オスティ」はやられても、自分のターンになるとHP1で復活する。生きている場合はHPに1プラスされる。
「オスティ」の能力はHPに依存するものが多いので、敵の攻撃はなるべく自分がシールドで受けて、「オスティ」のHPをどんどん高め、一気に大ダメージを狙うという戦略が取れる。ターン終了時に捨て札にならない「保留」という能力を持つカードや、エナジーを追加するカードもあり、デッキ構築には頭を使う。
防御の方法に「オスティ」が加わるため行動の選択肢は広がるが、「オスティ」のHPは1から始まることも含め、防御力そのものが優れているわけではない。攻撃力が高めの敵に対しては、「オスティ」が活躍する間もなく撃破されがちで、なかなか自分のパターンを作るのが難しい。キャラクターの方向性を理解するまでが大変そうだ。
次のキャラクターは「ディフェクト」。人間ではなくオートマトンで、戦闘開始時に「ライトニング」という特殊能力を生成する。基本的にはオーソドックスなスタイルのキャラクターだが、3つのオーブスロットにさまざまな能力を持つオーブをセットしながら戦う。
オーブには固有の能力があり、「ライトニング」は敵へのダメージ、「フロスト」は自らにシールドを与える。オーブの効果を発動するカードもあるが、オーブをただ持っているだけでも、ターンごとに弱い効果を発揮する。「ライトニング」オーブを持っているだけで、敵に毎ターンのダメージを与えられるので、むやみにオーブを消費しないというのも重要になる。
今回のプレイでは「フロスト」のオーブを早々に入手。展開するだけで一定のシールド値を得られる上、敵の攻撃が強い時はオーブを発動させて高いシールドも得られるようにした。状況に応じて動きを変えやすく、敵を選ばず安定して戦えるので、エリートモンスターも難なく撃破していく。
先に進むと「グラス」や「ダーク」、「プラズマ」のオーブも使えるようになる。これらのオーブをどんどん展開すると、3つ以上になった時点でオーブがはじき出されて自動で発動する。他の行動のついでにオーブが得られるカードもあり、見た目以上の火力と防御力を発揮していく。
結局、最後まで安定して戦いを進められ、初めて3層目までクリアできた。本作は3層目のクリアで冒険終了となる。たまたまデッキが当たっただけ、敵の引きが良かっただけかもしれない。
キャラクター特性を理解してからが本番
ここまで見てきたとおり、キャラクターによってプレイ感は大きく変わる。シンプルなキャラクターは扱いやすく、デッキの成長度が見えやすいが、カードを頻繁に出し入れするようなテクニカルなキャラクターは、うまくいった時の爽快感が強い。
クリアできなかった他のキャラクターも、特性を見極めてまた挑戦してみたいと思える魅力がある。先に書いた内容も、1プレイでの感想でしかないので、次のプレイで別のカードを引いたら全く印象が変わるかもしれない。失敗を恐れず使い込んで、デッキの可能性を見出してからが本番に違いない。
また前作にはなかった敵の特性もかなり増えている。対応策は確実にあるのだが、それをデッキに仕込んでおけるかどうかは別の話。特定の状況に対応するためのカードセットがなければ、どんなに強化したデッキでも相当苦労させられる場面は多い。逆に狙ったカードセットがはまった時の気持ちよさもまた大きい。
ゲームとしてはかなりテクニカルな部分で深みが増しており、前作をやり込んだ方はとても新鮮に楽しめるだろう。ただ前作のプレイ経験がない方は、いきなり本作からスタートすると難しすぎると感じるかもしれない。ゲームの面白さの根幹は前作から変わっていないので、まずは前作から順にプレイしてみるのがおすすめだ。
最初にお伝えしたとおり、本作はまだ早期アクセスなので、この記事の内容もすぐに合わなくなるかもしれない。その点もまた本作のランダム性の1つだと思って、成長するゲームを眺めてみるのも面白いと思う。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。









































