クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
〈コラム〉著作権の歴史と文化の発展
~第1章:なぜ著作権という権利があるの?~
2016年7月14日 07:00
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“著作権はどうやって使う”の続きとして、今回は“〈コラム〉著作権の歴史と文化の発展”というテーマを解説する。
〈コラム〉著作権の歴史と文化の発展
15世紀のヨーロッパで発明された活版印刷は、その後のルネサンスや宗教革命・科学技術の発展に大きな影響を与えました。それ以前は、本を複製する手段は手書きで写本するか、せいぜい木版印刷(いわゆる版画)しかありませんでした。ところが、活版印刷によって、大量に同じ本を複製し、多くの人に同じ知識や思想を伝えられるようになったのです。
ただ、印刷や出版には大きな設備が必要です。つまり、初期コストが大きいため、そのぶん稼ぐ必要があります。ところが、同じ本を他でも複製されたら稼げなくなってしまうため、その複製行為を制限しようとしたのが、著作権のはじまりです。
著作権のことを英語でcopyrightといいます。これは、copy(複製)とright(権利)から生まれた単語です。
著作物は国境を越えて自由に流通します。しかし、著作権を保護する法律は、国によって異なります。それでは困るため、多国間で著作権を保護するためのベルヌ条約が作られました。日本は1899年に加盟しており、現在は世界で164カ国が参加しています。
本文中で先生が『作品として表現された瞬間、自然に発生する権利が著作権』と言っているのは『無方式主義』といい、ベルヌ条約に基づきます。権利を保護して欲しいすべての国で登録などの手続が必要だとすると、あまりに手間がかかってしまい現実的ではないためです。
次回予告
今回の続きとして次回は“独創性って何だろう”というテーマを解説する。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!